大飯原発3・4号の運転再開に反対する決議文

  2011年3月11日、東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発の事故により、大気と水、大地と海が汚染され、その放射能は福島、東北、関東を覆っただけでなく、私たちの住む西日本にも到達し、海を越えて世界に拡散しました。事故収束の見通しは立たず、汚染は続いています。

 国民の怒りと不信の前に、定期検査に入った原発は再稼働が許されず、今では54基中わずかに3基が稼働しているにすぎません。今月20日には、高浜3号が止まり、若狭の原発14基すべてが稼働を停止します。そして4月末には、日本に原発の稼働しない日が訪れます。
 原発が無くとも、日々のくらしや経済に破綻など起きないという事実が現実となるのを恐れ、政府と電力各社は、福島第一原発事故の実態把握と原因究明を待たずに、ひたすら再稼働を画策しています。そしてその突破口と目されているのが関西電力の大飯3・4号です。

 原子力安全・保安院は、大飯原発3・4号のストレステスト1次評価を妥当とし、1月下旬に来日したIAEA(国際原子力機関)調査団のお墨付きを得て、今月上旬にも審査結果を原子力安全委員会へ送ろうとしています。しかしながら、このストレステストは福島事故を反映させない机上の計算にすぎません。こうして再稼働の条件を整えつつ、総理大臣など関係4閣僚による政治判断を行い、それの地元了解に向けて圧力を強めてきています。

 電力各社と政府は事故原因を津波に限定しています。しかし、大津波の前に、地震によって配管が破損した可能性を原子力安全・保安院も否定できません。事故はすべての原発の耐震性に疑問を投げかけています。老朽化した若狭の原発群は、活断層が原発の直下やすぐ横を走り、日本で最も危険な原発群であると指摘されています。とりわけ、大飯原発のすぐそばを走る熊川断層などの三つの活断層の連動は考慮されていません。
 大飯原発が事故を起こせば、被害は、全住民が20キロ圏内にくらす福井県小浜市の3万1千人をはじめ、近畿1200万人の水がめ・琵琶湖はすぐに汚染され、30キロ圏内に6万8千人が住む京都府など、隣接自治体にも甚大な被害をもたらします。福井県や京都府丹後・丹波住民の多くが避難路を確保できず、冬季には雪に閉ざされることも忘れてはなりません。

 私たちは、福井県、滋賀県、京都府をはじめとする立地自治体並びに隣接自治体が、住民のいのちとくらしを守るため、大飯原発3・4号の再稼働に同意しないことを求めます。同時に、隣接自治体があくまで立地自治体並みの安全協定を求めていくことを強く支持します。
 私たちは、再稼働の動きに強く抗議するとともに、下記の通り求めます。
1.関西電力は、大飯原発3・4号の運転再開をやめること。
2.原子力安全・保安院は、隣接自治体等での住民説明会を開催すること。住民の理解なしに運転再開を許可しないこと。
3.関西電力は、福井県小浜市など隣接市町、および滋賀県、京都府など隣接府県と、すみやかに立地自治体並みの安全協定を締結すること。
4.政府は、国会設置の事故調査委員会による福島第一原発事故の実態・原因究明を尊重し、少なくともそれまでは再稼働を認めないこと。
 以上決議する                                         2012年2月4日
大飯原発3・4号炉の運転再開を止めよう! 2月4日 関西びわこ集会参加者一同


(12/02/04 UP)