7月1日関電交渉速報

不正MOX返送容器も腐食の疑い濃厚
「返送容器は水にどっぷり浸かっていた」
6〜7年前の目視検査以降、腐食検査は一切なし
輸送ルート諸国への説明はこれから

関電は輸送を中止せよ!



 7月1日、午後5時から約3時間にわたり、市民12人で、関電広報部の課長3人と交渉を行いました。不正MOX返送に使用する輸送容器が、フランスで保管していた容器と同様腐食している疑いがあるという問題を中心に追及しました。

不正MOX燃料の輸送容器は、使用済核燃料を輸送していた当時
レジンも外装板もなく、本体胴はむき出しで水に浸かっていた
「EXCELLOX型容器の方が水にどっぷり浸かります」

 関西電力は、フランスで保管していたTN型輸送容器で腐食が見つかった問題について、不正MOX返送用に使われる輸送容器は、EXCELLOX型で「放熱フィンの構造が異なる」ため「影響はない」と述べていました。そこで私達は、6月10日付で要求書及び質問書を提出し、今回見つかったフィンの浮き上がりの状況や、関電言うところの「構造の違い」について詳細に説明するよう要求していました。
 交渉の中で関電は、返送に使用するEXCELLOX型輸送容器は、過去10年間以上の間に10数回に渡って使用済核燃料の輸送容器として使用していたと言います。その当時は、遮へい材レジンも外装板もない構造だったため、EXCELLOX型はTN型より「水にどっぷり浸か」っていたことを認めました。また、使用済核燃料を容器入れる際には、TN型と違い、スカートと呼ばれるカバーも付けずに容器をプールにつけて使用していたことも明らかになりました。
 国土交通省は、TN型輸送容器の腐食要因は、使用済核燃料を運搬していたころに浸入した水であり、経年劣化により腐食が進んだと判断しています。当初から容器が遮へい材レジンやシリコンで覆われていたTN型でも腐食が起こったのですから、むき出しのEXCELLOX型ではより一層腐食しやすい環境にあったといえます。

「腐食なし」の根拠は5〜6年前の目視検査のみ、
その後、腐食検査は一切なし

 不正MOX返送容器について、腐食検査を実施したかという私たちの質問に対し、関電は「MOX燃料の輸送容器に転用する際、腐食について検査を行い、腐食がないことを確認した」と答えてきました。しかし、MOX燃料輸送容器に転用するための改造工事は96年末から97年に行われており、既に6〜7年が経過しています。この間、本体胴の腐食検査は一切行っていないと言うのです。関電は検査も行っていないのに「腐食環境にはなかった」を繰り返すばかりです。
 また、翌日(7月2日)の電話回答では、検査の日付と腐食がなかったことを確認した文書は「調査中」と答えてきました。返送前に答えられるかどうかも分からないというふざけた態度です。

「すき間があるかはわかりません」
自社HP掲載の図についても答えられない関電広報課長

 関電は、「MOX容器に転用後は腐食環境にない」と繰り返しますが、関電のHPに掲載された図によれば、返送用容器の外装板とレジンの間にすき間があるように見えます。「ここに空間があるのではないのか。これは何のためか。この空間に空気が入っているなら腐食環境にあるということになる」と追及しました。すき間があるかないかについて、なんと出席した広報課長3人が揃いも揃って「わかりません」と答える始末です。「自社のHPで掲載している図について広報が説明できないのか」「所管部に聞いてきてください」と皆が口々に要求しても、「それは出来ません」と居直るばかり。冗談ではありません。関電は数日後に返送を強行しようとしています。目前に迫った輸送に使用する容器の安全性に関する問題について、しかも自社のHPに掲載した図の内容に関して答えられないなど言語道断です。参加者からは、「答えられないのならMOX返送をやめろ」と激しい怒りの声が相次ぎました。結局、この点等については、関電が翌日の午前中までに回答することになりました。

返送容器はレジンで本体胴を覆ったことにより、
熱がこもって腐食しやすい構造に

 7月2日午後3時頃に電話回答がありました。内容は「レジンは温度変化により、体積が変化するため、膨張余裕としてレジン外表面と外装板内面の間にすきまを設けている。そのすきまの部分は空気である。」というものです。
 私達が交渉で指摘したように、レジンと外装板との間に隙間がある構造で、そこに空気が溜まっていたのです。そうなると、返送容器は、MOX輸送用に変更された後、湿気を含んだ空気が外装板で閉じ込められ、経年劣化が進んだ可能性が極めて高くなります。むしろレジンで本体胴を覆ったことによって、熱がこもるような腐食しやすい構造になったと言えます。腐食の疑いは濃厚です。

ルート諸国への説明はこれから。これまで説明一切なし
「事故時の賠償金の支払いはBNFL。関電は日本領海外では責任なし」

 この同じ7月1日、BNFLが輸送反対を表明したフィジーに飛び、輸送の「安全性」をPRしていました。「関電は行ったのか。行っていないなら予定はないのか」と聞くと、「まだ行っていない。ただ、誰がどこに行くのかといった具体的な内容は承知していないが予定はある」との回答です。政府が説明に行ったかどうかについても「わかりません」とのこと。輸送が目前に迫っているにもかかわらず、まだルート国への説明もしていないとは、傲慢極まりない態度です。実際、フィジー政府は6月14日の国会答弁で、「輸送国からはなんの情報提供もなく、フィジーにある輸送国の大使館に問い合わせてもなんら情報がない」と、怒りをあらわにしています。
 5月23日付の追加質問で、私たちはMOX返還輸送で事故が起こった際の賠償責任について質問していました。関電の回答は、「日本の領海内では法律上当社に責任があるが、賠償の支払いはBNFLが行う。公海、イギリスの領海内の事故についてもBNFLが支払いを負担する」というものです。日本の領海内では原子力災害賠償法が適用されるとのことですが、「では公海上ではどの法律が適用されるのか」と聞くと「どれだろう・・承知しておりません」と答える始末です。賠償金等の支払いはすべてBNFLがやるのだから法律上の問題については我関せずと言った傲慢な態度です。
 また、新たに浮上した、返送用の輸送船2隻と同型の輸送船で腐食が見つかった問題については、「BNFLより今回輸送に使用する2隻については、昨年実施した板厚の検査等で問題がなく、その旨ロイズ保険会社に報告したと聞いている。」と答えるばかり。「今後詳しい調査をやるのか」と問うと「わかりません」。相変わらず「BNFLから聞いている」を繰り返すだけです。

 不正MOX返送容器も腐食の疑いが濃厚です。関電は、輸送を中止すべきです。



トップ