5月21日関電交渉報告 その3
(質問7)


BNFL・MOX燃料データ不正事件―――
・不正が行われた燃料ペレット抜き取り検査は安全に関わる問題だと認めながら、住民の安全を脅かしかねない事態を引き起こした自社の責任は認めず
・BNFL事件の最大の直接責任者・桑原原子燃料部長(当時)が今もプルサーマル推進の先頭に−関電に反省の態度まったくなし
(質問)
7. BNFL製MOX燃料で貴社が人々にかけた心配と迷惑について
 貴社の藤谷氏は、「BNFL製MOX燃料問題の際には、みなさまに大変ご心配とご迷惑をおかけしました」と述べています。
 質問7−1.ここでいう「ご心配とご迷惑」の中には、データ不正が行われたMOX燃料をそのまま装荷することによって、人々の安心だけでなく、安全を脅かしかねない事態を招こうとしたことが含まれているのですか。
    ↓
(関電の回答)
ここでいう「ご心配とご迷惑」の中に、いわゆるデータ不正云々が入るんですけれども、まず、われわれ、ご心配とご迷惑と述べたものは、以下のとおりでございます。まずMOX燃料データ問題の第一義的な責任は、BNFL社にあると考えておりますが、当社としても、平成11年11月の最終報告の段階で、「データに問題なし」と結論をいったん発表しながら、後日不正が判明し、国及び関係自治体等の信頼関係を揺るがし、原子力に対する社会的な、社会の信用を著しく損ねたことに対して責任があると考えており、それについて「ご心配とご迷惑」したことと述べたものでございます。

(質問)
 質問7−2.もし含まれていない場合、燃料ペレットの抜き取り検査によって実施されている品質保証検査は、安全性には無関係なものだと考えているということですか。
    ↓
(関電の回答)
 燃料ペレットの抜き取り検査ですね、不正の行われていたところですけれど、燃料ペレットの抜き取り検査は、当社が要求する品質保証・・品質を保証するために行うものであり、安全性に無関係なものだとは考えておりません。

(質問)
 質問7−3.1999年の11月8日、通産省はイギリス政府(NII)から書簡を受け取っていました。その内容は、「疑わしいデータペレットを含む二体の燃料集合体が日本にある」という通達でした。通産省はこの情報を隠しました。隠していたことが翌月の12月10日、参議院の経済・産業委員会の審議で明らかになりました。通産省がイギリス政府からこの書簡を受け取っていたころ、関西電力も同じような内容の情報をBNFL社から受け取っていましたが、公には「データ不正はない」と言い続けていました。福井県民をはじめ市民に、BNFL社から来ていたこの情報を隠し、燃料には「不正がない」と言い続けたことに対して詫びるつもりはあるのですか。
    ↓
(関電の回答)
 これについては、今までご指摘ありましたけども、NIIが抱いていた疑義についても、技術的解明をするとともに、担当箇所のみで判断するのではなく、全社的な検討を行うべきであった。さらにこの情報が、通産省の判断に影響を及ぼす可能性のあることを思慮し、通産省はじめ関係箇所に適切に連絡すべきだったと考えております。

■使わなかったからいいじゃないかと言わんばかりに開き直る関電
 関電は、5年前のBNFL製MOX燃料データ不正事件について、新聞広告の中では「みなさまに大変ご心配とご迷惑をおかけしました」と述べている。しかし、2000年夏に開催された市民との公開討論会でも、住民の安全を脅かした責任についてはこれまで一切認めてこなかった。また今までの交渉でも、広報部が「あの燃料を装荷しても問題はなかった」と平然と述べている。そこであらためて関電の姿勢を問いただした。
 今回の質問7−1への回答では、「ご心配とご迷惑」とは、「いったん不正がないといった燃料に不正が判明し、社会の信頼を著しく損ねたことに関するもの」だという。つまるところ自分たちが失った社会的信頼に関する問題のみが謝罪の対象で、住民の安全性は対象ですらないということである。
 ところが一方で、データ不正が行われていた燃料ペレットの抜き取り検査については、品質保証のために行うものであり、安全性に関連したものであると、質問7−2への回答で認めた。つまり、抜き取り検査にデータ不正があれば、安全性を損なうと認めたことになる。
 このことは、住民の命を脅かしかねない問題を起こしたことを認めず、謝罪しないという上記の態度と明らかに矛盾する。参加者から「安全性に関係のある抜き取り検査で不正が起こったのに、なぜ安全性を脅かそうとしたことにならないのか」と追及の声があがる。すると関電は、「不正があったことからMOX燃料の中止という判断をした。だから安全性を脅かそうとした意思はない」、「最終的に使わなかったんです」と開き直ってきた。これに対して、「土壇場になってやめただけ」「皆が心配して裁判まで起こしたんですよ」と怒りの声が上がった。

■「疑いあり」の情報を入手後も「不正なし」と陳述して世を欺いた桑原氏に責任はないのか
 次に、不正事件当時、関電が「不正の疑いあり」との情報をイギリスから入手していながら、「不正なし」といい続けた点について謝罪するつもりがあるかということを問いただした。ところが、関電の対応は、「当時は担当部署のみで判断していたのが問題。また通産省(当時)等に適切に連絡すべきだった」と述べるにとどまった。「わびるつもりはあるのかないのか」と問い詰めても「担当部署だけで処理したのが問題」と組織上の問題に話をすり替えようとする。
 そこで、「当時の担当部署である原子燃料部の桑原部長が、不正の疑義の情報を入手した後に、裁判で2回も『不正はない』と陳述書を出している。これは偽証罪にならないのか。また、2回目の陳述書では、不正があっても安全性は損なわないとの予防線を張るために、抜き取り検査とは別のBNFLが行った全数測定まで持ち出している。その様な、ねつ造事件の一番の責任者である人間が、今や関電を代表して、原子力委員会や福井県の原子力環境安全管理協議会に新プルサーマルの説明に出かけている。プルサーマルを先頭きって推進している。こんなことが許されるのか」と追及した。みんなもいっせいに「反省、改善というのなら桑原氏が責任を取るべきだ」、「関電が彼を守っている」、「結局市民を愚弄している」と関電を追及する。しかも桑原氏は、事件後出世し、いまや原子力事業本部副事業本部長として新プルサーマル推進の立て役者なのである。関電が真摯に反省していないことが明らかだ。
 このやりとりの過程で関電は、全数測定は品質保証検査ではないことを初めて認めて桑原氏の論理を事実上否定したが、「反省したうえで、これから燃料調達を行うので、今後の改善した内容を見守って欲しい」との答弁を繰り返した。しかし、ことは人びとの安全、いのちに関わる問題である。過去の事件を反省もしない関電が、あらたにプルサーマルを推進することなど到底許されない。