スペースシャトル コロンビアの事故に関する声明
宇宙の兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク
2003年2月1日


 「宇宙の兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク」は、スペースシャトル、コロンビアの悲劇に哀悼の意を表明するとともに、この事故が米航空宇宙局(NASA)が宇宙での原子力利用に向けて計画を大きく拡大していく中で起こったことを強調し、宇宙計画で危険な核物質を利用してはならない理由を強く主張する。
 いわゆるプロメテウス計画において、NASAは、昨年開始された10億ドルの核システム構想を拡大し、原子力推進ロケットの開発をその中に組み入れようとしている。

 さらに、グローバル・ネットワーク世話人のブルース・ギャグノンは、「NASAは引き続き、原子力を利用した宇宙探査機の打ち上げを計画しており、他の分野でも宇宙での原子力利用を考えている」と語った。

 ニューヨーク州立大学ジャーナリズム学教授で、「地球を脅かす宇宙の核計画:the Wrong Stuff」の著者で、テレビ・ドキュメンタリー「ニュークス・イン・スペース 2」(日本語版あり)のナレーター、そしてグローバル・ネットワークの運営委員であるカール・グロスマンは、「コロンビアには核物質は搭載されていなかったようですが、原子炉を推進力に使ったロケットがこなごなの破片となってテキサス、あるいはそれ以外の地球上のどこかに落ちてきた場合の影響を考えて見てください」と言った。

 この5月と6月、NASAはフロリダから火星を探査するための地上探査機を搭載した2基のロケットを打ち上げる予定であり、その探査機にはプルトニウムを利用したヒーターが装備されている。グローバル・ネットワークは、この2基のロケット打ち上げに抗議行動を続けている。

 ギャグノンの指摘によると、NASA自身が行った環境影響評価(EIS)でも「1回の打ち上げにおける事故発生の可能性は30分の1」であり、「なんらかの事故によって、環境中に放射性物質が飛散する確立は230分の1である」と述べている。「風下にあたる住民は、少量の放射性物質を吸入する可能性がある」とEISは述べている。

 「フロリダのケネディ宇宙センターから60マイル以内の住民が影響を受けるような惨事が起きる可能性が高いということを、NASAは認めているのです」とギャグノンは語った。

 「コロンビアの事故が起きた今、NASAは、5‐6月のものも、それ以後の予定も、(有害)物質を搭載した宇宙船の打ち上げを中止し、安全な宇宙エネルギーのシステムを利用するべきです」とギャグノンは強調した。

 カール・グロスマンは次のように述べている。「宇宙探検は危険ですが、毒性の強い核物質をそれに利用すると、事故が起きた場合の危険性は、さらにずっと恐ろしいものとなり、核物質の利用は必要がないのです。近年、宇宙での安全なエネルギー開発は画期的な躍進を遂げ、とくに太陽エネルギーの技術においてそれは目覚しいものがあります。しかしジーン・オキーフ長官が指揮するNASAは、宇宙計画における大規模な米核開発に向けて、核への関心を非常に高めています。コロンビアの惨事によって、このような宇宙計画への道筋の恐るべき愚かさがはっきりと示されたといわねばなりません。」

 ここ数年、議会は宇宙計画(とりわけスペースシャトルのメンテナンス費用)の予算を削減してきており、NASAは多数の宇宙船打ち上げ計画の財源を国防総省ペンタゴンに求めるようになってきている。宇宙局の舵を取るにあたってNASAのオキーフ長官は、今後の打ち上げ計画はすべて、現在宇宙計画のコントロールのもとにある軍部と共用されるであろうと語った。

 コロラドのグローバル・ネットワーク運営委員であり、技術問題編集者のローリング・ワーベルは、「これまで常に、再突入は発射よりもずっと安全であるといわれてきたのだが、スペースシャトルは再突入時に事故を起した。このことはNASAが計画している原子力推進ロケットがあまりにも危険すぎるという証拠であり、考え直す必要がある」と語った。

 ワーベルはまた、「強引な宇宙利用が災害を引き起こしたことを考えると、先制攻撃の場として宇宙の軍事利用を拡大することや、宇宙兵器の利用も危険なゲームだということを示唆しています」とも語った。

連絡先:
Global Network Against Weapons & Nuclear Power in Space
PO Box 90083
Gainesville, FL 32607
(352) 337-9274
http://www.space4peace.org
globalnet@mindspring.com

(訳 大庭里美)

「宇宙の兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク」アドバイザー
大庭里美 Email: dogwood@muc.biglobe.ne.jp