1月23日 関電交渉報告

関電は、MOX燃料に関して申請者資格がないことを認めず

 「申請者資格があるかないかは言えない」
 「国が資格がないとしていることも確認できない」
「資格云々の細かいことは地元には言っていない」



 1月23日、午後5時から約3時間にわたり、市民12人で関電広報部の課長3人と交渉を行った。2003年10月23日に関西電力が国および地元関係自治体に提出した報告書「海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善について(以下関電報告書)」に関して、事前に提出していた質問書(2003/12/18)に基づき、同社の見解と姿勢を質した。
 なお、「補充質問書」については、極めて基礎的なことしか聞いていないのに、時間が足りなかったので今回は回答しないとのこと。また、交渉の冒頭に、回答は文書で出してほしいと今回も要請したが、「面談しているのだから文書で出す必要はない」と答えにならない答えを繰り返した。

■「申請者資格があるかないかは言えない」「国が資格がないとしていることも確認できない」
 関電報告書が出された同日、原子力安全・保安院は1999年BNFLデータねつ造に関する電事審報告書(2000/6/14)を引用しながら、「これは・・・『関西電力が再度MOX燃料の輸入燃料体検査申請を行うためには、通商産業省が同社の品質保証体制が申請者資格を有するに足るよう改善されたことを確認する作業が必要』との方針を受け、提出されたもの」とプレス発表した。関電報告書の目的を保安院がわざわざ規定した、異例の発表である。
 ところが関電報告書には、申請者資格がないために、報告書を出さざるをえなかったのだという趣旨の記載がまったくない。そこで質問書では、関電に「申請者資格がない」ことを認めるのかどうか、確認を求めている。これに対し交渉では、しばらくの沈黙の後、「MOX燃料に関する申請者資格があるかないかについては言えない」と答えた。追及されると、「責任を持って答えられない、主管部門に相談し再度回答する」という形で逃げた。しかし、「資格がない」ことについては最後まで認めなかった。さらに、保安院が「関電には申請者資格がない」としている事実についても、「確認できない」。「社として責任をもって答えられない、再度回答する」とし、認めなかった。交渉での具体的なやり取りは次のとおりである。
 交渉の冒頭で関電は、「申請資格というものが具体的に許認可の基準としてあるわけではない」と、「申請者資格」という国の規定そのものが実態のないものであるかのように言い、「申請者の資格があるとかないとかの判断は、われわれが行うとか認めるというものではない」とした。「国に申請者資格がないとまで言われている事に対する自覚はあるのか」と追及しても、「自覚あるなしについてもコメントする立場にはない」と返答。「資格がないから、資格を取るために報告書を出したのではないのか」と問うても、「そうお取りになるのは自由です」。「自分がどういう立場に立っているか分からないということか」と聞くと、「そういう風に受け取られたらそういうことです」と開き直った。関電は、「申請者資格がない」ことを何が何でも認めなかった。異様なまでに頑なな態度だった。
 そもそも、関電は1999年にデータ不正事件を引き起こし、規制当局に報告すべき情報まで隠蔽していた。このことを踏まえて、国は「関電にMOX輸入燃料体の申請者資格はない」としているのである。いわばペナルティを科しているといってもよい。そこで、「資格がないと認めないのは、国・規制当局の指導を認めていないということではないのか。それが関電としての正式の姿勢なのか」と追及した。交渉参加者からは、「国の指摘さえ真摯に受け止めない。これでは市民の声など聞くはずもない」と怒りの声があがった。国・規制当局を軽んじているのではないかという批判を受けて、関電側は動揺をはじめた。「資格についてどう受け止めているのか、もう一度、主管部門に確認して再回答する」と言い出した。それからは、「資格の有無」を何度追及しても、「主管部門に確認させて欲しい」と、怒鳴るような大きな声で、逃げ口上の一点張りであった。
 それでは、国が関電のことを資格がないとしている事実そのものは確認できるのかと追及した。単なる事実確認である。しかし関電は、「それについても確認できない」。「社として責任を持って答えられない」「主管部門に確認しなければならない」を連発するばかりだった。
 電事審報告は、3年以上も前、2000年6月に出されたものである。それにもかかわらず、未だこのような態度である。自分たちが引き起こしたBNFLデータ不正事件がどれほど重大なものであったのか、その自覚が関電にはないということだ。関電には、自らの非を認め、改善しようとする意志や姿勢が、みじんもない。報告書で美辞麗句をいくら並べても、本質は変わっていない。

■ 関電報告書は、「保安院に言われて出した面もあるがそれだけではない」「地元への確認を得るために、あえて資格については書かなかった」
 先に述べたように、申請者資格すらないために、国に報告書を出さざるをえなかったのだという趣旨が、関電報告書にはまったく書かれていない。何のために報告書を出したのかが曖昧にされている。
 そこで質問書では、関電報告書が出された趣旨および報告書に記載がない理由を聞いている。今交渉で関電は、報告書が電事審報告を受けて出されたものだということは基本的に認めながらも、「保安院が確認する必要があるという風に書かれているので、それに基づいて出している面もあるが、それだけでこの報告書を出したわけではなく、地元関係自治体への説明責任を果たすために出したもの」と述べた。さらに、「資格がない」ことを書いていない理由については、「福井県等、地元関係自治体のご確認、地元の皆様のご理解を十分得ながら慎重に進めていくことが必要であるとの考えからあえて記載をしていない」と答えた。
 地元の確認・理解を得るために、「あえて」記載をしない必要がどこにあるのか。地元の人々に「資格がない」ことを隠すためとしか読みとれない。また、国の電事審報告に基づいて策定・提出されたという第一義的な側面があたかも従で、「地元への説明責任」が主であるかのごとく、関電は主張している。国から「資格がない」とされていることについて、とにかく認めたくないという意図は明らかである。
 そこで、「電事審報告を受けて関電報告書が出されたという国の見解は間違っているということか」と追及すると、「国にとって県の方は関係なくて、自分らのこの目的で受け取りましたといわれているんだと思う」と関電は答えた。申請者資格がないとしているのは、国の勝手とでもいいたげな態度であった。

■ 関電だけが立入検査までされた理由は、「関電だけが報告書を出したから」「国が立ち入り検査が必要だと言ったから」
 原子炉等規制法の改正に基づき、電力各社は保安規定変更の許可申請を行っている。これに対して保安院は、関電1社についてのみ、1月14日から16日にかけて立ち入り検査を実施した。その理由について保安院は、関電の「海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について、現在構築中の新しい品質保証体制との整合性についても確認することが適当」だからだとしている。立ち入り検査は、「申請者資格すらない」という状況をふまえて行われたものであることは明らかである。
 そこで質問書では、関電だけが立入検査まで行われるのは、申請者資格すらないという状況があるからではないのか、と確認を求めている。しかし関電は、この質問には直接答えず、「MOXの報告書を出したのは当社だけであり、だから、当社に立入検査が行われた」と答えた。
 立入検査など、よほどのことがない限り行われることはない。東電は、格納容器気密漏洩試験のデータを改ざんしたため立入検査を受けた。関電は少なくとも、それと同レベルだということだ。「立ち入り検査までされたのは、データ不正事件を引き起こし、MOX燃料を輸入する資格すらないからだろう」と追及した。しかし関電は、「何回言われようと、立入検査を受けた理由は、報告書を出したからだという以上答えることはできない」との答えに終始し、最後には、「立ち入り検査を受けたのは、国が立入検査が必要だと言ったからでしょう」、「それについてわれわれに何か言えますか、言えないでしょう」と開き直った。ここでも、全く自らの非を認めようとしない。

■ 地元への宣伝では「資格云々という細かいことについては言っていない」
 関電は、MOX燃料を輸入する資格すら持っていないのに、福井県内・高浜町内で、プルサーマル推進の大宣伝を行っている。33万4千部ものパンフレットを配布し(ほぼ県内全戸配布)、福井新聞紙上で、2面全面を使った大広告を出している(11/26)。また、高浜町では、推進の立て看板を林立させている。さらに「出前説明会」230回、「出前教室」460回と、異常なまでの「理解活動」を繰り広げている。契約を目指し関電は、一気に宣伝体制を強めている。
 今交渉で関電は、「申請者資格がある」とは一言も言えなかった。「少なくとも申請者資格があるとは言っていませんね」と確認すると、「言ってません」としぶしぶ認めた。「そのことを宣伝物にきちんと書いたことがあるのか」と問うと、「資格云々という細かいことについては言っていない」との回答。これが「細かいこと」だろうか!「資格がないのに、なぜ大宣伝できるのか」。これに対して関電は、「プルサーマルを推進するのは国策だから」「理解活動をやってくださいというのは、知事からも言われているから」と述べるだけ。
 また、宣伝にいくら使ったのかと追及しても、「個別の費用については回答できない」と、私たちの電気料金を湯水のように使っているにもかかわらず、その具体的な実態を明らかにしようとしない。
 しかも、「理解活動」「理解活動」と言いながら、新聞で報じられた「契約先を決定するにあたっては地元の意向を聞く必要はない」との関電社長の発言については、その通りだと認めた。
 MOX燃料を輸入する資格すらない。そのことを地元には隠したまま。契約に関して地元の意向を聞く気もない。それにもかかわらず、プルサーマル推進の宣伝だけは大々的に実施する。こんな宣伝は、即刻中止すべきだ。

■ 「JEAC4111-2003策定案」とJEAC4111-2003の違いは「経営層か社長かの違いだけ」−「関電報告書と保安規定の変更申請は基本的に別物」
 関電報告書は、品質保証に関する国の新基準であるJEAC4111-2003を満たしていないのではないかという質問に対して、関電は「報告書はJEAC4111-2003を満たしている」と何度も繰り返した。
 しかし、関電報告書はJEAC4111-2003を満たしているとは明確に書いていない。「JEAC4111-2003に基づき、品質マネジメントシステムの充実を図っています」としているだけで、「充実」の内容や「充実した結果」については明らかにしていない。また、「JEAC4111-2003策定案」については2003年6月27日に取り入れたとしているが、JEAC4111-2003については施行後いつの時点でこれを取り入れたのかどこにも書いていない。
 「JEAC4111-2003を取り入れたという内容はどこに書いてあるのか」と聞くと、品質管理体制の「トップの規定を、経営層から社長に置き換えたこと」と答え、先行して取り入れた「策定案」とJEAC4111-2003の違いは「経営層か社長かの違いだけ」といとも簡単に述べた。「施行後いつの時点で新基準を取り入れたのか」との追及に対しては答えることができず、「経営層を社長に」を繰り返すばかりであった。
 2003年10月1日の省令改正・施行以降、品質保証に関する基準を、古いJEAG4101-2000から新しいJEAC4111-2003に変更する過程は始まったところである。電力各社は新基準を取り入れた品質保証活動に基づく保安規定の変更許可申請中の状態にある。関西電力については、2003年12月19日になってようやく、JEAC4111-2003に基づく保安規定の申請を出したところである。もちろん国の許可もまだ下りていない。
 つまり関電は、JEAC4111-2003を適用した全社的な品質保証活動がまとまる2ヶ月も前に、MOX燃料に関してだけは先行してJEAC4111-2003を適用し、報告書を出したというのだ。順序が逆転している。これは、「今年度中に新たなMOX契約を結ぶ」という関電の勝手なスケジュールを優先したためとしか考えられない。
 これについて、「スケジュールありき、契約ありきではないのか」「全社的な新基準の取り入れにMOXだけが先行しているのはおかしいではないか」と追及した。関電は「おかしくないと思う」とだけ述べ、関電報告書と保安規定の変更申請は基本的に別物であるとの、驚くべき説明を繰り返し行った。保安院は「通知文書(12/9)」において、立ち入り検査の目的が、MOX燃料調達に関する品質保証活動が保安規定の改定内容と関連している旨述べている。国の見解と関電の説明はまったく食い違っているのである。

 以上のような関電の回答は、とうてい納得でるようなものではなかった。そのため、「資格がない」こと等について、「補充質問」について、近日中に再度交渉を行うことになった。