MOX燃料ペレット不合格問題−−自主検査項目の「全不純物総量」
不合格になったペレットの方がかえって安全という国の見解に関する
関西電力への質問書と回答(2009年11月6日)


関西電力(株)社長 森 詳介 様
2009年10月20日

 貴社は、8月19日にプレスリリースしたMOX燃料ペレット不合格問題に関する自主検査項目などについて、国に報告したとのことでした。また、自主検査は国の検査より高度な基準で行われているものだとの趣旨でした。
 そこで私たちは、国の見解を確かめるために、10月7日に近藤正道参議院議員のヒアリングの場で原子力安全・保安院の原子力発電検査課の石垣宏毅・総括安全審査官及び百瀬孝文・施設検査係長と質疑応答を行いました。
 そのとき検査課は、不合格が発生した当該検査項目が「全不純物総量」であることを前提にして考えを説明しました。その基本的な考えは、自主検査は燃料の効率的燃焼のために行われていること、データが設定した範囲を逸脱した方が安全側に働くというものでした。安全側に働くという意味は、不純物が多い方が燃えにくくなり、燃料の中心温度が上がりにくいからだとの説明でした。このことは、不合格になったペレットの方が、かえって安全だという見解でした。
 このような国の考えを踏まえて、以下の質問を行います。
 自主検査は、貴社の自主的な判断のもとに行われています。貴社の考えを示してください。

1.  貴社は自主検査を、安全性のためではなく燃料の効率的燃焼のために行っていると考えていますか。
答)  自主検査の目的は、より高い品質の燃料を調達するため製造安定性の確認などを行うことであります。

2.  「全不純物総量」が限度を超えた方が安全側に働くと考えていますか。もしそうだとすれば、その理由を説明してください。
答)  「全不純物総量」が目標値を超えるなどした場合は、その燃料は当社では使用しないとしています。

3.  国の技術基準「発電用核燃料物質に関する技術基準を定める省令」では、不純物に関してはウラン燃料には4元素について濃度規定があります。MOX燃料には濃度規定のような仕様に関する規定はないという理解でいいですか。
答)  MOX燃料については具体的な元素、基準値は技術基準では示されていない。

4.  貴社の輸入燃料体検査申請書では、不純物について40種類の元素が挙げられていますが、ASTM(アメリカ材料試験協会)の規定でもそれほど多くの元素は書かれていません。何を基準にして不純物を選んだのですか。
答)  ASTMウラン燃料で定めている不純物を考慮し当社が選定した。

5.  ASTMの規定では、「全不純物総量」に関する上限値も記載されています。貴社は、これをもとに目標値を設定したのですか。
答)  ウラン燃料で定めている目標値を参考にし、設定した。


 2009年10月20日
 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之





MOX燃料に関する、法的根拠を持った国の具体的判断基準等に関する
関西電力への追加質問書と回答(2009年11月6日)


関西電力(株)社長 森 詳介 様
2009年11月2日

 
1.  貴社は自主検査の項目に「全不純物総量」を入れています。この「全不純物総量」を検査項目に入れた理由は何ですか。
答)  ウラン燃料もMOX燃料も不純物総量が燃料に与える影響という点では同等であるため、ウラン燃料などの今までの経験を基に自主検査項目としたものである。

2.  貴社は国の検査に合格するために、輸入燃料体検査申請を提出しています。合格するためには、国の基準を守る必要があります。その場合、国の判断基準として、例えば、MOX燃料の「不純物」の上限値に関して、法的根拠を持った具体的基準は何ですか。
答)  ペレット不純物は被覆管への影響等を考慮して上限値を決定することから、豊富な実績のあるウラン燃料に対する経験、MOX燃料に関する海外での使用実績等をふまえ、上限値を設定した。
 保安院に当社の上限値設定根拠を説明し、国が審査を行い妥当と判断したものと考えている。


(上記質問事項についても、11月6日の交渉で回答してください。)
2009年11月2日

 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
      京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
      大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(09/11/09UP)