関西電力の「六ヶ所再処理工場回収プルトニウムの利用計画」
に関する抗議・質問書


関西電力社長 森 詳介様

2006年1月11日

 貴社は昨年12月20日の私達との交渉時にも、美浜3号機の再発防止策に全力をあげており、地元の理解を得るまではプルサーマルを口にすることはできないと言ってきました。しかし、わずか17日後の1月6日に「六ヶ所再処理工場回収プルトニウムの利用計画」を公表しています。美浜3号機の再発防止策について地元福井県から了承を得ていない状況は今も続いており、プルサーマルなどが実施できる状況ではありません。ましてや大飯原発では、事前了解すら出ていない状況です。私達は、貴社が「利用計画」を出したことに強く抗議すると同時に、速やかに撤回するよう求めます。

1.「利用場所」について

(1)社長は美浜3号機の運転再開まではプルサーマルは進めないと年頭の挨拶(1月5日)で述べています。それなのになぜ現時点で「利用場所」を書いたのですか。

(回答)今回公表させていただきました利用場所というものは、2003年12月19日に電事連にてとりまとめて公表しました「プルサーマル計画について」の通り、当社が計画している利用場所を計画、記載させていただいたものでございます。平成16年8月に発生した美浜3号機の事故を受けて現在も引き続き事故の再発防止対策と信頼回復を最優先に取り組んでいる所であり、プルサーマルの具体的な計画については未定であり、お話できる状況にないことについては変わりはございません。

(2)大飯原発では、プルサーマルに関する事前了解願いも出されていないのに、なぜ現時点で「利用場所」としてあげたのですか。
(回答)今回公表させていただいた利用計画で記載している利用場所というものは、2003年12月19日に電事連にてとりまとめて公表した「プルサーマル計画について」の通り、当社が計画している利用場所を記載させていただいたものでございます。

(3)昨年来の貴社の回答の通り、現時点でも美浜3号機の再発防止策が最優先でプルサーマル計画について発言できる状況ではないことに変わりはありませんか。
(回答)平成16年8月に発生した美浜3号機の事故を受けて引き続き事故の再発防止と信頼回復を最優先に取り組んでいる所であり、プルサーマルの具体的な計画については未定であり、お話できる状況にないことは変わりございません。

(4)現時点で「利用場所」を明らかにできないのであれば、利用計画を白紙に戻すべきではありませんか。
(回答)当社としては平成16年8月に発生した美浜3号機の事故を受けて、事故の再発防止と信頼回復を最優先に取り組んでいる所であり、具体的な計画については未定であり、お話できる状況ではありませんが、電力11社、これは、9電力会社と日本原子力発電と電源開発でございますが、11社で2010年までに合計16基から18基でプルサーマルを実施する計画、もともとの計画は平成9年の2月に電事連が発表したものですけれども、実施する計画に変わりはなく、1日も早いプルサーマル計画の実施に向けて不退転の決意であるところには変わりはございません。

2.「利用量」について
(1)計画では年間「1.1〜1.4トン」となっています。また「この利用量には海外で回収されたプルトニウムの利用量を含んでいる」とも書かれています。「1.1〜1.4トン」の内、六ヶ所再処理工場で回収されたプルトニウムの利用量はいくらですか。
(回答)国内MOX燃料加工工場の竣工までにプルサーマル実施する場合は、海外で回収されたプルトニウムを利用することになります。国内MOX燃料加工工場が竣工した後のプルサーマル実施にあたっては、国内プルトニウムと海外プルトニウムの両方のバランスを考え、着実に利用していくことを考えており、現時点ではその内訳は未定であります。

3.「利用開始時期」について
(1)「利用開始時期」として「平成24年度(2012年度)以降」となっています。「以降」とはいつのことですか、具体的に示してください。
(回答)国内MOX燃料加工工場の竣工予定時期である平成24年度、2012年度ですけれども、以降としております。

4.日本原燃は2005年12月22日に「アクティブ試験計画書」を公表しました。その「表3」に記載されているアクティブ試験の各ステップで使用される使用済み核燃料のうち、貴社分に該当するものがあれば、その原発名、燃焼度、使用量及び回収される核分裂性プルトニウム量を各ステップごとに示してください。
[1]第1ステップ(2ヶ月)で使用されるPWR燃料(Pだけで30トン)のうち
 (1) 燃焼度12000〜17000/冷却期間約20年
 (2) 燃焼度30000〜33000/冷却期間約10〜18年
[2]第2ステップ(5ヶ月)で使用されるPWR燃料(PとBの合計60トン)のうち
 (1) 燃焼度30000〜36000/冷却期間約8〜15年
[3]第3ステップ(4ヶ月)で使用されるPWR燃料(PとBの合計70トン)のうち
 (2) 燃焼度16000〜47000/冷却期間約8〜14年
[4]第4ステップ(3ヶ月)で使用されるPWR燃料(Pだけで110トン)のうち
 (3)燃焼度36000〜47000/冷却期間約6〜17年
(回答)各ステップで使用予定の使用済み燃料に含まれる燃焼度およびこれに含まれるプルトニウム量については炉心管理上のノウハウに関連するデータであるため、お答えすることはできません。なお、原子炉名とか再処理量の公表については現在、関係箇所と協議中です。

5.前回の交渉で積み残しとなったものについて─刻印のねつ造に関して
 美浜3号機の取り替え用配管の刻印ねつ造は、2005年10月6日から開始された溶接安全管理審査の過程で明らかになったとのことでした。
(1) ねつ造が明らかになった日時を示してください。
(回答)平成17年の11月3日に判明しております。

(2)基盤機構(JNES)とのやりとりの中でどのようにして「品質保証上の重大な事項であり報告すべき事項であると判断」するに至ったのか、具体的な経緯を説明してください。
(回答)昨年11月2日に原子力安全・保安院より当社原子力事業本部に連絡があり、原子力事業本部から美浜発電所に状況の確認を指示しました。その結果、11月3日に美浜発電所で是正処置シートが発行されていること、10月5日に不適合処理シートに誤って丸印をつけたことを確認し、その事実関係について美浜発電所の方から原子力事業本部に連絡がありました。


2006年1月11日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22?75?103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
     大阪市北区西天満4?3?3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581