英国SMP施設におけるMOX燃料加工について
質問書と回答(5月27日)


関西電力(株)社長 森 詳介 様
2010年5月21日

T.SMP施設と関西電力

 前記プレスリリースには「このたび、NDAが英国セラフィールドに所有するMOX燃料加工工場(SMP)における将来のMOX燃料加工に関する全体的な枠組みについて合意いたしました。」と書かれています。

1. 1999年にBNFL社はMOX燃料加工施設MDFで関西電力MOX燃料の品質保証データに不正を行っています。その後BNFL社、そしてNDAの元で運営されているセラフィールド施設で多くの技術的また「企業文化」の質を疑う問題が起こっています。同じことがSMP施設で行われないことをどのように保証していますか。

答) 英国側は、データ改ざん問題以降、英国政府および日本電力メーカーからの改善要求の達成に注力してきた。というふうに聞いている。当社としてのMOX燃料加工は、NDAにおける再発防止対策の確実な実施等、過去のBNFL製MOX燃料データ問題をふまえた対応が行われていることが必要である。今後、諸条件が整った段階で当社のMOX燃料プロセスにもとづき、契約前の品質保証システム監査を実施し、SMPがMOX燃料メーカーとして、当社の要求事項を満たす、MOX燃料の製造をおこなう能力を有することを、確認することとしており、これまでと同様、安全最優先に、ステップバイステップで進めることとしている。

2. 貴社は1999年、BNFL社から不正があったという報告を受けていてもそれを福井県をはじめ一般に公開せず握りつぶしていたことがその後明らかになりました。この貴社の「企業文化」の問題についてこの10年間以上なんら反省が行われていません。福井県に対しこの問題について詫び、二度とこのようなことが行われないよう具体的に何か示しましたか。

答) 当社は、平成15年10月23日BNFL問題の再発防止対策等に基づき、品質保証活動の改善内容をとりまとめた報告書(海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について)を国、福井県、高浜町に提出した。異常事象等、発生時の連絡を含む、当社の改善した品質保証活動については、国、福井県および高浜町にご確認いただき、平成16年3月20日に、福井県および高浜町より、プルサーマル計画を進めていくことについてご了承をいただいた。当社は、福井県および高浜町から、MOX燃料調達の節目となる、行程の各段階で報告するよう求められたことから、平成16年3月26日、「海外MOX燃料調達の今後の進め方について」を提出し、これに基づき各ステップで報告をおこない、確認を受けている。

3. SMP施設の契約内容ですが、製造における品質データは全て公開させるよう契約する予定ですか。

答) 今回の合意は、加工契約ではない。仮に、加工契約を締結するとすれば、将来の話であることから、現時点において、その内容についてお答えすることは差し控えたい。なお今後、加工契約を締結する場合は、事前にSMPでの製造状況を確認するなど、諸条件が整った段階で、当社の調達プロセスに基づき、契約前にSMPの品質保証システムを監査し、SMPがMOX燃料製造メーカとして、当社の要求事項を満たす燃料を、製造する能力があることを確認した上で進めていくこととなる。

4. 燃料製造工程のスタート(プルトニウムとウラン混合過程)から立ち会える契約にする予定ですか。

答) 今回の合意は、加工契約ではない。仮に、加工契約を締結するとすれば、将来の話であることから、現時点において、その内容についてお答えすることは差し控えたい。なお今後、加工契約を締結する場合は、事前にSMPでの製造状況を確認するなど、諸条件が整った段階で、当社の調達プロセスに基づき、契約前にSMPの品質保証システムを監査し、SMPがMOX燃料製造メーカとして、当社の要求事項を満たす燃料を、製造する能力があることを確認した上で進めていくこととなる。

5. 前記プレスリリースでは、「SMPにおける将来のMOX燃料加工の手配については、諸条件が整った段階で進めていくこととなります。」と書かれていますが、その諸条件であるはずの「地元・地域の皆さまのご理解」を得るのに、具体的にどのように進めるのですか。契約前に行うのですか。

答) 今回の合意はMOX燃料の燃料調達プロセスにある加工契約ではなく、SMPからMOX燃料を調達する場合においても、今後SMPでの製造状況を確認するなど、諸条件が整った段階で、当社のMOX燃料調達プロセスに基づき、契約前の品質保証システム監査を実施し、SMPがMOX燃料製造メーカとして、当社の要求事項を満たすMOX燃料の製造を、おこなう能力を有することを確認した上で加工契約を締結としています。

6. 貴社が英国で回収したプルトニウムの量は、核分裂性プルトニウムで約1.8トンと公表されています。全プルトニウムではいくらですか。また、小数点以下2桁までの数字ではそれぞれいくらになりますか。

答) 2009年12月末の現在で、英国に所有する量は、核分裂性プルトニウムで、1.84トン全プルトニウム2.71トン

7. これらは、何体分のMOX燃料集合体に相当するのですか。

答) 1.84トンは、MOX燃料、約60体分に相当。

U.SMP施設の改造について

 5月13日のプレスレリースでは、「本合意では、SMPにおける将来のMOX燃料加工について、経済性確保のための生産能力向上方策やそれに伴う費用負担、MOX燃料加工を進める上での原則等をNDAとの間で取り決めております。」と書かれています。これについて質問します。

1. SMPは年120トンのMOX燃料を加工するよう設計されていたものの、運転開始以来の8年間で、10トンあまりという極少量のMOX燃料しか製造出来ていません。このような技術的に機能しない施設に何故お金を投資し、MOX燃料加工契約を結ぼうとするのですか。

答) SMPは操業開始以来、低稼働の状況が続いており、どう施設の所有者であるNDAにより、閉鎖の可能性も含めて検討が進められてきた。一方、電力10社は、再処理委託により、英国で回収されるプルトニウムは、英国でMOX燃料に加工することを基本として考えてきた。電力10社は、NDAと協議を行ってきた結果、英国で回収されるプルトニウム全量を経済性を確保した上で、加工できる見通しを得ることができたため合意にいたった。今回の合意は、加工契約ではない。[以下、Tの3の回答と同じ]

2. 今までSMP施設での製造が停滞していた理由は何故で、どうして製造できるようになったのですか。

答) 燃料棒加工工程で、不具合の多くが発生していることから、生産能力の向上を図るため、主として、燃料棒製造ラインの設備改造を実施します。現在は、不具合発生時の復旧に、長時間をようする修理性の悪い方式の燃料棒製造ラインを採用しているが、今後はこのような方式とは異なる、修理性の優れた燃料棒製造ラインに設備改造すると聞いている。

3. ドイツとスイス分の製造が出来たのに、なぜ改造が必要なのですか?

答) ドイツ、スイス向けの加工実績から、現状の設備でも、少数のMOX燃料の加工は可能と考えられるが、経済性を確保するためには、設備改造をおこない生産性を向上させることが必要であるため。

4. 貴社は元々のSMP設備をつくる際、及びその後の経過の中で財政的援助はしてきたのですか。

答) 過去に、財政支援を行ってきたという事実はありません。

5. SMPの現在の生産能力120t/年を何トンまで増やすのですか。

答) 経済性を確保するために、ある一定のレベルに生産性を向上させる必要があるが、設備改造後の具体的な生産能力については、商業上の機密事項に当たるため回答は差し控える。

6. 改良工事は、製造のどの工程で、どのような改良をするのですか。
(回答できる範囲でいいのでお答えください。)

答) 生産能力のボトルネックになっている、燃料棒の製造ラインから、実績があり信頼性のある燃料の製造ラインに設備改造することとしています。

7. 貴社を含む日本の顧客は、増強改修費用の全額を負担するのですか、それとも一部なのですか。また、負担額はいくらですか。

答) 当社を含む電力10社は、生産能力向上に伴う費用負担をおこなうことになる。
ただし、電力10社が、生産性向上に伴う必要となる費用を、どの程度負担するのかとか、電力10社の負担金額の詳細については、商業上の機密事項であるため回答は差し控えさしてもらいます。

8. 貴社はいくらの負担額をひきうけるのですか。

答) 当社の負担金額の詳細については、商業上の機密事項であるため回答は差し控えさしてもらいます。

9. 負担額の会計上の費目は何ですか。

答) 将来的に、MOX燃料の取得価格に導入される支出であるため、核燃料勘定に整理されます。

10. 貴社の負担額をMOX燃料に上乗せすると、コストへの影響はいくらですか。或いは燃料集合体の価格全体の何%相当になりますか。

答) 詳細は、商業上の機密事項であるため、具体的な数字に関しては、回答は差し控えさしてもらいます。

11. NDAのSMPにおけるPWR用MOX燃料製造実績は何体ですか。
(2002年の操業開始から現在までの実績)

答) スイス向け16体、ドイツ向け8体。

12. 改修工事後、関電のMOX燃料は何時製造開始され、いつまで製造する予定なのですか。何処の原発のどの炉のMOX燃料なのですか。

答) 当社としては、今後、諸条件が整った段階で、当社のMOX燃料調達プロセスに基づいて契約前に品質保証システムを監査して、SMPがMOX燃料製造メーカとして、当社の要求事項を満たす燃料を、製造する能力があることを確認した上で加工契約を締結すると言うことにしておりますので、現時点で、いつからと申し上げる段階ではありません。

2010年5月21日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(10/06/01UP)