活断層が真下にある美浜原発は閉鎖すべきではないですか
活断層が連動して動くことをなぜ考慮しないのですか

耐震安全性評価結果中間報告に関する質問書


関西電力(株)社長 森 詳介 様

2008年4月18日

 貴社は3月31日「耐震安全性評価結果中間報告の概要」を発表しました。
 私たちはこの「中間報告」では、貴社の原発の耐震安全性は確保できないと考えます。そのため、以下の質問を致しますので答えてください。

1.敷地直下に活断層が見つかった原発の安全性について
(1)美浜原発の直下に活断層があることが3月31日の記者会見で明らかにされたと報道されていますが、本当ですか。

(2)直下に活断層がある美浜原発は、運転を中止し、閉鎖するべきではありませんか。
 
(3)地震によって地盤そのものがとくに不等な隆起や沈下した場合でも施設や設備が安全であるとなぜ確認できるのですか。

(4)1995年の兵庫県南部地震による「耐震安全性」見直しの際には、「敷地の地質・地盤調査」によって「活断層を避ける」ことが、「耐震安全性が確保」の筆頭の条件となっていました。今回の調査で、活断層を避けていなかったことが明らかになったにもかかわらず、運転を続けることができる根拠は何ですか。
ちなみに、1995年2月17日付科学技術庁原子炉規制課の文書「原子力発電所等耐震設計審査指針の考え方」では、「活断層を調査し、敷地直下の活断層は避けて立地する」と明記しています。

2.活断層が連動して動くことの検討について
(1)「中間報告」では、「参考」として「断層の連動に関する検討」が添付されています。そこでは、「・・地震調査研究推進本部等の評価とは異なっている活断層もあるため・・・連動して活動した場合を想定して、・・検討しました」と記し、政府の地震調査研究推進本部(以下、推本という)の評価も考慮しての検討であることを明らかにしています。想定は、B断層と野坂断層の連動性ですが、想定した断層長さや地震の規模(マグニチュードM)は示されていません。

[1]推本は、野坂断層帯について、長さ約31km、M7.3程度と評価していますが、貴社の断層長さ、地震規模の評価は、それぞれいくらですか。

[2]この検討では、断層モデルを用いた地震動評価のみで、「基準地震動SS−1Hを下回ることを確認した」としています。ところが、基準地震動Ssの策定では、断層モデルと応答スペクトルに基づく地震動という2つ評価方法を用いており、Ssはむしろ基本的に応答スペクトルから決められています。それなのに連動性の検討では、なぜ「応答スペクトルに基づく地震動評価」を省いたのですか。その理由を示してください。 

(2)なぜ、ほかの断層の連動性を検討していないのですか
[1]大飯原発と高浜原発の基準地震動は、Fo−A断層のみを基にしています。このFo−A断層と直近にあるFo−B断層が連動すれば、地震規模・マグニチュードはいくらになるのですか。

[2]この連動性を考慮しないのはなぜですか。

[3]美浜原発に大きく影響すると考えられる柳ヶ瀬断層に関して、政府の推本は、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部(甲楽城断層、山中断層、柳ヶ瀬断層、関ヶ原断層ほか5断層)の断層帯全体が同時に活動する可能性があると評価しています。その場合、長さ約100km、M8.2程度という巨大地震が発生する可能性があると指摘しています。この柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部の連動性については、推本の評価を考慮しないのはなぜですか。

3.活断層の評価について
(1)「耐震安全性評価において考慮した主な活断層」として22の断層名を列記しています。過半数を超える11断層が、「これまでの評価」では考慮対象外、評価外、敷地に影響が少ないとしていた断層で、今回新たに主な活断層と評価し直した断層です。
すなわち、貴社の全ての原発の基準地震動は、これら新たな活断層によって決められています。このように活断層評価を根本的に変更していますが、これまでの評価についてはどのように総括するのですか。

(2)1995年2月に出された貴社と日本原子力発電及び動力炉・核燃料開発事業団連名の「福井県内の原子力発電所の地震への備えについて」の中では、「発電所敷地周辺の活断層はすべて設計に考慮している」と明記していますが、この過ちの責任をどう取るのですか。

4.施設・機器の「安全余裕」の減少について
(1)今回策定し直した基準地震動Ssによる施設や機器の安全余裕は、制御棒の挿入性能では、評価基準値/評価値が1.04、蒸気発生器や原子炉容器の支持構造物強度で1.16〜1.21と「安全余裕」が全くない1.0に近づいています。
 施設や機器の老朽化をも考慮した評価の場合や、活断層の連動性を加味して評価した場合には、「安全余裕」がない状態となるのではありませんか。


2008年4月18日


  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581

(08/05/15UP)