上関原発 埋め立て工事強行に抗議する
田ノ浦を訪れて 美しい海を守りたい!

 上関原発の埋め立て工事強行に抗議するため、2月27日、美浜の会から4名が田ノ浦に向かった。大阪の自宅を朝6時頃出て、田ノ浦海岸に着いたのは、お昼少し前。この日は中国電力の強引な工事もなく、田ノ浦海岸に集まった約30人の人たちは、腰掛けて食事をしたり、砂浜に寝そべったりと、くつろいだ雰囲気であった。波打ち際の岩の上には鮮やかな緑色のアオサがびっしりと付き、海の色はとてもきれいだった。向かいには祝島が間近に迫り、瀬戸内でも屈指の景観だと地元の人が誇らしげに語ってくれた。
 穏やかな空気を破るのが、時折流れる中国電力のスピーカーからの声だった。「田ノ浦海岸は工事現場です。立ち入りは一切禁止です。立ち入っている人は直ちに退出してください」、「田ノ浦湾での航行は禁止です。カヤックでの航行することも禁止です」。
 それは、威圧的で住民の声を聞こうとせず、原発建設をごり押しする姿勢がにじみ出るものだった。
 この日、抗議に来ていた人には若い人が多く、地元の山口県の他、大阪、神戸など関西からの参加者も多かった。私たちが、「大阪から来ました」と自己紹介すると暖かく迎え入れてくれた。「原発なんか時代遅れだ」「環境を守りたい」「原発は僕らが止める」とテント生活でがんばる若い人が何人もいた。何日も抗議を続け、生活のためやむを得ず現場を離れる人は、残る人と固く握手をし抱擁し、「またもうすぐ帰ってくるから」と手を振った。そこには厚い信頼関係が形成されていた。
 長年、上関原発に反対する祝島の人は、たくましかった。「ここには人を思いやる人が集まっている。原発が良いか、心が良いか世間に問いたい」「原発を推し進めようとする人はカネが欲しいだけだ。そんなことのために、この美しい海を汚すわけには行かない。子や孫に残したい」「中電はあがいている。もう少しがんばれば、勝てるんだ」。
 中電と闘う人への連帯と励ましをしようとしていた私たちが、逆に励まされているように感じた。
 田ノ浦の美しい海は、山からの地下水が海岸近くの海底から伏流水として噴出していることによって支えられている。原発建設のために広大な海を埋めてしまえば伏流水を止めることになり、海の生態系は崩壊してしまうだろう。数十年しか使わない原発のために、放射性廃棄物を垂れ流す原発のために、美しい自然が永久に失われてしまう。何としても上関原発の建設を止めたい、そう強く思った。
 日帰りで短い滞在であったが、美しい海と暖かい人々によって元気を頂いた貴重な日となった。
(美浜の会 M)









(11/02/28UP)