関電の行為が違法であることを、関電自身が認めるよう指導してください
関西電力の水力発電所における大規模で悪質な違法行為等に関して
徹底した監督・指導・処罰を求める要望書


国土交通省近畿地方整備局長  布村明彦 様
同 河川部 水政課長  東本義男 様
同 河川部 河川環境課長  村上敏章 様

 貴局におかれましては、日頃から、河川行政に熱意を持って取り組んでおられることと存じます。

 私たちは、関西電力の原子力発電所の運転に反対して活動している市民団体です。 
 このたび、貴局の報告聴収指示などにより、関西電力の水力発電所において、大規模で悪質な違法行為が次から次に明らかになっています。原子力発電所のみならず水力発電所でも違法行為を続けてきたことは、関西電力の安全軽視と傲慢な体質がいかに根深いものであるかを改めて示していると思われます。

 関電が2月14日に貴局に提出した「自主点検追加調査等に関する報告書」は、関電の体質を如実に示すものです。この報告書の「おわりに」では、「データの改ざんならびに流水占用の許可申請漏れの可能性について報告致しました」と記しています。許可申請を出さずに違法行為を行っていたことを報告しているにも係わらず、「申請漏れの可能性」などと書いており、この時点では、「違法」であることを認めていません。私たちが2月15日に関西電力と交渉した際にも、盗水が違法であることを認めず、「違法の可能性がある」と述べるだけでした。自ら違法であることを認めないのに、「コンプライアンスの順守」を何度繰り返しても全く意味がありません。

 また、川合発電所での超過取水に関するデータ改ざんの「根本原因の一つ」として「データの整理は年1回の作業であるため、超過取水が明らかになった時点では、既に超過取水を抑制するための対策を実施することもできず、データ整理を行う担当者は改ざんせざるをえない状況であったこと」をあげています。
 超過取水が違法であることをはっきりと認めることもなく、超過して取水したから、データ改ざん「せざるをえない」とは、自らの免罪を当然のこととして規制当局に認めさせようとする姿勢です。このような関電の姿勢を断じて容認しないでください。

 さらに、違法行為の根源は、許可取水量ではフル出力できないにもかかわらず、フル出力で稼働率をあげることを最優先させている姿勢にもあります。河川法を守ることよりも、発電を最優先させる姿勢は、5名もの死者を出した美浜3号機事故で、法律で定められた検査や配管肉厚の技術基準を守るより、経済性を最優先にした運転を続けていたことと同じです。

 関電は上記報告書の中で、再発防止策の第一番目として「トップマネジメントが現場第一線職場とコミュニケーションを図る」としています。2004年8月9日の美浜3号機事故後の再発防止策(2005年3月1日)と全く同じものです。原発でも「トップマネジメント」、「現場とひざ詰めの対話」を強調していますが、それ以降、今年2月16日には、美浜原発1号機でECCS(緊急炉心冷却装置)系配管の溶接で、国の許可を得ずに無断で違法溶接を行っていたことが明らかになりました。

 1999年、高浜原子力発電所4号機で使用される予定のMOX燃料のデータねつ造事件があった時には、規制当局(原子力安全・保安院)に「データねつ造はない」と虚偽の報告をした経歴をもつ会社です。

 このように、関電の違法やデータ改ざん・ねつ造等は繰り返されており、関電に深く染みついた体質となっています。

 普通の会社であれば、これだけ違法行為を重ねれば顧客離れによって倒産の憂き目を見ることになります。しかし電力会社という地域独占によって「顧客離れ」の心配はなく、その上にあぐらをかく大企業関電の姿勢は、「我こそが法律」と言わんばかりです。
 だからこそ、以下のことを強く要望します。

要  望  事  項

1. 関西電力に対しては、とりわけ厳しく監督し指導してください。
2. 違法行為については、関電が違法と認めるように指導してください。
3. 2月14日の「報告書」を出し直すよう指導してください。
4. 河川法違反に基づく、厳重な処罰を与えてください。

 2007年3月8日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581