断層調査と制御棒挿入性に関する要望書

1.断層(破砕帯)調査については、徹底した調査と安全側にたった判断を求めてください。調査結果を、おおい町住民や周辺の市民に説明するよう調査団に求めてください。

2.制御棒挿入時間の基準値2.2秒は守るよう意思表明してください。

おおい町長 時岡 忍 様
2012年10月29日

 いよいよ、規制委員会が設置した調査団による大飯原発の断層(破砕帯)調査が11月2日に実施されます。破砕帯が活断層であれば、直接的なズレの力が働いて、重要施設が破壊されるため、この調査は周辺住民や関西一円の住民にとって非常に重要な意味をもちます。10月23日の事前会合では、これまでの保安院(官僚)主導のやり方ではなく、調査団の専門家が調査と判断に責任を持つこと、安全側にたって活断層の判断を行うことなどが議論されました。おおい町としても、徹底した調査を求め、住民への説明等を求めてください。

 また、現在稼働中の大飯3・4号の安全性について、関西電力は「地震の場合には、制御棒挿入時間の基準値2.2秒は守らなくてもいい」等、信じがたい暴論を述べています。
 制御棒問題に関する関西電力の主張が、いかに安全性をないがしろにするものかを以下に示します。これらについて厳しく批判されることを望みます。

1.断層(破砕帯)調査について
 専門家の調査団による大飯原発敷地内の断層(破砕帯)調査が11月2日に行われます。10月23日には調査に参加する専門家の事前会合が行われました。調査団の専門家は、これまでと異なり、利益相反のない専門家が選ばれました。事前会合では、「活断層ではない」としたこれまでの判断について、資料の問題点などが次々に指摘され、「結論を出すために必要な情報というのは、今のところゼロだ」と厳しい指摘がなされ、これまでの審査がいい加減なものであったことが厳しく委員から指摘されました。
 さらに事前会合では、広島大学の中田名誉教授の資料も紹介されました(事前会合の参考資料2)。そこでは、熊川断層が小浜湾の双子崎(双児崎)付近まで続いているという新たな調査結果が示されました。FoA−FoB−熊川断層の三連動が、関電や国がいう「念のため」ではなく、実際につながっている可能性も高まってきています。島ア委員は「さらに確実な証拠が出てきたというふうにも見えるのではないか」と述べています。このように、敷地内の断層だけでなく、今後は周辺の活断層についても見直しが行われ、「念のため」ではすまされなくなっていくことでしょう。
 今回実施される敷地内の断層調査については、徹底した調査が必要です。関電のトレンチ掘削箇所はわずか2地点です。これではっきりしない場合は、原発の運転を止める等、しっかりとした調査が実施されるべきです。また、専門家の間で意見が分かれた場合には、「手引き」に沿って安全側にたち、「活断層である可能性が否定できない」ものは活断層と見なされるべきです。
 今回の調査結果について、おおい町住民や周辺の市民に説明するよう調査団に求めてください。

2.制御棒挿入時間の基準値2.2秒について
 福島原発事故では、制御棒は即時に挿入されましたが、炉心溶融から爆発にまで至りました。この最も肝心な初動の「止める」という制御棒挿入について、大飯3・4号の設置変更許可申請書では2.2秒で入ることを前提としています。ところが、関西電力はこの事実を無視し、以下のような安全性を無視した主張をしています(詳細は付属説明)。

@  制御棒挿入時間の「定めはない」。基準値2.2秒は事故の解析条件にすぎない。
A 挿入時間が11秒でも安全。地震の場合2.2秒は守らなくてもよい。
地震で原発の機器は壊れないことになっている。
B 実験では1560ガルでも2.2秒「程度」で制御棒は挿入できる。
C 現行基準地震動(700ガル、2連動の場合)の制御棒挿入時間の評価値は、従来の2.16秒ではなく実は1.88秒。3連動しても1.83秒とさらに下がる。

 しかし、これらは福島事故を顧みないまったくの暴論です。このような暴論に従って大飯3・4号機が運転継続されると、福島事故を上回る過酷事故に見舞われることになります。おおい町として、ぜひ基準値2.2秒を守るよう意思表明をしてくださるよう要望します。


要  望  事  項

1.断層(破砕帯)調査については、徹底した調査と安全側にたった判断を求めてください。調査結果を、おおい町住民や周辺の市民に説明するよう調査団に求めてください。

2.制御棒挿入時間の基準値2.2秒を守るよう意思表明してください。

2012年10月29日

 原発設置反対小浜市民の会
 プルサーマルを心配 するふつうの若狭の民の会
 七番目の星
 グリーン・アクション
 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)

連絡先団体
 グリーン・アクション   京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
 美浜の会   大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(12/10/29UP)