関西電力の原発耐震性の問題について
活断層の連動性を否定していることに関する質問書
[8月22日の回答]


関西電力(株)社長 森 詳介 様

2008年7月28日

 5月16日の交渉で活断層が連動して動くことを、貴社は事実上否定していました。ところが、国の審査でも同様のことが問題となっています。貴社等の「中間報告書」を審査している「総合資源エネルギー調査会の『地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ』のCサブグループ」で各委員から活断層調査結果について数々の異議が出ています。
 これらに関連して質問します。

1.7月3日の国の委員会(Cサブグループ)では、B断層と野坂断層の連動だけでなく、「大陸棚外縁断層」もつながって連動する可能性があると指摘されています。さらに、「後期更新世以降の活動はない」とする貴社の評価結果に対し「解釈に無理がある」とも指摘されています。
(1)この指摘を受け入れ、B断層(断層長さ:約19q、マグニチュードM:6.8)、野坂断層(約12q、M6.8)及び大陸棚外縁断層(長さ約10q、M6.8)をひとつながりの活断層と評価しなおすべきではないですか。
回答)当社は最新の手法を用いて、海上音波探査と地質調査を実施しまして、周辺の地質構造なんかを加味して、あらゆる角度から検討を行いまして、一連で活動するものではないという風に評価しています。ですけれど、委員の先生方から受けたコメントにつきましては、今後、これまでに収集したデータなんかを再度確認、検討して得られた結果について、次回以降の合同ワーキングの審査グループの場でご説明させていきたいと思っています。

(2)さらに、国の地震調査研究推進本部(以下、推本)が評価しているように陸地側にある集福寺断層(長さ約10q、M6.5)も含めてひとつながりの活断層とするべきではないですか。

注)ゴシック体文字は、推本の評価

回答)私も推本さんのホームページを見ましたけれど、推本さんでも野坂断層帯と集福寺断層帯の間には、4キロの不連続というのを認められており、この不連続の区間に南西方向に敦賀断層が延びていて両断層を二分しているから野坂断層と集福寺断層のそれぞれを独立の起震断層と評価されていると思っています。
 当社も同じように敦賀断層を耐震設計上考慮すべき活断層と評価して、野坂と集福寺を二つに分けて、二分していると考えて、一連のものとして考慮する必要はないという風に思っています。

2.また、和布−干飯崎断層(長さ約32q、M7.3)、甲楽城断層(長さ約19q、M6.8)、柳ヶ瀬断層(長さ約28q、M7.0)の評価について、貴社は連動性を否定していますが、これにも批判が出ています。
 推本が評価しているように、山中断層(長さ約5q)を活断層と評価し、和布−干飯崎断層、甲楽城断層、山中断層、柳ヶ瀬断層をひとつながりの活断層として、さらには鍛冶屋断層、関ヶ原断層ともつながっている活断層として、長さ約100q、M8.2以上の地震を想定して評価しなおす必要があるのではないですか。

注)斜体文字は、活断層研究会の評価

回答)我々としては、詳細な地形とか地質調査を実施して、一連で活動するものではないというふうに評価しています。
 山中断層に関しましては、活断層ではないと思うといった先生のコメントもありましたけれども、データ拡充したほうが望ましいという委員のコメントも踏まえまして、事業者としては自主的に調査しています。

3.断層の連動性評価に関して、推本は、5q以内にある複数の活断層は連動して動くと評価するよう注意を促しています。
 しかしこの点については、貴社は以前の交渉で、「推本は(断層と断層の間が)5q以内なら全てつないで評価しているだけ」と、あたかも推本の見解は根拠のない機械的なものであるかのような回答を行いました。今でもこの見解に変わりはないのですか。
回答)推本につきましては、全国の活断層を一律に評価するために松田の5キロルールを採用していると認識していまして、それも一つの考えであるという風には考えていますけれども、合同ワーキンググループの先生方のコメントには5キロ以内の離隔であっても性状が異なる場合には異なる地震断層とすべき、要するに、すべて推本に対応している5キロルールで評価する必要はないという風なご意見もございます。
 当社は、詳細な地形・地質調査を実施して、周辺の地質構造なんかを加味して検討し、耐震設計上考慮すべき断層というのを評価しています。
 先生方から受けたコメントについては、我々としてはこれまで集めたデータを再度確認、検討して結果については、合同ワーキングの場で説明していきたいという風に思っています。

4.今年6月13日、原子力安全委員会は、「活断層等に関する安全審査の手引き」を定めました。「手引き」は、変動地形学専門の委員から出されたリニアメント評価の誤りの指摘を考慮し、変動地形学的な手法を全面的に取り入れています。
 貴社の「バックチェック中間報告書」によれば、「変動地形学的視点に基づいた地形調査」を実施した(3−1頁)と記載していますが、リニアメント調査とは異なる変動地形学的調査の内容がどのようなものかを示してください。
回答)新しい手引きに記載されていますように、断層通過時点の変動だけでなくて、広域的な変動の観点から、変位とか変形を対象として検討を行っています。例えば、越前海岸沿いに分布する海成段丘面の分布構造などから海域に活断層を推定したり、上林川断層では周辺の段丘面の傾斜から活断層を認定したりとか、そういうことをやっています。

5.5月16日の交渉で、敷地の直下に活断層面が見つかったことから、地盤の不等沈下・隆起に対して安全性が確保されているのかとの質問に対し、「地盤のズレについて公表していないが、内部では検討している」との回答でしたが、内部での検討内容を示してください。
回答)地盤の隆起とか沈降に対する安全性につきましては、原子力安全保安院から示されましたバックチェック中間報告等にかかる審議のポイントの一つに挙げられておりますから、今後合同ワーキンググループの会合の場で示していくことになります。

2008年7月28日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581

(08/08/04UP)