関西電力の原発耐震性の問題について
活断層の連動性を否定していることに関する質問書


関西電力(株)社長 森 詳介 様

2008年7月28日

 5月16日の交渉で活断層が連動して動くことを、貴社は事実上否定していました。ところが、国の審査でも同様のことが問題となっています。貴社等の「中間報告書」を審査している「総合資源エネルギー調査会の『地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ』のCサブグループ」で各委員から活断層調査結果について数々の異議が出ています。
 これらに関連して質問します。

1.7月3日の国の委員会(Cサブグループ)では、B断層と野坂断層の連動だけでなく、「大陸棚外縁断層」もつながって連動する可能性があると指摘されています。さらに、「後期更新世以降の活動はない」とする貴社の評価結果に対し「解釈に無理がある」とも指摘されています。
(1)この指摘を受け入れ、B断層(断層長さ:約19q、マグニチュードM:6.8)、野坂断層(約12q、M6.8)及び大陸棚外縁断層(長さ約10q、M6.8)をひとつながりの活断層と評価しなおすべきではないですか。

(2)さらに、国の地震調査研究推進本部(以下、推本)が評価しているように陸地側にある集福寺断層(長さ約10q、M6.5)も含めてひとつながりの活断層とするべきではないですか。

注)ゴシック体文字は、推本の評価

2.また、和布−干飯崎断層(長さ約32q、M7.3)、甲楽城断層(長さ約19q、M6.8)、柳ヶ瀬断層(長さ約28q、M7.0)の評価について、貴社は連動性を否定していますが、これにも批判が出ています。
 推本が評価しているように、山中断層(長さ約5q)を活断層と評価し、和布−干飯崎断層、甲楽城断層、山中断層、柳ヶ瀬断層をひとつながりの活断層として、さらには鍛冶屋断層、関ヶ原断層ともつながっている活断層として、長さ約100q、M8.2以上の地震を想定して評価しなおす必要があるのではないですか。

注)斜体文字は、活断層研究会の評価

3.断層の連動性評価に関して、推本は、5q以内にある複数の活断層は連動して動くと評価するよう注意を促しています。
 しかしこの点については、貴社は以前の交渉で、「推本は(断層と断層の間が)5q以内なら全てつないで評価しているだけ」と、あたかも推本の見解は根拠のない機械的なものであるかのような回答を行いました。今でもこの見解に変わりはないのですか。

4.今年6月13日、原子力安全委員会は、「活断層等に関する安全審査の手引き」を定めました。「手引き」は、変動地形学専門の委員から出されたリニアメント評価の誤りの指摘を考慮し、変動地形学的な手法を全面的に取り入れています。
 貴社の「バックチェック中間報告書」によれば、「変動地形学的視点に基づいた地形調査」を実施した(3−1頁)と記載していますが、リニアメント調査とは異なる変動地形学的調査の内容がどのようなものかを示してください。

5.5月16日の交渉で、敷地の直下に活断層面が見つかったことから、地盤の不等沈下・隆起に対して安全性が確保されているのかとの質問に対し、「地盤のズレについて公表していないが、内部では検討している」との回答でしたが、内部での検討内容を示してください。


2008年7月28日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
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(08/08/04UP)