美浜3号機の起動などに関する質問書(回答は1月16日)

関西電力社長 森 詳介 様

2007年1月10日

 本日、貴社が美浜3号機を起動したことについて、抗議声明を送りました。同時に、起動前の交渉を要求していましたが、貴社の都合で、交渉は1月16日となりましたので追加の質問を提出します。下記内容について、16日に回答を求めます。

1.スケルトン図の公開について
 高浜2号機の必要最小肉厚を割り込んだ部位に係わるスケルトン図について、前回の交渉では公開できないとのことでした。しかし、福井県は情報公開は重要であり、スケルトン図等は当然公開すべきものだとの趣旨の発言を1月9日にされています。高浜2号機の当該箇所のスケルトン図を公開してください。
(答)スケルトン図については機器配置に関する図面であり公開は差し控えさせていただきます。

2.今回の美浜3号機第21回定検での措置について
 炉内計装筒管台については、ウォータージェットピーニングを実施したと書かれています。美浜3号機は実質的運転時間が長いことから、炉内計装筒管台にひび割れが発生している可能性が高いと思われますが、ECTは実施したのですか。実施していないとすればなぜですか。
(答)ECTを実施して有意な信号は見つかっておりませんでした。

3.美浜3号機のわずか2ヶ月の本格運転について
 美浜3号機は2月上旬に営業運転に入り、4月上旬にはまた定期検査で運転を停止するとのことです。なぜわずか2ヶ月の運転を行う必要があるのですか。「夏場の電力供給に備えて」という理由であれば、そのまま夏前まで運転を停止していても問題はないはずです。
(答)当社が美浜3号機の次回定期検査の時期を19年4月上旬からとしたのは、次の判断をしております。一つは、プラント停止中、これは美浜3号機の運転停止中のことですけども、においても連続的に運転している機器、これは計器用コンプレッサーとか環境空調機器なんかでございますが、機器等についてはこれまでから約1年周期で点検してきており、前回点検、これは昨年5月でございます、以降約1年が経過する時期になっており、次回定期点検計画を計画していたこと。また、他のユニットの定期検査作業との輻輳(ふくそう)を避けること、という形で他のユニットの美浜につきましては1号機と2号機がございますが、2号機が今年の夏から定検が開始されること、美浜1号機につきましては年を明けて20年の春に予定しておりますので、輻輳を避けるという観点でその前に。また、今回、輻輳を避けるという意味と、もう一つは冬期の定期検査を避け、供給量を確保するという形を考えてこの4月からの定期検査という判断をしております。

4.美浜3号機の破断箇所が未点検だと知った経緯について
 大飯1号の大幅減肉を受けた点検で、美浜3号機の破断箇所が未点検だったことを知ったというのが貴社のこれまでの回答でした。
 美浜3号機の破断箇所が未点検だったことは、若狭支社も把握していたのですか。
(答)美浜発電所からの報告については、事故時点では美浜発電所内において調査結果をまとめていた段階であったため、若狭支社、本店にも報告はされておりませんでした。

5.福井県警の立件との関係について
 新聞報道では、福井県警が今月中にも、元若狭支社長、現原子力事業本部副事業本部長や現場の補修担当者ら計約10人を業務上過失致死傷容疑で書類送検の予定だと報じられています。
(1)元若狭支社長、現原子力事業本部副事業本部長とは、現在も執行役員を務める藤谷堯氏のことですか。
(答)事故当時の若狭支社長は藤谷でございました。現在は原子力事業本部の副本部長をしております。

(2)現原子力事業本部副事業本部長が立件の予定であるということは、一個人ではなく、関西電力という会社の責任が問われているというように理解しますか。
(答)捜査に関する事項であり、また、仮定のことについてはコメントを差し控えさせていただきます。

(3)藤谷氏は、美浜3号機事故の「再発防止策を着実に推進するための『原子力保全改革委員会』」の当初からの委員でした。事故を引き起こした責任者であり立件の対象となる人物が「再発防止策」を進めていたことになります。このことは、貴社の「再発防止策」が根本から問い直されていることを示しているのではないですか。
(答)関西電力として平成17年3月に最終報告書をとりまとめ、再発防止対策に取り組んできており、再発防止対策の実施、定着の状況については、福井県の安全専門委員会、国の保安検査、特別な保安検査、事故調査委員会、また、当社の第三者を主体とする原子力保全改革検証委員会などで確認していただいております。

(4)業務上過失致死傷容疑で立件されることが分かっているのに、その直前に美浜3号機の炉の起動を強行したのはなぜですか。
(答)捜査のことに関しては当社は関知するものではございませんが、12月に起動を発表させていただいた際、次のように起動について説明させていただいております。安全を確保しつつ、地球温暖化防止、エネルギーセキュリティ確保といった課題に対応していくことは当社の社会的使命であり、美浜3号機もその役割を担わなければなりません。こういった当社の果たさなければならない使命、現地の社員や協力会社の方々の状況、そして、ご遺族の気持ちなどを総合的に判断し、美浜3号機の起動をすることにしました。

(5)藤谷氏は美浜3号機事故前に、福井新聞(2004年2月14日付)の一面広告に登場し、高浜プルサーマルの再開を訴えていました。立件の対象となる原発の品質保証の責任者であった人物が進めていた高浜プルサーマルの内容が、貴社のプルサーマルの出発点となるのでしょうか。
(答)今後、プルサーマル計画については、美浜3号機の本格運転再開以降にその進め方を検討していきたいと考えております。

6.高浜3・4号機のプルサーマル再開について
 社長は1月5日の福井県での記者会見で、「美浜3号機が再開して、安全安定運転が確認された段階から具体的な取り組みを検討したい」と述べ、「検討を始める時期について2月上旬の営業運転再開後と明言」したと報道されています。また社長は「契約は生きているが、品質保証を確認してから年月がたっているので、その辺も含めて考えたい」、「(計画を)止めてから2年半の年月がたっており、新たな取り組みについても(県や地元に)ご報告申し上げて理解をいただかなければならない」とも述べています。
(1)プルサーマル再開は、どの時点から再出発になるのですか
(答)プルサーマル計画の今後の進め方については、美浜発電所3号機の本格運転再開後、検討したいと考えております。

(2)「新たな取り組み」とはどのようなものですか。
(答)今後のプルサーマルの取り組みのことでございます。

(3)2004年7月12日付「海外MOX燃料調達に関する品質保証システム監査結果について」について
[1]この報告書に書かれている内容は再検討するのですか。
(答)美浜3号機の本格運転再開に集中しており、現時点で申し上げられる状況ではありません。

[2]元請会社及び海外MOX燃料加工メーカに対する品質保証システム監査の実施体制では、監査の管理責任者が原子力事業本部副事業本部長となっています。原子燃料部門の副事業本部長には、原子力企画・原子燃料(計画、契約)担当と原子燃料(サイクル、品質・安全、燃料技術、輸送)担当がありますが、ここに書かれているのはどちらの担当ですか。
(答)原子燃料(サイクル、品質・安全、燃料技術、輸送)というものが担当する形になります。

[3]この報告書で、BNFL事件の反省については書かれているものの、2001年12月にコジェマ社製造のMOX燃料を、多額の賠償金を払ってまですべて廃棄処分にした事件のことが何も書かれていませんが、それはなぜですか。
(答)本報告書は当社と原子燃料工業およびコモックス社と3者間で締結したMOX燃料の調達に関する基本契約に基づきMOX燃料の調達候補先のMOX燃料の成型加工に関する品質保証システムが我が国の規制当局と当社が要求する水準であることを確認することを目的とした報告書であるため、書いておりません。

2007年1月10日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
  京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
  大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581