関西電力が海外で保有するプルトニウム及び、
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験で回収されるプルトニウムの
利用方法等に関する質問書と回答(10/20交渉)


関西電力社長 森 詳介 様

2005年9月27日

1.国内で保有しているプルトニウムとその利用方法等について
 2003年8月5日付の原子力委員会決定「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」では、「アクティブ試験の段階から使用済み燃料からのプルトニウムの分離、回収が開始されることとなる」とされ、「(1)プルトニウム利用計画の公表」として「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表することとする」となっています。
 一方、プルトニウムの利用目的がない場合、貴社の使用済み核燃料は再処理する必要もなければ、再処理すること自体不可能となるわけです。そのため、下記の項目について具体的に示してください。

(1)六ヶ所再処理工場のアクティブ試験で使用される使用済み核燃料について
 [1]貴社の使用済み核燃料140トンが使用される予定ですか。
 回答:現在のところ、そのとおりです。ただ実際にはアクティブ試験が正式にきちっと承認されたわけではありませんので、現在の計画ではということです。

 [2]そこから回収されるプルトニウムの量はおよそどれくらいですか。全プルトニウム量と核分裂性プルトニウムの量それぞれについて示してください。
 回答:使用済み核燃料に含まれる核分裂性プルトニウムの量については、集合体の種類等により異なることから、現在これを示すことは困難であります。ただし、日本原燃の再処理工場が本格的に作動すると、一定の前提をおくことにより年間約5トンの核分裂性プルトニウムが回収される見込みです。1年間800トンという定常運転の時、燃焼度等一定の条件で計算すると約5トンの核分裂性プルトニウムが出る。

 [3]回収されたプルトニウムはどのような形状で保管されるのですか。
 回答:二酸化ウランと二酸化プルトニウムの混合粉末の形態で保管することになっています。割合は1対1です。

(2)原子力委員会決定に基づき、アクティブ試験で回収される貴社のプルトニウムに関して以下の項目について、その内容を示してください。
回答:使用済み燃料に含まれる核分裂性プルトニウム量については、燃料集合体の種類等により異なるものであることから、現段階でお示しするのは困難であるが、原子力委員会の決定に基づきアクティブ試験開始までに公表することにしております。
 [1]プルトニウムの所有者・・・
関西電力(この[1]〜[6]はやりとりの中での答え)
 [2]プルトニウムの所有量・・・
燃焼度などの関係で具体的に言えない
 [3]利用量・・・
現在のところ、何もお答えすることはできません。
 [4]利用場所・・・
同じくお答えすることはできません。
 [5]利用開始時期・・・
同じく、お答えすることはできません。
 [6]利用に要する期間の目処・・・
同じく、お答えすることはできません。

(3)アクティブ試験で回収される貴社のプルトニウムについて、他の電力会社等への譲渡、売却、買い取り等の予定はありますか。
 回答:そのような具体的な予定はありません。

(4)貴社は今年8月9日に、六ヶ所再処理工場での再処理契約を改訂して、これまでの1847トンから6030トン(2034年まで)に引き上げたとのことです。
 6030トンから回収されるプルトニウム量とその利用方法について示してください。
 回答:使用済み燃料に含まれる核分裂性プルトニウム量については、燃料集合体の種類等により異なるものであることから、これを長期間にわたり推定しお示しすのは困難です。ただし、日本原燃の再処理工場が本格的に稼働すると、一定の条件をおけば年間約5トン弱の核分裂性プルトニウムが回収される見込みです。国の方針では当面のところ、プルサーマル及び高速増殖炉等の研究開発において利用されることになっており、当社としてもその方向にのっとって利用していくことになります。

(5)東海再処理工場でこれまで再処理された使用済み核燃料と回収されたプルトニウムに関して以下の項目について、その内容を示してください。
 [1]東海再処理工場で再処理された使用済み核燃料の量等の確認
   これまで、使用済み核燃料200トンを搬出し、うち171トンを再処理して回収したプルトニウム量は、全プルトニウムで1.2トン、核分裂性プルトニウムで0.9トンに間違いないですか。
 回答:そのとおりです。

 [2]回収されたプルトニウムの利用場所と利用量を示してください。
 回答:美浜1号機の試験用MOX燃料製造のために他社から借用していたプルトニウム約50s(トータルプルトニウム)を核燃サイクル機構にて回収されたプルトニウムで返還しております。

 [3]貴社のガラス固化体は何本ですか。1号溶融炉・2号溶融炉で、それぞれで何年に何本製造されたか示してください。また、まだガラス固化されず溶液で保管されているものの量を示してください。
 回答:核燃料サイクル開発機構からは、平成17年度末までに、1号溶融炉で130本、2号溶融炉で39本、合計169本製造したと聞いておりますが、核燃料サイクル開発機構との契約では、放射性廃棄物の帰属についての取り決めがなく、必要に応じて別途取り決めることになっていることから、当社が搬出した使用済み燃料の再処理で発生した放射性廃棄物の数量については通知を受けておらず、また数量についても関知しておりません。この数値は、関電分だけでなく、全体。当社分という割り当てはない。

 [4]プルトニウムを売却・譲渡した場合、その売却・譲渡先、年月日、量、価格を示してください。
 回答:当社がこれまでにサイクル機構に対して売却譲渡したプルトニウムの量は約1トン(トータルプルトニウム)。売却譲渡の年月日、価格の詳細については核燃料サイクル機構との商業取引にかかる契約上の守秘義務のため回答をさしひかえます。

 [5]プルトニウムの今後の利用計画を示してください。
 回答:国の方針では利用目的のない余剰プルトニウムを持たないとされており、海外再処理委託および国内再処理工場で回収されるプルトニウムは当面のところプルサーマル及び高速増殖炉等の研究開発において利用されることになっております。
当社としては、平成15年12月のプルトニウム利用計画では、高浜3・4号機、及び大飯発電所の1基から2基で使用する予定としておりましたが、具体的計画については、現在美浜3号機事故の対策に専念しており、MOX燃料について検討できる状況ではないため、示せる状況ではありません。

2.海外で保有しているプルトニウムとプルサーマル計画について
(1)海外で保有しているプルトニウムの量等の確認
・BNFLで、498トンの使用済み核燃料を再処理し(契約は500トン)、全プルトニウム11.7トン、その内核分裂性プルトニウム1.3トンを回収。
・コジェマ社で、500トンの使用済み核燃料を再処理し(契約量全て)、全プルトニウムで2.5トン、その内核分裂性プルトニウム1.7トンを回収。
上記数値に間違いはありませんか。
  使用済み核燃料 海外保有プルトニウム量
搬出量(トン) 再処理量(トン) 全Pu(トン) 核分裂性Pu(トン)
BNFL 500 498 2.5 1.7
コジェマ社 1,350 1,350 11.7 7.9
BNFL分で未処理は約1.3トン
(2)上記プルトニウムの内、売却・譲渡したものはありますか。あれば、売却・譲渡先、年月日、量、価格を示してください。
 回答:BNFLについては売却・譲渡した実績はありません。コジェマについては、動燃に1.2トンのトータルプルトニウムを売却しています。具体的な売却期日、量、価格については、商業取引にかかる契約上の守秘義務のため回答をさしひかえます。

(3)海外で保有している上記プルトニウムの利用計画を具体的に示してください。
 回答:[5]の答と同じですが、国の方針では利用目的のない余剰プルトニウムを持たないとされており、海外再処理委託および国内再処理工場で回収されるプルトニウムは当面のところプルサーマル及び高速増殖炉等の研究開発において利用されることになっております。
 当社としては、平成15年12月のプルトニウム利用計画では、高浜3・4号機、及び大飯発電所の1基から2基で使用する予定としておりましたが、具体的計画については、現在美浜3号機事故の対策に専念しておりMOX燃料について検討できる状況ではないため、示せる状況ではありません。

(4)昨年締結したコモックス社とのMOX燃料調達の基本契約等について
 貴社は昨年3月31日にフランスのコモックス社とMOX燃料の調達に関する基本契約を結びました。また、昨年7月12日には、コジェマ社のメロックス工場に対して貴社が行った品質保証システムの監査結果について、「MOX燃料調達に当たって適切であることを確認」したと発表しました。
 しかし、昨年8月9日に貴社が引き起こした美浜3号機事故は、貴社の品質保証システムそのものに大きな欠陥があったと国の事故調査委員会でも指摘されました。
上記基本契約や貴社の監査は、美浜3号機事故で破断した配管が28年間も検査されることなく放置され続けていた最中に、すなわち貴社の品質保証体制に大きな欠陥を抱えながら行われたものでした。そのことを考慮すれば、MOX燃料調達に関する基本契約や監査結果は無効ではないでしょうか。
 [1]コモックス社と結んだMOX燃料の調達に関する基本契約は破棄しますか。
 回答:コモックス社と締結した基本契約は、品質保証システム監査の受け入れ等定めたものであり、昨年6月にメロックス工場に対する監査を実施しており、基本契約に基づく役務は実施されていることから、基本契約を破棄する必要はないと考えております。

 [2]美浜3号機事故を引き起こした貴社が行った品質保証システムの監査は、いまも有効だと判断していますか。そう判断している場合、その理由を明らかにしてください。
  回答:MOX燃料調達に関しては、昨年5月から6月に、原子燃料工業及びメロックス工場に品質保証システムについて監査を行い、両社がMOX燃料製造を進めるに当たって、当社が要求する適切なシステムを構築していると確認しています。今後、MOX燃料の調達を進めるに当たっては、昨年に確認した両者の品質保証システムに変更がないかを中心に再度確認を行うことが必要と考えております。

(5)貴社は昨年3月20日に、プルサーマル計画推進に対する福井県と高浜町の了承を得たとしています。しかし、美浜3号機事故を引き起こした後、貴社がプルサーマルを進める場合は、改めて地元の了解を得る必要があるのではないですか。
 回答:平成11年6月に高浜3・4号機でMOX燃料に関する事前了解を福井県及び高浜町よりいただいており、これは現時点でも有効であると考えております。ただし、MOX燃料調達に関しては、現在美浜3号機事故対策に専念しており、MOX燃料について検討できる状況ではありませんが、MOX燃料調達業務を進めるにあたっては、計画の節目節目で福井県及び高浜町の皆様に説明を行い確認を得ながら進めたいと考えております。

3.前回8月2日の交渉で確認するとなっていた点について
(1)美浜3号機の蒸気発生器ブローダウン水回収管162−16、162−48は、ステンレス鋼配管に取り替えられたのはいつですか。
 回答:このラインは、昭和62年の第8回定期検査の時にこのラインが新設されています。新設された時から、この配管はステンレスでした。

(2)上記配管の内面観察の結果について減肉はなかったとして貴社の報告書に写真が出ています(8月29日付、「2次系配管肉厚測定結果(総括)について」−添付資料7(2/2))。この写真はスケルトン番号では何番の部位の写真ですか。
 回答:スケルトン番号162−16の内面の写真です。下流側。

(3)運転中の原発への立入制限、定期検査前の準備作業について、問題点の把握を本年度上期を目処に行い、問題点に対する対策の検討、具体策立案を本年度下期を目処に行うとのことですが、その検討内容を示してしてください。
 回答:美浜3号機事故発生後ただちに、運転中プラントへの立入制限を行い、定期検査前の準備作業の取り決めを決定しております。その後、大飯4号機の第9回定検昨年(9月から11月)、及び高浜2号の第22回定検(昨年12月から今年2月)、定期検査前準備作業取りやめに伴う定期検査状況の実態調査を行うとともに、各発電所の定期検査にあわせて労働安全の観点から、重要な設備の配置状況の調査を行っております。現在これらの調査結果を集約・整理中であり、今後対策の検討・立案を進めていくことにしております。

2005年9月27日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
  京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
  大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581