関電の「再発防止に係る行動計画」(3/25付)
「社長は安全第一だったが、現場に浸透しなかった」
トップの責任を不問に付し、現場に責任を転嫁


 関西電力は本日(3月25日)、「美浜発電所3号機事故再発防止に係る行動計画」を発表した。藤社長は6月に辞任し、秋山会長はまだ1年間続投するという。
 「行動計画」では、「社長の宣言」として「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」とのキャッチフレーズをあげている。しかし、社長を含む関電トップが安全性を軽視していたことについての反省はない。「行動計画策定にあたり」で、社長は「これまでも、私は『安全が何より大切であり』」としてきたが「それを十分に浸透させることができなかったものと、深く反省いたしております」という。もともと社長は安全第一だったが、それを浸透させることができず、現場第一線が安全第一ではなかったと言っている。保安院の「最終報告書(案)」と同じく、社長自らの責任を不問に付し、責任を現場を転嫁する、無責任極まりないものである。そして、安全を浸透させるために、「経営層が現場に出かけて膝詰めの対話」・石碑の建立・8月9日を「安全の誓い」の日として定めるという。「安全」という言葉をお題目のように唱えれば、安全が確保できるという「安全教」のようである。
 「行動計画」の「安全のために積極的に資源を投入します」の項目では、「定期検査工程短縮を目標にするものではないことを明確にし」(P5)との表現にとどまり、定検の短縮を行わないこと、設備利用率の向上を目指して効率化を追及しないことについての明言はない。事実、3月16日の長計策定会議で藤社長は、「18ヶ月の長期連続運転、定検中におこなっていた検査を運転中に行う定検の柔軟化」等によって設備利用率向上の必要性を語っている。今後も、経済性最優先の徹底した効率化を行っていく姿勢に変わりがないことを示唆している。
 また、配管の減肉管理に関しては、機械学会の指針策定に「積極的に参画」していくとしている(P6)。既に関電は、機械学会の原子力サブタスクの幹事となって、配管検査の抜本的改悪・検査の簡略化などを進めている。この機械学会の規格案では、配管管理を電力まかせにし、現行の「その他部位」などの検査を簡略化しようとしている。「2次系配管肉厚システムの充実」とはこのことである。
 全体として、事故や配管減肉の実態に関して、社会一般に情報公開をしようとする姿勢もまったくない。配管肉厚の詳細な測定結果や事故による電気ケーブルの絶縁抵抗測定結果などを公表すべきた。
 問われているのは、なぜ美浜3号機事故を起こしたのか、なぜ破断箇所が点検リストから漏れ続けていたのか、なぜ多くの不正・不法な点検行為が行われていたのかである。この原因と責任が明らかにされ、その反省に立って「対策」が立てられて初めて、それは対策と言えるものである。ところが、これら原因と責任が全く不問に付されている。このような姿勢をとり続ける限り、関電に原発を運転する資格などない。
 事故の真の原因と責任は、経済性を最優先にして安全を軽視してきた関電トップにある。まずは、これを認めるべきだ。誰が社長になろうと、「安全教」では事故は再び繰り返される。ましてや、自らの責任を不問にした藤社長が、取締役として安全対策や品質管理を担当するというのだからなおさらだ。

2005年3月25日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
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