1.5名もの死者を出す最悪の事故を引き起こした関電の責任を追及しよう [1]事故を引き起こした責任を認めない関電 ・「お詫び」はするが責任は認めない。「事故原因がはっきりするまで責任は言えない」 ・社長の土下座は単なるポーズ ・事故は「単なる労災」、「処分は原発だけ」(関電秋山会長) ・「人さえいなければただの蒸気漏れ事故」 [2]役員報酬のカット、「関電としてはこれまで最も重い処分」 ・8/31国会参考人招致を前に突如だしたもの。 ・いかに身内に甘い体質かを露呈。これが5人の下請け作業員の命と引き替えか。 [3]関電の最大の関心は、社長と本社役員が刑事責任追及を逃れることだけ ・そのために、責任も明らかにしない。 ・事故に関する情報統制 ・負傷者は6名だけなのか? ・昨年5月の定検でオリフィスを取り替えていた(破断箇所から50p)。この時配管が薄くなっていることに気づかなかったのか? 2.安全無視、人命無視の関電体質が引き起こした事故。起こるべくして起こった事故 [1]今回だけの「結果として、判断ミス」ではない。 [2]事故の予兆はいくらでもあった。 ・7月には、大飯1号で2次系配管で大幅な減肉。肉厚の法定限度を数年前にこえる程の減肉。この時は、ただその部位を交換しただけ。他の原発の2次系配管の検査をやらなかった。今回事故がおきて、検査をやりだすというしまつ。 ・5〜6月 関電の全ての火力発電所で検査記録のねつ造発覚。この時は「火力と原発は別」、「原発は厳重に管理している」として、原発の検査を拒否。等々。 [3]今回の事故の直接の原因は、28年間1度も検査しなかったこと。 ・リストもれに気づく機会は何度もあった [4]下請けに検査を丸投げしていた。 ・原発検査の実績がない日本アーム(関電の関連会社)に丸投げ。自らは管理せず。 ・それによって、検査費用を3割削減 3.老朽炉にムチ打つ、定検短縮等の経済性最優先の運転が事故の背景にある [1]定検期間を短縮するため、原子炉を止める前から定検の準備作業を開始させ死傷させた [2]定検期間の大幅な短縮 関電の全原発平均で1995年は166日→2003年は67日と半減 個別の原発では、30数日間というぎりぎりの日数。電力全体で競い合っている [3]設備利用率のアップ 90年代後半から、関電の全ての原発平均で80%。2002年には90%へ [4]さらに電事連は、18ヶ月連続運転を要求(現在は13ヶ月) [5]電力自由化で他電力・新規参入企業との競争の激化する中で、一層老朽化した原発にムチ打つ危険な運転に邁進 [6]関電は「原発依存度」が飛び抜けて高い。 総発電量に占める原発の割合は、関電57%、東電33%(02年度)。コスト削減のためには、原発部門のコストを徹底して削減するしかないという関電の特殊事情が、手抜き検査等の背景にある。 4.「2次系だから事故は大したことはない」と事故を過小評価する関電、国、推進学者、一部マスコミ ・原発の2次系は、原子炉を含む1次系と一つのシステムを形成し、1次系を冷やしている。 ・今回の事故では約80%の冷却水が噴出。補助冷却系が作動したため、米国スリーマイル島原発事故のような炉心溶融・放射能放出を免れただけ。 5.事故後、さらに明らかになる安全無視・人命無視の関電体質の底深さ・不気味さ (1)他の原発を止めるつもりはなかった関電。福井県知事に要求されて初めて順次停止へ [関電の原発の状況] 運転停止が7基、運転中が4基 ・事故で停止中 美浜3号 ・定検で停止中 大飯3号(4/20〜)、高浜4号(8/10) ・事故による検査で停止 第1グループ 美浜2号、高浜2号、大飯4号 高浜3号(第3グループだったが、リスト漏れが最も多く「ご安心のため」と停止) ・運転中 第2グループ 美浜1号、高浜1号、大飯2号 第3グループ 大飯1号 (2)検査リストから漏れていても「他の原発から類推して安全」という危険思想 ・高浜1号を検査すれば、それから類推して高浜2号は検査の必要なし。 ・全ての原発を検査する必要なしという危険な思想 (3)美浜2号で明らかになった、「火力発電の技術基準で安全」。関電は確信犯。 ・昨年9月の定検で、2次系配管が国の基準以下に薄くなっているのを知りながら、隠し続けて、8ヶ月運転を継続。 ・原発の2次系配管の管理基準に火力発電所の基準を適用し、予寿命を12年と判断。配管の取り替えを行わず。 ・火力発電所の検査記録ねつ造事件が明るみになった時、関電は「火力と原発は別」、「原発は厳重に管理している」と繰り返していた。しかし「火力と原発は同じ」だった。 ・関電は「安全性に問題はない」と居直っている。 ・「不正燃料を使っても、安全性に問題はない」としたMOX燃料データ不正事件の時と同じ。 ・関電の安全無視・人命無視は確信犯そのもの (4)原発を止めて順次行っている検査もずさん極まりない ・関電の全ての原発11基で、点検リストには載っているが、運転開始以来1度も検査をしていない箇所は1万1539箇所も。 ・しかし、運転を停止して行う検査の対象は、なんと276箇所のみ。未点検箇所のわずか2.4%にすぎない。 ・こんな手抜き検査で、安全が確認されたなどと済まされてはたまらない。 ・8/27関電は、最初に止めた3基の原発について、この点抜き検査で異常なしと、国、福井県へ報告。 ・8/30 福井県の専門委員会は、これを検討することになっている。県と委員会への働きかけが必要。 (5)2次系配管の「管理指針」は破綻している ・破断した配管は、管理基準の予想より減肉が加速。減肉範囲も予想を超えて広がっていた(管理指針では配管の直径2倍までしか減肉は起きないことになってる)。 ・大飯1号でみつかった大幅減肉は、「管理指針」では減肉しないはずの箇所 ・「管理指針」では減肉しないはずの直管部でも、トロージャン原発では減肉が発生 6.もやは関電に原発を運転する資格はない。生き残るためには関電の原発を止めるしかない ・5名もの死者を出す大事故を引き起こしながら、自らの責任も認めず、手抜き検査で「安全」を繰り返す関電。原発に火力の基準を援用している関電に、もはや原発を運転する資格などない。 ・関電がやるべきことは、現在動いている4基の原発を即刻止めること、そして検査に関する一切の情報を公開することだけだ。 ・関電の原発が動いている限り、大事故の危険は私たちをとらえてはなさない。超危険な関電に、福井と関西に暮らす数千万人の生命をもてあそばれるなど、まっぴら。私たちが生き残るためには、関電の原発を止める以外にない。 7.事故の責任は保安院も同罪 [1]2次系は国の検査の対象外と自らの責任逃れ ・2年前の東電事件の時も、電力会社の自主検査の箇所で検査ねつ造等が行われていた。東電事件の教訓は何も生かされていない。 ・1986年サリー原発で起きた同様の事故の時、「日本の原発は水質管理がしっかりしており同様の事故はおきない」として、電力会社の自主検査に任せてきた。 [2]2次系のずさんな管理を認めてきたのが保安院。 ・老朽炉での経済性最優先の運転を認めてきたのも保安院。 ・東電事件以来、「維持基準」を導入し、傷があっても運転を認めてきたのが保安院。 [3]関電の安全無視・人命無視の体質を放置してきたのは保安院 ・今年2月、「社長をトップとするトップマネジメントが働いている」と関電の品質保証体制にお墨付きを与えたのは保安院 ・火力発電所での検査記録ねつ造事件でも、「原発は厳重に管理」と関電と口を合わせていた、等々。 [4]保安院がやるべきことは、全ての原発の2次系配管等の資料を提出させ公開すること 8.核燃料サイクル路線に警告を発する今回の事故 [1]危険なプルサーマル、六ヶ所再処理工場を進めることへの警告 ・関電は、プルサーマル計画再開のために、コジェマ社とMOX燃料製造の正式契約をこの9月にも行おうとしていた。その矢先の大事故。関電プルサーマルはまたもとん挫。 ・六ヶ所再処理工場のウラン試験実施のための安全協定締結は、またも先送り。 [2]美浜町の「中間貯蔵」誘致にも打撃。老朽炉の停止から具体的に脱原発へと進むこと。 ・7月に使用済み核燃料の「中間貯蔵」誘致を表明した美浜町長は「一次中断」を余儀なくされた。 ・東京では、国の原子力長期計画の見直し論議の真っ最中。 ・再処理路線か直接処分かが主要な論点。 ・しかし、この二つの路線はともに、 ・危険な老朽原発にむち打つことを前提 ・使用済み核燃料が今後大量に生み出されることを前提。19箇所の「中間貯蔵」を想定。原発延命のための永久の核のゴミ捨て場を確保することに他ならない。 ・危険な老朽炉の停止から、具体的に脱原発へと進むことを、事故は指し示している。 9.最も差し迫った課題−まだ運転している4基の原発を止めること (1)まだ動いている4基の原発を止めなければ、大事故の危険はつきまとう [1]4基の原発で配管がどれだけ薄くなっているか、実態は関電にも分かっていない。 ・運転開始以来1度も検査を行っていない箇所が3千310箇所もある。 美浜1号−793箇所/ 高浜1号−601箇所 大飯1号−781箇所/ 大飯2号−1,135箇所 [2]「過去の検査結果から安全」は破綻 ・関電は、この4基を止めない理由を、「過去の検査結果から安全」と言う。 しかし、運転開始以来1度も検査してい箇所は、「過去の検査記録」など存在しない。 「安全」だとする根拠は全くなにもない。 [3]トロージャン原発で生じた直管部の減肉からすれば、点検リストに載っていない部位が健全だという保証は何もない。 (2) 最初に止めた第一グループ3基の運転再開を許してはならない ・関電は8/27日、3基の検査で異常なしと保安院と県に報告 ・配管取り替えをせざるをえなくなった美浜2号機以外の運転再開を狙っている。 ・関電は、第一グループの運転再開と引き替えにしか、次の第二グループの原発を止めようとはしていない。 ・事実上、福井県の了解がなければ運転再開できない状況。 (3)国の事故調査委員会は9月中に「中間報告」を出そうとしている。早期の幕引きを狙っている。国に対するけん制を。 ・福井県をはじめ、青森等の立地県では国への批判が強まっている。 ・保安院は、自らの責任問題に発展することをなんとかかわそうとしている。 そのため、美浜2号の火力基準で運転していたことなどを公表している。しかし、この問題でも、「安全性に問題はない」と関電と口裏を合わせ、ただ社内基準に書かれていないという手続きのみを問題にしている。 ・2次系配管の検査については、専門家による監視等でお茶を濁そうとしている。 ・関電の全原発が停止すること、核燃サイクル政策・「中間貯蔵」への飛び火を懸念 ・第4回事故調査委員会 9月上旬福井県で開催される ・保安院は、美浜3号の2次系配管について、運転開始以来の全ての検査記録の提出を要求した。これは、2次系が国の検査の対象外であったため、資料すら持っていなかったことの証左でもある。 ・保安院がやるべきことは、全ての原発の2次系配管等の資料を提出させ公開すること。 (4)福井県内の状況 ・県知事・県当局 ・県議会 ・立地町村 ・周辺自治体 ・風評被害等々 ・福井県内の運動 (5)怒りの声を集約し、関電の原発を止めていこう。 ・事故翌日に緊急の抗議行動を呼びかけ、60名が参加。 関電は全ての原発を停止せよ!プルサーマルを断念せよ! ・事故2日後に関電交渉。事故を引き起こした責任を追及。 ・5名もの死者を出した最悪の事故そのものへの怒り。 ・事故後、関電の無責任極まりない言動、安全無視・人命無視の関電に深く染みこんだ体質を、多くの人々が目の当たりにしている。関電がかたくなになればなるほど、その本質が具体的に明らかになればなるほど、新たな怒りが強まっている。 ・この怒りの声を集約して、福井と関西の連帯した運動の力で、関電の原発を止めていこう。それなしには、私たちは生き延びることはできない。 (6)当面の行動 ・8/30 福井県への申し入れ行動 ・関電と保安院への申し入れと交渉準備 (7)スローガン ・まだ動いている関電の4基の原発を即刻停止させよう! ・事故を引き起こした関電と国の責任を徹底して追及しよう! ・事故と検査、配管のあるがままの実態に関する全ての情報を公開させよう! ・プルサーマル計画を断念させよう!六ヶ所再処理工場のウラン試験を阻止しよう! ・老朽原発の停止から脱原発へと進もう! |