グローバル・ネットワーク第10回バークリー年次総会報告
2002年5月16日

Report on GN Berkeley Conference 日本語訳


    

5月10-12日バークリー市で開催されたグローバル・ネットワーク(GN)の第10回記念国際会議と抗議行動は見事に成功した。金曜日に始まったこの週末イベントには、12カ国から250人が参加した。5月10日には、サニーベールにあるロッキード・マーチン社前で抗議集会を行った。サニーベール工場では、宇宙発射レーザー(space based laser)と空挺レーザー(airborne laser)計画のための実験が行われている。また、この施設では戦闘に使われる軍事衛星も開発中である。

施設前で1時間いろとりどりの横断幕を広げてデモを行った後、国際平和自由女性連盟(WILPH)メンバーによる宇宙ソングメドレーで、華やかに集会が始まった。アメリカおよび世界各国から集まった人々は、それぞれがこのイベントに参加した理由を語った。メアリ・スプランガー・フレーズとローリング・ワーベルは、国民の税金でブタのように肥え太っていくペンタゴンと航空産業の寸劇を演じて、みんなを笑わせた。

今回の会議を受け入れたグループ、「ネバダ砂漠体験の会」の事務所にもどると、「爆弾ではなく食糧を」(Food Not Bombs)がすばらしい夕食を用意してくれていた。GN運営委員の一人である「ネバダ砂漠体験の会」代表のサリー・ライトは、この週末行事がとどこおりなく進むように、この会議の受け入れのために、何百万という細かい仕事をやりとげるという大変な仕事をした。サリーは市外からの参加者のために40ヵ所以上のホームステイを準備し、カリフォルニア大学バークリー校をすばらしい会場として確保してくれた。

11日の会議はサリーの歓迎のことばで始まった。サリーは核兵器と宇宙開発においてカリフォルニア大学が果たした役割を説明した。

「宇宙軍拡防止のための国際展望」と題した最初の全体会を始める前、韓国のパク・ジホが3分間のビデオ上映をした。これは4月に、航空年次シンポジウムのためコロラド・スプリングに行った時集めた資料を使って彼が作ったものである。
「機械への怒り」(Rage Against The Machine)というバンドの音楽をバックにしたハイテク機器使用の発表によって、開発中のさまざまな宇宙兵器システムの最新映像が明らかにされた。

全体会では、次の人々が発表した。

* レギーナ・ハーゲン(ドイツ、ダルムシュタット。拡散に反対する技術者と科学者の国際ネットワーク)
* 大庭里美(日本。プルトニウム・アクション・ヒロシマ)
* ジェイコブ・グレンチ(メルボルン。オーストラリア反基地キャンペーン連合)
* スーザン・ピネダ(フィリピン、中央ルソン。民衆基地汚染除去対策本部People's Taskforce For Bases Clean Up)
* エドワード・アッピア・ブラフォー(ガーナ。緑の大地機構)

レギーナは、米国の宇宙完全「制御と支配」をよしとしないヨーロッパの、宇宙への軍備拡大の動きについて語った。サトミは、日本では宇宙の問題について、まだほとんどの人が知らされていないこと、そしてその状況を変えようとする決意を語った。ジェイコブは、オーストラリアの平和運動の孤立感を語ったが、また10月にはパイン・ギャップでのアクションを行うと発表した。スーザンは、9月11日とテロとの戦争が起こるずっと前から、米国がフィリピンに軍を再配備していた様子を語った。エドワードはアフリカにおけるエイズとその対策不在の問題がいかに深刻で、一方でいかに米国が貴重な財源をスターウォーズに浪費しているかを強く語った。

この全体会の後、カール・グロスマンの最近の二つのビデオを日本語に翻訳して広めた驚くべき努力に対して、大庭里美にGNの今年度の「宇宙平和賞」が授与され、彼女は非常に驚いていた。

デニス・クシニチ下院議員(オハイオ州、民主党)が出席できなかったため、基調講演は数名による短いスピーチに分けて行われた。その最初はニューヨーク市立大学物理学教授のミチオ・カク博士の8分のビデオ上映であった。ミチオはやはり、ずっと以前にメキシコ・シティでの物理学会での基調講演をすることが決まっていたため、今回の会議に出席することができなかった。しかしミチオは、巨大なスクリーン上で、新しい「小型」核兵器と宇宙兵器の両面にわたって軍拡競争を促進する現ブッシュ政権の計画を分析してみせた。

その外の基調講演スピーカーは次の通りであった。

* カール・グロスマン(ニューヨーク州立大学、ジャーナリズム学教授)
* ステイシー・フリッツ(アラスカ、フェアバンクス。「北に核はいらない」)
* キャシー・ケリー(イリノイ州、シカゴ。「荒野の声」)

カールは、これから数年内に、米国がさらに多くの原子力を宇宙に打ち上げようと計画している様子と、NASAが原子力ロケットに新たに大きく傾倒していることを伝えた。ステイシーは、米国のABM条約からの脱退とNMD配備に抗議する、6月12-16日アラスカのフォート・グリーリィでのピースキャンプ実施計画を報告した。キャシーの最近のパレスチナ旅行報告は、わたしたちみんなを感動させた。――

昼食後二つのワークショップが続けて開催され、それぞれのセッションは10の分科会に別れていた。この会議期間中を通じて聞かれた唯一の不満は、優れたワークショップがたくさんありすぎて選ぶのが難しかったというものだった。

午後の全体会は「宇宙の平和を守るための新しい企画、行動、および戦略」と題し、この活発なセッションは、実にやる気まんまんのクライマックスであった。
このセッションのスピーカーは、

* デイブ・ナイト(英国。核軍縮キャンペーン)
* アーデス・プラット(メリーランド、バルチモア。「ヨナの家」)
* シュリ・ラーマン(インド、チェンナイ。反核兵器運動)
* キンバリー・イード(バーリントン。バーモント平和と正義センター)

デイブは全面的狂気のさなかにあっても自信を失っておらず、わたしたちはあらゆる可能な角度から、自分にできるあらゆる非暴力の方法で運動しなければならないとい信念を表明した。アーデスはローマ・カトリックの修道女であり「聖なる大地と宇宙プラウシェア」のメンバーであるが、地球支配の計画に抵抗するために、非暴力の行動に踏み出す必要性を語った。シュリは、インド・パキスタン間の極度に高まっている緊張に注意を喚起し、反核兵器運動拡大への並々ならぬ努力について報告した。キンバリーは右翼勢力によるバーモント議会へのスターウォーズ推進決議を阻止したバーモントの人々の努力を紹介し、同様の決議が他の州でもありうるということを警告した。

夕方には、コリアン真相究明委員会によってすばらしい夕食会が催され、そこで、ノグンリでの米軍による朝鮮人虐殺に関する恐ろしい話が報告された。最後にBBCドキュメンタリー(もちろん米国では放映されていない)が上映され、その中で朝鮮戦争中、民間人の殺害を支持した米政府の記録が暴露された。ビデオのコピーが配られたが、これは個人の家で見るという約束で渡された。

しばらく休憩した後、リンダ・ウィリアム(サンフランシスコ)、ホリー・グィン・グレアム(ワシントン州、オリンピア)そしてジョー・ランディ(ニューヨーク市)がすばらしい音楽を聞かせてくれた。3人は次々と宇宙に関連したすばらしい曲を演奏してくれた。このご馳走ともてなしを全員心ゆくまで楽しんだ。(かれらの宇宙ソングはCDに収められ、その売上はGNに寄付されている。)

最後の日、5月12日はいつものようにGNの内部会議であった。各国報告に続けて、財政担当とコーディネーター報告があり、英国のデイブ・ナイトの司会で広範にわたって戦略討論をした。(このセッションについてのメモは、デイブ夫妻が帰国してから、あらためてメールが送られることになっている。)

この会合で、2003年のGN国際会議は韓国とオーストラリアで、各国それぞれ二日間、開催されることが決まった。ブッシュ政権は今やアジア太平洋地域に緊張を高めようとしている。中国を挑発する方法として、北朝鮮と対立するというシナリオであると思われ、GNはこの地域の問題に本格的に取り組むべきであるという合意がなされた。オーストラリアはまたこのシナリオにおいて重要である。というのはオーストラリアのパイン・ギャップ米スパイ基地は太平洋地域における作戦の道具だからである。

会議期間中ずっと10月4-11日という日付けが話題となった。これはGNが計画している「宇宙平和週間:宇宙への軍備拡大阻止のための国際抗議行動週間」である。すでにいくつかのグループが、この週の行動計画を発表している。GNは2000マイル離れたオーストラリアのヤブの中にあるパイン・ギャップに代表を派遣することにしている。かならず「ヤブ(ブッシュ)を撃て」の叫びを響かせよう!

そして、もうひとつのパーティが、すばらしい週末を最後にもっとすばらしいものにした。バークリーで長い間GNを支えてくれているクレア・グリーンスフェルダーが、サリーに前もって、会議終了後、すべてのスピーカー、ホームステイ提供者、その他のゲストを彼女の家に招き、ガーデン・パーティをしたいと提案してくれていたので、全員行って、クレアのすてきな庭でめちゃめちゃ最高の時を過ごした。食事は最高で、ここでも音楽が流れ、新しい友人、古い友人とおしゃべりを楽しんですばらしい時を過ごした。

リバプールからきたジョー・ベリーに言わせると、この週末は何もかもすべて「エース」(優)だった。意気高揚し、たくさんの優れた報告を交換した。さて、今わたしたちは、みな国に帰り、宇宙の平和を維持するために、さらにペースをあげようとしている。どうかそれぞれの地域で10月4-11日の行動に参加してください。これからもよろしく。

報告をごらんいただいて、感謝します。

ブルース・ギャグノン
宇宙の兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク世話人

http://www.space4peace.org
globalnet@mindspring.com

日本語訳: 大庭里美
Tel/Fax:082-828-2603
dogwood@muc.biglobe.ne.jp


訳者からのお願い:
この報告訳文はご自由に広めてください。その際、グローバルネットワークの連絡先と、訳者名、連絡先を明記の上、掲載先を上記にご連絡いただきますようお願いします。




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