2次系配管「管理指針」の評価に関しては、
配管の減肉率が最大となるデータを用いて評価し直すことを求める
要    請    書


美浜発電所3号機二次系配管破損事故調査委員会 御中
経済産業省 原子力安全・保安院 御中

2004年9月23日


 第5回美浜発電所3号機二次系配管破損事故調査委員会に原子力安全・保安院から提出された美浜3号機事故に関する「中間とりまとめ(案)」(資料5−1−5)においては、「PWR管理指針」の評価が行われています。そこでは、「実績減肉率は、『PWR管理指針』に規定されている初期設定減肉率を一部を除き下回っており、同指針に規定された初期設定減肉率は概ね妥当なものと評価される」と記述されています(9頁)。これが、「中間とりまとめ(案)」のPWR管理指針に関する基本的な評価であると伺えます。
 その判断の根拠となっている実績減肉率のデータとは、保安院が8月11日付け報告徴収によって電気事業者から集めたPWRについては21箇所及び美浜3号機の38箇所の減肉率データとなっています(9頁脚注10)。
 これらの減肉率が管理指針の初期設定減肉率の範囲内にほぼ収まっているというだけで、どうして「初期設定減肉率は概ね妥当なものと評価される」という一般的な結論が出せるのでしょうか。電気事業者が提出した減肉率のデータは、1号機1部位というだけでなく、どの部位を選ぶかは電気事業者の裁量に完全に委ねられたのです。このことについて、9月13日に福島みずほ議員と市民が行った保安院交渉の場で、保安院・検査課の荒川統括安全審査官は、各号機につき1例のデータを出すよう口頭で要請し、「このときは、そのデータを使って減肉率の評価をしようなどというつもりはまったくなかった」と何の躊躇もなく述べられました。
 提出されたデータの減肉率がその号機で最大の減肉率になっているという保証は何もありません。むしろ、例えば女川2号の例が示すように、電気事業者としては、極端なデータを出すのを避けたと考えるのが自然です。そうすると、提出された減肉率が管理指針の初期設定減肉率の範囲内に収まるのはきわめて当然のことだと言えるわけです。
 また、「一部を除き下回っており」という表現からして、本来安全余裕をもってすべてを包絡するはずの管理指針の範囲をすでに超えている例があることを保安院自身が認めています。すなわち、これまでの予想を上回るスピードで減肉が進んだ例がすでに存在しているということです。それにも係わらず、「概ね妥当」との一般的な結論がどうして出せるのでしょうか。
 今後、「中立的な機関により、透明性のあるプロセスで検討し、公開される新しい民間指針をとりまとめる」方向が示されていますが、この方向は「同指針は概ね管理手法として適切である」との判断を前提としています(11頁)。今後さらに検討をするとしても、保安院の報告収集で収集されたデータは前述のものしかないわけです。
 真に、現在の管理指針が妥当かどうかを判断するためには、減肉率が各号機で最大となっている部位のデータを集める必要があるのは明らかなことです。そのために、ぜひもう一度保安院から報告徴収をだしていただくよう要請します。

要   請   事   項

 各号機ごとに2次系配管の減肉率が最大となっている部位のデータを電気事業者から収集し、それを用いて「PWR管理指針」を見直してください。

2004年9月23日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
 京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
 大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581