緊急声明
北海道電力泊3号機の営業運転再開は許されない
 
  経産省と北海道電力は、多くの人々の反対の声を踏みにじり、福島第一原発事故後、初の運転再開を泊3号で強行しようとしている。私たちはこれに強く抗議する。

 北海道電力は8月9日、定検期間最後の調整運転中である泊3号機の総合負荷性能検査について、受検したいと経済産業大臣に申請した。その際北電は、7月8日に続き8月9日にも、同検査が未受検であると経済産業省から指導・指摘されたと述べている。経産省は同日直ちに検査を開始し、10日に終了するという。11日に原子力安全委員会がその結果をチェックし、営業運転を再開しようとしている。

 他方、北海道の高橋知事は、7月14日及び19日付経済産業大臣への質問書に対する回答を8月9日に受けとり、「現在、その内容を精査しているところであり、今後、道としての考え方を整理していきたいと考えています」と8月9日に表明している。しかし、営業運転を認めないかどうかについては「それ以前の問題だ」として明言を避けている。
 この経過から、泊3号機の営業運転を再開させるべく経産省が強引に主導して、北電に受検申請を出させたのは明らかである。それは北電の利害とも一致している。その際、北海道知事の存在はまったく無視されており、これは北海道民の意思を無視するものに他ならない。

 北海道の市民は、福島原発事故を繰り返してはならないという強い意思で、8月1日に海江田経産大臣を相手取り、泊3号営業運転再開差し止め訴訟を提訴した。司法の判断がこれから始まろうとしている矢先に、運転再開を既成事実としようとしている。全国の市民は、7月29日に原子力安全・保安院等と交渉を行った。出席した保安院は、地元の合意がなければ運転再開はできないと表明していた。その舌の根も乾かぬうちに運転再開を強行しようとしている。

 このような強引な姿勢で泊3号機の営業運転を開始しようとする海江田経済産業大臣に対して強く抗議する。このような姿勢こそが、福島原発事故を再現させるものだと深く憂慮する。検査は直ちに中止するべきである。そもそもヤラセを行ってきた原子力安全・保安院にこのような判断をする資格はないのだ。
 北海道の高橋知事は道民の立場に立って、このような理不尽に対して強く抗議し、検査の即時中止を求めるべきである。
 菅直人総理は、8月9日の長崎での平和記念式典で、「これまでの安全確保に関する規制や体制のあり方について深く反省し、原発に依存しない社会を目指してまいります」と述べた。その同じ日に、経産省は泊3号の営業運転再開に向けて動き出した。総理は、式典でのあいさつが真意であれば、経産省のこの強引な動きを止めるべきだ。

 海江田大臣の8月9日付高橋知事への回答の中では、同じ立場にあった大飯1号は事故で停止中なのでストレステストの一次評価の対象になるが、泊3号は運転中なので二次評価の対象になると区別している。これはまったく区別の理由になっていない。問題の基本はすでに起動しているかどうかではなく、定期検査を終了して商業運転に移っていいかどうかという安全性の基準が、福島事故を踏まえてどのように判断されるかにあるはずだ。その判断基準は、ストレステストも含めて未だ確立していない。そもそもその判断の基礎となるべき福島事故の実態が未だ把握されていないのだ。さらに、安全設計審査指針が破綻したため、その見直しも検討されている途中ではないか。

 以上を踏まえて、以下を要請する。

 1. 海江田経済産業大臣は、泊3号機の総合負荷性能検査の実施を直ちに中止すること。

 2. 原子力安全委員会はたとえ経産省から検査結果を提示されてもそれを承認しないこと。

 3. 菅総理大臣は、今進行しているこのような理不尽な動きを直ちに停止させること。


2011年8月10日

     美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
         大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581


(11/08/10UP)