5名もの死者を出した美浜3号機事故の訴えから目をそらすな
国の事故調査「中間報告」(9/27)による幕引きを許すな!
「中間報告」の矛盾を突いて、国と関電の責任を追及しよう!
■検査リスト漏れの経緯は未だ不明
■2次系配管の「管理指針」は破綻している


 5名もの死者を出した美浜3号機事故から1ヶ月半になります。国の事故調査委員会の第6回会合は、27日(月)午前8時30分〜10時の予定で開催されます。保安院はその場で「中間報告」をまとめ、事故の幕引きを図ろうとしています。朝の8時半から委員会を開くなど前代未聞です。10時から、経産大臣が関電社長と会い、行政指導を行う。こうして午後からの内閣改造の前に形式を整えようとしているのです。

 保安院は、事故の原因を単なる「管理ミス」とし、事故は、原子炉に影響を与えるようなものではなく、死傷者についても、基本的に労災扱いにしようとしています。関電の「たまたまのミス」が問題なのであり、安全性無視・人命無視の関電の体質そのものを問題にしようとしていません。国の責任については一切不問です。事故の背景にある、老朽原発の安全対策や、定検短縮・修繕費削減などの経済性最優先の危険な運転については一言も触れていません。いや、老朽炉にむち打つ危険な運転を継続するために、事故を過小評価し、早期の幕引きを狙っているのです。こんな内容で、5名もの死者を出した美浜3号機事故の幕引きなど許されません。

28年間点検リストから漏れていた経緯は一切解明されていない
「契約書にリスト漏れの報告義務はなかった」(保安院の調査)

 保安院が9月17日の第5回事故調査委員会に出した「中間とりまとめ(案)」では、破断した配管が28年間点検リストから漏れていた経緯についてもなんら解明されていません。保安院の調査で明らかになったのは、「契約書には点検リスト漏れの報告義務がなかった」ということです。だからしかたがないと言わんばかりです。結局、リスト漏れの責任は、「関電の過去の品質保証が機能していなかった」と結論づけています。そして、国の責任逃れのために、昨年10月の法改正で、電力会社の自主検査であった2次系配管の検査が法律で定められた厳しい検査となっていると強調し、関電も今年5月には新たな保安規定が認可され、厳しい品質保証を行ってきているとまで書いています。事故のたびに見せつけられる国と電力会社のなれ合いも、ここまできています。

2次系配管「管理指針」の破綻に目をつむる保安院
 美浜3号の配管が破断したのは、水の流れによって管の肉が削られ、減肉が予想を超えるほどのスピード(減肉率)で進んだことにありました。大飯1号の減肉しないはずの箇所でも、知らない間に肉厚が法定の最小限度を超え、約7年間も違法運転をしていたことが明らかになりました。女川2号では1年に3mm以上も減肉が進んだという隠された実態が、この事故を契機に初めて明らかにされました。
 2次系配管の全体的な実態はいったいどうなっているのか、とりわけ、減肉が最も早いスピードで進んだ場合のデータが収集され、詳細に検討されねばなりません。ところが、保安院は、そのようなデータを集めることを頑なに拒んでいます。電力会社が勝手に選んで保安院に提出した1原発1例のデータだけから、現在の配管管理のやり方(管理指針)は妥当だとの結論を出し、それでもって事故の幕引きをしようとしているのです。

「中間報告」の矛盾を突いて、国と関電の責任を追及しよう
 5名もの死者を出した大事故だからこそ、定検短縮などで老朽炉にむち打つ経済性最優先の危険な運転に警告を発する事故だからこそ、関電の安全無視の体質を改めて警告する事故だからこそ、国と関電は早期に幕引きしようとしているのです。事故が訴えるものと、事故を軽々しく扱う国・関電の姿勢の間には、大きな落差が生じます。そのため、保安院の「中間とりまとめ(案)」は矛盾に満ちたものとなっています。
 点検リストから漏れていた経緯については、泊原発1号と敦賀2号でも当初は破断した配管と同じ部位が点検リストから漏れていました。しかし、この二つの原発では、その後リストに復活しました。ではなぜ、美浜3号ではリスト漏れが放置され続けてきたのか。この基本的で重要な問題について、保安院は何も語っていません。
 また、保安院は、2次系配管の「管理指針」に収まらないような激しい減肉が生じていることに目をつむることは出来なくなっています。女川原発での大幅減肉は、BWR原発の配管の管理のあり方についても問題を投げかけています。これは、私たちも参加した9月13日の保安院交渉でも明らかになりました。
 このような「中間報告」の矛盾を具体的に突いて、関電と国の責任を追及していきましょう。

福井の人々と連携を強め、老朽原発の運転を止めよう
 福井県知事は、24日に経産大臣宛に要請書を出しました。その中で、「正に美浜3号機の事故は高経年化対策を怠った事故である」と厳しく指摘し、老朽化対策の再検討、2次系検査に関する国の関与等を要求し、国の責任を問うています。
 国・保安院による事故の幕引きを許さず、地元福井の人々と一層連携を深め、運動を進めましょう。老朽原発を止めて、脱原発へと具体的に進んでいきましょう。