関西電力の2次系配管の検査・管理体制問題
配管の「見かけ上の減肉」等に関する質問書

※青字は8/2交渉での関電の回答

関西電力株式会社社長 藤 洋作様

2005年6月15日

1. 美浜3号機の蒸気発生器ブローダウン水回収管45度エルボ部(スケルトン図番号162−16と162−48)の減肉について
 ステンレス製の当該配管について、貴社は、4回の測定による測定値が減少しているにもかかわらず、「測定点の位置がずれた」と称して、減肉ではないとしています。これに関して以下に質問します。

(1)測定の度に測定点が、シンニング加工部の肉厚が薄くなる方向へずれていったという証拠は何ですか。(前回5月13日の交渉で回答を約束)

 4回の測定が連続してずれたものではなく、第16回定検で取り替えております。4つ数字が並んでいたと思うんですけども、前2つと後ろ2つは別々の配管を測定したデータとなっております。前2つ、後ろ2つは測定がばらついているだけであって、4回続けて薄くなる方向へ測ったものではありません。

(2)162−16と162−48のスケール下の全内表面について、内面観察結果を明らかにしてください。(前回回答を約束)

 前回はエルボ部の両端をご紹介しましたけれども、確認しましたところエルボ部の中央部についても減肉は認められませんでした。内面観察をした結果、減肉は認められておりません。

(写真とか資料は?)
 美浜3号機の配管検査の結果については、総まとめという形でまとめた報告書を次回の福井県の安全専門委員会の方へ提出の準備を進めておりますので、その中で皆さんからそういう要望があったということを伝えたいと思います。


(3)上記の2つの部位について、測定点Cにおける測定値が、第15回定検(1996年8月)と第16回定検(1998年1月)の間で大幅に減少していることの理由を説明してください。(前回回答を約束)

 先ほど言いましたように、取り替えたために薄くなった。

(4)「美浜発電所3号機2次系配管の点検結果について(第3回報告)」(5月11日)によれば、第16回定検で当該エルボ部を取り替えたとのことですが、なぜ取り替えたのですか。

 予防保全の一環で取り替えたと思われますが、異常等の報告はないことは確認しておりますけども、それ以上のことについては確認できておりません。

(減肉があったからじゃないということですか)
 減肉があったからじゃないというか、特異な減肉があったからではないということです。減肉があったかどうかも・・・。
(減肉があったんですか。)
 測定した結果、取り替えたという事実はわかりますけども、異常な減肉があったとか、もしくは変わった減肉をしていたということは、異常という形できちっと作業記録に残っているんですが、そういったものは残っていないので、通常の配管管理の中で取替えているという事実がわかったということでございます。予防保全の一環で取り替えたのだろうと思われます。異常減肉等で取り替えたということではない。


(5)取り替えた事実が点検管理表に記載されていないのはなぜですか。

 参考としてつけていたものは、点検結果整理票ですので、これは測定結果を記載する様式なので、取り替えるとか取り替えたとかという事実は書いておりません。

(6)162−48の端部をマイクロメータで測定すると計算必要厚さ6.6oに対して5.95oだとのことです。もし減肉がないとするならば、設置時から必要肉厚を割り込んでいたということですか。

 今回の切断調査の結果ではマイクロメータで測定すると5.95mmでした。今後は溶接検査対象でない配管の肉厚の記録をきちっと致します。
 当初肉厚を割っていたかという質問ですけども、取り替えた当時の、換えた当時の肉厚の測定記録がないため必要肉厚を割り込んでいたかということについては不明です。
(減肉がなかったというのが正式な回答じゃないんですか。)
 取り替えた当初から必要肉厚、取替当初の肉厚の測定結果の記録を有しておりませんので、必要肉厚がなかったという可能性は否定できないと考えております。


(7)このエルボ部の最小管厚は8.5o、公称管厚は約9.5oです。一方、第15回・第16回定検における測定点Cの管厚は14o〜18oとなっており、背中側(1)の測定値は約14oなっています。曲げ加工によって若干薄くなる傾向があるはずの背中側でさえ、公称肉厚の1.5倍も肉厚が大きくなっています。また、直管部方向の測定点(A、E点)より、曲がり部(C点)の肉厚が約10oほど大きくなっています。その原因は何ですか。

 最初使っていた配管は厚板の配管を使っていたものを、16回で取り替えたときにもう少し薄い配管に取り替えた。なぜ厚板を使っていたかについては明確に特定できませんでした。


2.「見かけ上の減肉」について
 貴社が5月11日に発表した「美浜発電所3号機2次系配管の点検結果について(第3回報告)」の、「添付資料5−これまでの点検結果に基づく考察」では、「見かけ上の減肉」という新たな概念が導入されています。これに関して以下に質問します。

(1)上記の5月11日付報告書では、次回定検で余寿命が5年未満となる配管に対象を絞って、「見かけ上の減肉」かどうかの検討を行っています。仮に「測定点のずれ」でより薄い方向へずれる可能性があるならば、同じ確率でより厚い方向へずれる可能性もあるはずです。厚い方向へずれる「見かけ上の肉太り」について検討していないのはなぜですか。

 減肉現象のより正確な理解のために「見かけ上減肉」の検討を行ったものです。管理については、「見かけ上の減肉」か否かによらず、他の箇所と同様次回計測までの余寿命確保、取替計画の策定を行うこととしております。
 具体的には、「見かけ上減肉」であろうと、余寿命評価の結果として13ヶ月未満という評価が出れば、その定検で取り替える。2年未満という結果が出れば次回定検で取り替える。それ以上5年未満のものにつきましては、取替計画の策定及び取替までの毎定検での計測という形をとる。

(測定点がずれたために減肉が起こったように見えている、それをそのまま減肉だととらえるという意味か。)
 それで余寿命が13ヶ月未満のものであれば、その定検で取り替えますし、2年未満でれば次回定検で取り替える。
(だから、見かけ上に見える量で判断せず、本当の減肉だととらえるということか。)
 減肉事象をより正確に把握するという観点では、「見かけ上減肉」は除外して評価して検討していく必要があると思いますけども、実際の配管の肉厚管理の中では、「見かけ上減肉」であろうと、出てきた余寿命に基づいて管理を行っていくということです。


(2)「シンニング加工部の測定点のずれ」によって「見かけ上の減肉」となっている事例として、給水ポンプミニマムフロー管(スケルトン番号67-2)の測定点Aをあげています。

[1]測定点Aにおける測定値は、第10回定検(1989年9月)と第21回定検(2004年8月)の間で、円周8方向の測定値がすべて減少しています。すべての測定点で、配管の肉厚が薄くなる方向へと位置が一斉にずれることはあり得ないと考えますが、測定点がずれた証拠は何ですか。

 測定点は周方向で位置決めしていますので、もしこちらにずれると同じように全体的にこういう風にずれますので、シンニング加工部だとここが溶接部だとするとこういう風になっているんであれば一斉にこちらの方に全体的にずれますので。

[2]第10回定検から第21回定検の測定で、測定点Aでは24o〜27oの管厚が約12oになっていますが、これが「測定点のずれ」によるものだとすれば、測定点はおよそ何oずれたことになりますか。

 以前の測定位置が不明であるため、どの程度ずれたか不明ですが、当該部位はシンニング加工部位であるため変化したものと思われます。

(シンニング加工でだんだん薄くなっているその傾きから計算できるでしょ。)
 溶接技術基準の中でシンニングの傾斜というんですか、だいたい1対3と見なさいという形になっていますので、およそ何mmかと言われたら、実際何mmまでシンニング加工しているのかというのがあれですけど、10mmであれば30mmというのが、1対3であれば。
(これぐらいだと、どのぐらいずれたことになるんですか?)
 10mmちょっとのずれ、15mmぐらいですか。1センチ5ミリぐらいだから、その3倍とっていることになるんですかね。
(4.5センチ。)
 24から12だったら12の3倍だから・・・。
(3.3ずれたのがわからなんですか。減肉なしにただ位置がずれたためにこれだけ減ったというのがあなた方の見解なので、そういう立場に立つと、何ミリかというのは計算上出てくるわけです。それがずいぶん大きいような気がするんですが、そういう風なことは何の疑問もないわけですか。)
 我々はシンニングでずれたと考えているということは、報告書に書いているとおりでございますけども、点検結果整理票を見ていただくとわかるように、Aの下流側の所にBの値があると思うんですけども。
(また、あとで。)


[3]第10回定検から第21回定検までは15年間も経っています。このように長期の間に、何らかの原因で相当に著しい減肉が起こる可能性もありますが、それを否定する根拠は何ですか。

 根拠については報告書に書いてある通りでございます。というのは、測定部位がシンニング部と考えております。また、Aの下流部であるBの厚さが変化していないことからAでも著しい減肉が生じているとは考えておりません。

[4]シンニング加工で接続した両方の配管のそれぞれの径と肉厚を示してください。

 呼び寸で150AのスケジュールS=160、これが外径で約165.2mmで肉厚18.2mmのものです。これはシンニングの値ですけども。
 接続管の方ですね、150AのスケジュールS=80というもので、外径は同じく165.2mmで、肉厚は11.0mmのものでございます。


[5]同じ径、同じ肉厚の配管を溶接で接続する時にもシンニング加工する場合がありますか。ある場合は、例示してください

 今回接続したところは肉厚の違うものを接続してたんですけども、同口径で同じ厚さの配管を接続する際にもシンニング加工をする場合があります。ただし、その場合は内面をそろえる程度のシンニング加工だと聞いております。

(3)「減肉傾向はないが計算必要厚さまでの余裕が少ないものの例」として、復水処理装置主復水管(スケルトン図番号103−31)をあげ、「有意な減肉傾向は認められず測定誤差による」ことを理由に、測定点H−1の測定値から求められた減肉率を過大なものとしています。

[1]H−1における測定値の減少が「測定誤差による」という証拠は何ですか。

 当社はそこについてはシンニング部として判断しておりました。

[2]第19回定検(2002年1月)・第20回定検(2003年5月)では、枝管における余寿命はゼロ年と評価されていますが、交換しなかった理由は何ですか。

 おなじくシンニング部と判断し、減肉はしていないという判断をしておりました。

(昔は「見かけ上減肉」、・・・)
 シンニング部を使って、余寿命が0年と評価されていたんですけど、シンニング部として取替を先送りしていたということです。


[3]当初から薄い配管については、「計算必要厚さまでの余裕が少ない」という心配のないように、なぜ初めから分厚い配管にしなかったのですか。

 薄板の配管については取り替えし、より厚板の配管を採用すること等が望ましいと考えております。

(4)次回定検で余寿命5年未満となる104箇所のうち、39箇所が「見かけ上の減肉」と分類されています。この39箇所全ての点検結果整理票を公開してください。

 この点検結果整理票についてはすでに公開済みでございます。「見かけ上減肉」の39箇所というのは5月の11日の報告書で、前回お渡ししましたけれども、その資料の中の添付資料5の別添1に104箇所のリストが載っていたと思うんですけども、その中で右側の評価のところに減肉傾向が認められないとか、減肉傾向が過大に評価されると書いてあるところが、逆に言うと減肉傾向が認められると書いてあるもの以外が「見かけ上減肉」とした39箇所です。

(5)何のために、余寿命の短い配管の中から「見かけ上の減肉」の分別を行う必要があるのですか。

 先ほども言いましたけれども、減肉現象のより正確な理解のため、「見かけ上減肉」の検討を行ったものです。

(6)そもそも、「測定点のずれ」があることは、測定自体に信憑性がないことを示しているのではないですか。そのため、貴社の配管管理に信憑性がないことを示しているのではないですか。

 溶接線を基準に測定位置を定めることに社内ルールを明確化しており、より精度の高い管理が可能になると考えております。

(7)測定に信憑性がないにもかかわらず、「見かけ上の減肉」として、配管取り替え等を延期するのは、「安全性を第一にする」こととは相反するのではないですか。配管取り替え・補修の手抜きではないですか。

 管理については「見かけ上の減肉」によらず他の箇所と同様、次回計測までの余寿命確保、取り替え計画の策定を行うこととしております。

(8)「見かけ上の減肉」の考察結果について、「自社の他発電所の点検計画への適切な反映を行う」としていますが、他の原発でも余寿命の短くなった配管を対象に「見かけ上の減肉」の分別をおこなうということですか。

 検査結果をもとに適切な減肉管理を行うこととしております。

(9)現在機械学会は、新たな配管管理の指針を作成中です。この「見かけ上の減肉」という概念を、機械学会の議論の中でも提起しているのですか。

 今回5月11日に報告した内容につきましては機会学会の方に情報提供を行っております。


3.破断した配管のリスト漏れの経緯について

(1)スケルトン図および点検管理票にリスト漏れが反映された具体的時期について明らかにしてください。(前回回答を約束)

 平成15年4月に日本アームの方でリスト漏れに気づいたあとの確認をしていましたが、今回確認させていただきましたけれども、正確にいつの時点で反映したかについては確認できておりません。
 平成15年5月の第20回定検で実施する作業計画書に添付されていたスケルトン図には当該部分は含まれておらず、平成15年6月の定検後の報告書に添付されていたスケルトン図には含まれていることは事後確認しましたが、いつスケルトン図に反映したのか、点検管理表にいつ反映したかについては確認することはできませんでした。



4.BNFLとの再処理契約について
 貴社がBNFLと再処理契約を結んでいるのは、使用済み燃料で500トン。そのうち498トンは再処理済みとのことです。ソープ再処理工場は4月に発覚した配管破損による大量の放射性溶液の流出事故で閉鎖しています。また、漏えいは9ヶ月間も放置され続けていました。

(1)貴社の残り2トンの未処理分については再処理せず、このようにずさんな会社との再処理契約は取りやめるべきではありませんか。

 当社としてはソープの今後の操業状況を注視していくが、未処理再処理燃料約1トンについては、これまで同様再処理契約に基づき、BNGF、BNFLのことですけれども、において再処理されるものと考えております。

(約1トンですか)
 前、我々の方で再処理済み燃料490トンと答えさていただきましたので、約2トンという形だと思うんですけれども、四捨五入してますので、実際には約1.3トン、それを今回約1トンと答えさせていただきました。



2005年6月15日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
  京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
  大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581