給付金リスト作成の狙いは、原発反対の思想チェックだった

「交付金拒否理由を書かなければ業務はなりたたない」関電



 7月1日の関電交渉の冒頭で、グリーン・アクションと美浜の会は、抗議文「関西電力は個人情報リスト作成を謝罪し、直ちに中止せよ」を提出しました。交渉の中で、この交付金リスト作成問題で驚くべき実態が明らかになりました。
 関電は用意していた文書を読み上げました。それはこうです。
「原子力立地給付金交付に関して、当社は財団法人電源地域振興センターから交付業務を受託している立場であり、交付業務を円滑に進めるために、受託業務の内容にそって、必要な給付情報を報告しています。」
 私達はこの内容を一つ一つ確認していきました。すると関電は「交付金拒否理由を書かなければ委託業務はなりたたない」「交付金拒否理由は、委託業務を適正にチェックするためのもの」と平然としゃべり始めました。交付金拒否理由を書くことは「必要な給付業務」だと言うのです。すなわち、原子力立地交付金の真の狙いは、給付金の受け取りを踏み絵にして、交付金拒否者をあぶりだし、個人の思想信条チェックを行うためのものだったのです。そのリストが原発反対の運動団体・個人への弾圧・嫌がらせ等々に利用された可能性もあります。
 交渉参加者からは、関電の行為、給付金制度そのものが個人の思想信条のチェックであり、人権侵害も甚だしいと怒りの声が相次ぎました。しかし関電は「人権侵害とは思っていない」「謝罪の必要もない」と居直ります。人権感覚がまったく麻痺してしまっている関電の言葉に、参加者一同は驚きを通り越して、あきれはてるほどでした。「センターからそういう指示が出ており、それを受託しただけ」とあたかも全ての責任は(財)電源地域振興センターにあると言わんばかりの対応です。「センターが」「センターが」とまるで自分たちとは関係のない第三者機関のごとく言いますが、そのセンターに関電自身も参加していることを認めました。
 また、新聞報道にあるように、関電はリストには特定の個人名は記載せず、Aさん、Bさん、Cさんとしか記載していないので「報告にさいしては、特定個人の情報は報告しておりません。」などと言いだしました。しかし、Aさんが誰であるかは、当然関電は把握しています。Aさんと記載したからといって何も本質は変わりません。
 1994年、私達が提出した署名簿から、関電は電話番号を調べ、署名者に電話をかけるという人権侵害行為を行いました。私達が訴えたことにより、関電は、大阪弁護士会人権擁護委員会から厳重注意の勧告処分を受けていたのです。この点を追求すると、じっと押し黙ったままでした。
 私達は、抗議文に書いている要求事項について、再度正式な回答を行うよう関電に要求しました。この問題について、各地で電力会社へ抗議の声を集中しましょう。(財)電源地域振興センターへ抗議の声をあげましょう。電力会社と国による人権侵害を徹底して追及していきましょう。



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