■水漏れ発見から約2ヶ月が経過した
    美浜1号機の格納容器コンクリート壁の劣化について
■美浜3号機の蒸気発生器で見つかった異物等に関する
質 問 書

関西電力株式会社社長 森 詳介 様

2007年5月17日

◆美浜1号機原子炉格納容器コンクリート内壁等からの水漏れ

 美浜1号機原子炉格納容器コンクリート面からの水漏れは、3月22日に発見されてから約2ヶ月が経ちます。しかし、未だ調査中となっています。そのため、4月17日に貴社がホームページで公表している内容に関して以下の質問をします。

 なお、下記のA部〜E部は、貴社の調査結果「にじみ発見箇所および目視点検結果」に記載されている各部(○A部〜○E部)と同じです。

1.Bループ室内壁からのにじみ箇所A部は、調査の結果、「放射能とほう酸が確認された」こと、およびキャビティの水抜きにより「にじみ」がなくなったことから、キャビティ水と推定しています。A〜E部の「ほう酸析出」部に含まれている放射能核種は何ですか。単位質量当たりの放射能はどの程度ですか。

2.現在、ライニング溶接部の貫通傷の有無を調査中となっていますが、進捗状況を示してください。全溶接線の何割が調査済みか等、具体的に示してください。
 さらに、溶接部以外の箇所を調査する予定ですか。調査している場合は、調査内容等を示してください。調査予定のない場合はその理由を示して下さい。

3.ライニングを取り除いて、その下にあるコンクリート面での水漏れ侵入箇所の亀裂を調査する予定ですか。調査している場合は、調査内容等を示してください。調査予定のない場合は、その理由を示してください。

4.キャビティ底からA〜Eの各部に至る水漏れの経路にあたる壁及び床のコンクリートの厚さはそれぞれ何センチですか。各部について示して下さい。

5.[1]キャビティとA部とのコンクリート壁の厚さは1メートル以上であり、またD部ではキャビティ底から数メートル以上も離れた箇所で水漏れが認められています。このことは、水漏れの経路にあたるコンクリート内部に多数の亀裂(少なくともヘアークラック)が発生していることを示しているのではないのですか。
[2]また、水漏れは、分厚いコンクリートが酸性のキャビティ水で湿潤状況になっていることも示しています。酸性の水により内部の鉄筋が発錆して劣化したり、コンクリートそのものも劣化が早まっていると考えられます。鉄筋やコンクリートの健全性をどのようにして確認するのですか。

6.遠く離れた内壁で水漏れが確認されていることから、原子炉格納容器のコンクリート壁を伝って下部から外部へ漏えいしている可能性について、付近の地下水等の調査で確認していますか。

7.現在行っているライニング溶接部の調査で、作業員の被ばく推定量はどれぐらいですか。また、再溶接など補修工事に関する推定被ばく量はどれくらいですか。

8.環境への放射能放出を防ぐ最後の「壁」である格納容器の鉄筋コンクリートは、高温と放射線によって一般のコンクリートよりも早く劣化するのに加え、水漏れによっても劣化が促進されています。その上、水漏れの補修工事で作業員に多大な被ばくを強いることになります。美浜1号機は、これ以上動かさず、閉鎖するべきではないですか。

9.他の原発でもキャビティ水の水漏れとコンクリートの健全性を調査すべきではないですか。

◆美浜3号機関係

1.2次系配管のPWR管理指針について

(1)PWR管理指針は制定直後の1990年11月6日から保安規定に盛り込まれていたということですか。


(2)2004年8月に起こった美浜3号機の事故まで14年間、美浜3号機の破断箇所はずっと保安規定違反の状態だったということですか。

2.蒸気発生器で見つかった異物について

 4月25日には、C−蒸気発生器の2次側管板上面で円柱状の異物が見つかり、続いて4月27日にはA−蒸気発生器の2次側管支持板(第3管支持板)上で線状の異物が見つかっています。

5月9日関電プレス

(1)C−蒸気発生器の2次側管板上面で見つかった異物について

[1]異物は配管等の加工作業で発生する金属削り屑の可能性があるとのことですが、いつ、どこからやって来たものですか。

[2]前回定検(第21回)では、起動前に管板上面および管支持板のカメラによる確認、金属錆を除去する作業をおこなったのですか。

[3]今年の1月10日の運転再開以降4月まで、2次系に異物が混入した状態で運転を続けていたということですか。

[4]「蒸気発生器の2次側に持ち込まれた金属錆が管板上面に堆積するため、それを取り除く作業を定期検査毎に実施している」とのことですが、毎回カメラによる確認はおこなっているのですか。また、「金属錆を取り除く作業」とはどのようなものですか。

(2)A−蒸気発生器の2次側管支持板で見つかった異物について

[1]線状の異物とは何だったのですか。また、いつ、どこからやって来たものですか。

[2]「A−蒸気発生器の伝熱管全数は、既にECTを実施し、異常は認められませんでした」とのことですが、いつECTを実施したのですか。

[3]「3台の蒸気発生器全ての2次側管板上面の点検を実施し、新たな異物等がないことを確認しました」とのことですが、全ての管支持板も検査するべきではありませんか。

◆4月10日の交渉での積み残し(3月30日付不正報告書の内容について)

1.計器関係のデータ改ざんの調査について

(1)計器関係のデータ改ざんの調査期間を「現時点」としたのは、2006年8月31日の保安院指示によるものだったとのことですが、その指示文書を示してください。

(2)2006年11月30日の保安院指示も、調査期間は「現時点」という趣旨だったのですか。

(3)不正報告書は計器関係のデータ改ざんについて、「定期検査にあわせて点検を実施する」としていますが、1月10日まで定期検査を行っていた美浜3号機については調査されていません。なぜ調査を行わなかったのですか。

2.引き継ぎメモで引き継ぎがあったとされる不適切事象について

(1)2つの不適切事象(大飯3号機のキャビティ水移送のデータ改ざんと大飯2号機の充てんポンプ出口弁漏えい)については、引き継ぎメモで制御員同士の引き継ぎメモがあったため保安規定違反にはあたらないとの回答でした。この引き継ぎメモに何が書かれていたのですか。内容を明らかにしてください。

2007年5月17日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
    京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
    大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581