2次系配管の点検状況、老朽化対策などに関する
質  問  書


関西電力株式会社社長 藤 洋作 様

2004年12月6日


1.2次系配管の減肉点検状況について
(1)2次系配管の現時点での点検状況を、各原発ごとに明らかにしてください。その場合、四国電力が保安院に報告したように、「主要点検部位」と「その他部位」でそれぞれ未点検箇所がいくらあるのか数値をあげてください。

(2)点検済みの箇所で、前回点検した時期が10年以上前のものはどれだけありますか。各原発ごとに示してください。

(3)点検済みの箇所で、前回点検した時期が5年〜9年前のものはどれだけありますか。各原発ごとに示してください。

(4)これまで測定した全ての部位について、減肉率が最大となった部位とその測定時期及び測定データの履歴を各原発ごとに示してください。

2.類推して点検を省略している箇所等について
 大飯2号の第5ヒータ空気抜き配管の4箇所では、同じ配管の両隣の部位を測定しているため、主要点検部位であっても測定しなくてもいいと貴社は主張しています。
(1)このように同じ配管の両隣の測定値から類推して点検を省略してもいいということは、「管理指針」や社内基準に明確化されているのですか。

(2)大飯2号で点検を省略した4箇所の両隣の部位はいつ測定したのですか。それぞれについて測定時期と測定結果及び全ての測定履歴を示してください。

(3)大飯2号のような手法で、主要点検部位であるにもかかわらず、これまで測定していない箇所は他にありますか。あれば、原発名とその部位などを具体的に示してください。

(4)今後もこのような類推の手法をとり続けるのですか。

(5)大飯1号では、配管の外側から肉盛り溶接をしていたことが明らかになりました。大飯1号の他の部位や他の原発で、同様に外側から肉盛り溶接をしていた箇所はありますか。

3.配管の取り替え時期について
 前回の交渉(11月2日)の後の電話回答(11月4日)では、高浜4号の場合、余寿命が4年の配管で、「次回定検時に『取り替えを計画』とあるのは、『取り替えを実施する』という意味です」とのことでした。
(1)貴社が9月29日に発表した「2次系配管肉厚管理の充実について」では、「減肉が進行する場合は、余寿命がゼロ年となる前に取替・補修を実施する」となっています。余寿命4年程度でも取替を実施するのですか。

(2)貴社の定検報告書などにある「次回定検で取り替えを計画」となっているのは、どの原発の場合でも、「次回定検で取り替えを実施」という意味ですか。

(3)他方、高浜4号の場合、「余寿命1年」の配管の場合、次回定検で取り替えるのではなく、「測定を実施する」となっています。その理由については、前回の交渉で、製造時に曲げ部分の肉厚が薄くなっていたためとの説明でした。そうであれば、この部位の配管はそもそも規格外の配管を使用しているということではないのですか。

(4)また「2次系配管肉厚管理の充実について」では、「余寿命がゼロとなる前に取り替える」と書かれています。取り替える配管の調達などの準備期間を含めると、「ゼロとなる前」では遅すぎるのではないですか。

(5)配管を取り替える場合、炭素鋼に取り替える場合とステンレスに取り替える場合がありますが、その区別の基準は何ですか。

4.貴社の余寿命評価のやり方について
 美浜3号機事故後に貴社が行った約250箇所の点検結果を見ると、配管肉厚が前回の測定値より大きくなったり、余寿命が500年(最長は999.9年)に延長していたりしています。そこで、以下のケースを例にとって説明してください。
(1)美浜1号の給水系配管のオリフィス下流部は、第19回定検(2002年9月)で取り替えられています(スケルトン番号56−3)。この取替の理由は何ですか。また、取替前の測定履歴を示してください。

(2)別紙の高浜2号 給水ポンプミニマムフロー管肉厚測定部点検結果整理票(スケルトン番号39−73)の場合、減肉率の求め方などを説明してください。

(3)別紙の高浜1号、給水ポンプミニマムフロー管肉厚測定部点検結果整理票(スケルトン番号51−67)の測定値について。
 [1]2004年9月の最小測定値は15.2o、第11回定検(1989年9月)では14.3o、第7回定検(1984年2月)では14.3oとなっており、配管は減肉ではなく、むしろ厚くなっています。これはなぜですか。
 [2]また、備考欄には「過去の測定値より1〜2o厚く計測された。配管取替実績はなく、7、11回の測定値に信頼性がないため、余寿命は今回データのみで評価実施」と書かれています。なぜ以前の測定値は信用性がないと判断し、厚くなった今回のデータで評価したのですか。

5.11月25日付の「高経年化対策の充実等について」に関して
 貴社は11月25日、福井県安全専門委員会で「高経年化対策の充実等について」を提出しました。運転年数が30年を超える原発について、下記のような対策をとると書かれています。
3.高経年化対策の充実
(1)2次系配管肉厚管理の更なる充実
 [1]3回の定期検査で再度、全箇所を点検。
 [2]余寿命10年未満になれば、毎定検で点検。
 [3]減肉傾向が認められるもので余寿命10年未満のものは、今後数回の定検で耐食性に優れた材料に取り替え。

(1)なぜ「運転年数が30年を超える原発」に適用すると限定をつけたのですか。

(2)美浜3号の場合、運転開始から28年ですが、実稼働時間(時間稼働率の累積)では貴社の原発の中で最長となっています。また、美浜1号と大飯2号(1979年運転開始、運転開始から25年経過)の実稼働時間は約15万時間とほぼ同じです。なのに、美浜1号は老朽化対策の対象とし、大飯2号はその対象外というのでは納得がいきません。実際、貴社の肉厚管理のやり方は、実稼働時間で評価を行っています。このように実稼働時間も考慮すれば、少なくとも、運転開始以来25年たった原発を対象とすべきではありませんか。

(3)上記囲み内の文章Bの配管取り替えについて、
 [1]「減肉傾向が認められるもの」と限定がついています。この「減肉傾向が認められるもの」とはどのような内容ですか。減肉率等の規定があるのですか。
 [2]「今後数回の定検で」取り替えるとなっていますが、「数回」とはおよそ何回を想定しているのですか。

(4)全ての原発の配管余寿命などについて
 [1]各原発ごとに、余寿命10年以内の配管は何カ所あるか示してください。
 [2]各原発ごとに、余寿命5年以内の配管は何カ所あるか示してください。
 [3]上記の添付資料−1では、「耐食性にすぐれたステンレス鋼等に取替え」と書かれています。その場合、点検部位のみを耐食材に取り替えるのですか、それともその点検部位が存在する配管全てを耐食材に取り替えるのですか。

6.大飯3号の上蓋管台の補修について
 今年4月からの第10回定検で、原子炉上蓋の管台から一次冷却材が漏えいしているのが見つかり、国内では初めて上蓋管台で亀裂が生じました。貴社は、上蓋を取り替えるのではなく、5年間の安全評価という限定付きで、亀裂部分を溶接して補修するために、特例的な「特殊設計施設許可の申請」を行いました。
(1)なぜ、上蓋を取り替えないのですか。

7.情報の公開について
 配管肉厚管理に関して貴社がホームページ上で公開している情報は、前回点検時の日付さえ記載されておらず、極めて不十分な内容です。少なくとも、減肉率の計算に必要なデータはすべて公開すべきではありませんか。福井県に提出している資料については、ホームページ等で閲覧できるようにすべきではありませんか。


2004年12月6日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
  京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
  大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581