5月21日関電交渉報告 その2
(質問5)


「高レベル放射性廃棄物が半分以下に減る」との宣伝は、ガラス固化体と使用済み燃料集合体の容積を比較しただけ
高レベル以外の中低レベル放射性廃棄物の発生量については「分からない」

(質問)
5. プルサーマル利用による高レベル放射性廃棄物の低減について
 久保寺昭子氏の「プルサーマルには放射性廃棄物を減らすという利点もあります」という発言に応じて、貴社の藤谷氏は「はい、結果的には高レベル放射性廃棄物の量を半分以下に減らすことができます」と述べています。
 質問5−1.高レベル放射性廃棄物とは何ですか。また、なぜプルサーマルによって、その量を半分以下に減らすことができるのですか。説明してください。
 質問5−2.「プルサーマルとは」という囲みにおいて、「(プルサーマルは、)放射性廃棄物の発生量の抑制にもつながります」と説明されています。高レベル以外の放射性廃棄物にはどのようなものがあり、どのようにして、どれだけ減らせるのですか。
    ↓
(関電の回答)
(5−1)「高レベル廃棄物というのは、再処理によって分離された核分裂生成物をガラス固化したものであり、再処理することによって容積が半分になるという主旨で説明させていただいたものです。」
(5−2)「プルサーマルを実施しても発電に伴う廃棄物には違いありません。ただ、再処理を行いますので、再処理によりその過程で廃棄物が発生しております。われわれの新聞広告の中で廃棄物の抑制としているのは、長期間の管理を要する地層処分が必要な高レベル放射性廃棄物の量の削減を意味しております。放射能の量、ベクレルの量でいくと、再処理することによってウラン、プルトニウムが分離されますので、処分されるベクレルの量というのは、小さくなります」

1.「質問5−1」の回答は、質問にある「なぜ半分以下になるのか」にまったく答えていない。そこでまず、「半分以下になる理由を具体的に説明してください」と関電に説明を求めた。関電は、「再処理を行う場合はガラス固化体が高レベル廃棄物となり、ワンス・スルーという形で直接処分した場合は燃料集合体そのものが高レベル廃棄物となる」と自分たちの定義を述べ、その上で、ガラス固化体の容積と、燃料集合体の容積を比較するための計算をホワイトボードの上に書き始め、長々とした説明をはじめた。
 このような計算そのものの正確さや正当性は別にして、そもそも、ガラス固化体と燃料集合体といった、まったく別の物を取り出して、容積だけ比較することなど無意味である。
 高レベル放射性廃棄物とは、「使用済み燃料の再処理工程において排出される放射能レベルの高い廃液、またはこれの固化体をいう(原子力百科事典 ATOMICA)」のであり、このような放射能は、核分裂数に比例して生じるものなのだから、再処理しようが、直接処分しようが、その量は基本的に変わらない。
 また、直接処分といっても、使用済み燃料をどのような形で処分するのか手法も形態も、何も決まっていない。ガラス固化体と集合体の容積の単純比較から、処分のコストや管理の困難性等が比較評価できるわけがない。高レベル放射性廃棄物の量が半分以下に減るなどというのは、詭弁であろう。
 参加者からは「全然違うものを比較して半分以下などというのはごまかしじゃないか」「高レベル以外の廃棄物について無視しているじゃないか」と批判の声があがった。

2.「質問5−2」に対して関電は、まったく答えていないので、「高レベル以外の放射性廃棄物にはどのようなものがあるのかちゃんと答えて下さい」と、質問そのものに回答するよう要求した。これに対して関電は、「被覆管のような金属とか色々な廃液がある」と答えた。そこでさらに、「それでは、それをどのように減らせるのですか」と追及した。これに対して、関電は答えられなくなり、「われわれが減らせるといって説明しているものには、金属とかは含まれていない。金属とかは減るわけではない。われわれが減容できるといっているのは、高レベル放射性廃棄物の容積のことだ」と言い出した。
 しかし、関電の新聞広告の「プルサーマルとは」という囲みは、「放射性廃棄物の発生量の抑制につながります」と、「高レベル」という限定をつけずに廃棄物一般として書かれている。また広告の中で藤谷若狭支社長は、久保寺氏の「プルサーマルには放射性廃棄物を減らせるという利点もあります」という発言に対して「はい」と明確に同意を与えている。関電は、プルサーマルによって、あたかも、放射性廃棄物全体の量が減るかのように宣伝しながら、追及されると「それは高レベルに限定したことです」とごまかしたのである。「広告の中では、放射性廃棄物全体が減ると書いているじゃないか」と、参加者から怒りの声があがる。しかし関電は「広告はすべて高レベルについて書いている」「文脈から判断したら分かる」などと言い続けた。
 これに対して、「高レベルの容積だけで、放射性廃棄物が減るなどといえないだろう」「再処理する場合の中低レベル放射性廃棄物の容積と、直接処分の場合を比較したらどうなるのか」「廃棄物全体の量を比較するような計算はおこなっているのか」等々、次々と追及の声があがった。
 これらの質問に対して関電は、「中低レベルについて数値は持っていない」とし、結局答えられない。「計算もしていないということなのか」と聞くと、「計算してないわけではなく、コスト計算とかでやっているはず」と言う。しかし、「では説明してください」というと、「今説明することはできない」といって逃げる。「関電として廃棄物全体の計算はやってないということか」と追及しても、「主管部に確認していないから分からない」と逃げ、「放射性廃棄物全体の容量は再処理したら増えるんじゃないのか」と追及しても、「分からない」と繰り返すばかりであった。
 また交渉参加者から、再処理工場が、通常の原発とは比較にならない程、深刻な放射能汚染が日常的に引き起こすことに対しても批判が飛んだ。「再処理する場合と直接処分する場合とで、環境中に放出される放射能量の比較はやっているのか」と追及されても答えられない。「被覆管を裁断し、使用済み燃料をわざわざバラすことでゴミの量は増えるじゃないか」との声に対しては、「そういう考えがあることも承知している」と認めた上で、「ゼロエミッションなんてことはありえない」と開き直った。
 プルサーマルや再処理工場の運転に伴って、高レベル以外の核廃棄物が大量発生することや、日常的な汚染が起こることなど、自分たちの都合の悪い情報については隠し、住民に一切説明しない。このような関電の姿勢は許し難い。
 関電は、あたかも放射性廃棄物全体が減るかのような虚偽宣伝を即刻撤回するべきである。また、再処理を行うことによって発生する、中低レベル放射性廃棄物も含めた廃棄物全体の容量を明らかにすべきである。