佐賀県知事への要望書
◆「緊急安全対策」では炉心溶融は防げません
◆9日の保安院説明「敷地外で事故によるプルトニウム検出されず」はウソです
玄海原発2・3号機の運転再開に同意しないでください

佐賀県知事 古川 康 様

 岸本玄海町長が定期検査で停止中の玄海原発2・3号機の運転再開に同意する意向を示したことによって、佐賀県の動向に全国からの注目が集まっています。
 福島第一原発の過酷事故は未だ収束の目処さえたっていません。福島県民は生活の基盤が根こそぎ奪われ、生命と健康の危機にさらされています。とりわけ乳幼児や子供の将来の健康に大きな不安があることに、全国の人たちが心を痛めています。
 6月9日に、原子力安全・保安院の黒木慎一審議官は、玄海原発には「大規模地震の可能性は低いため、耐震強度に問題はない」と説明していますが、これは福島第一原発事故後の「緊急安全対策」の寄って立つ考えを根本から否定するものです。「緊急安全対策」では、全電源喪失を想定するよう国が指示しているからです。また、「周辺へのプルトニウムの飛散はなかった」と述べたのも大きなウソです。明らかに事故由来のプルトニウムが、福島第一原発敷地から1.7km地点で検出されたことは報道番組で広く紹介されています。
 また、今回の事故では津波の前の地震動によって3号機の高圧注入系配管が破損したことが、東電自身の解析によって強く示唆されています。福島第一原発1、2、3号機の事故経過の違いが何に由来するのかも、まだ明らかになっていません。
 班目安全委員長は、安全設計審査指針に根本的な欠陥があったことを認めています。それはすなわち、現存の原発に設計上の根本的な欠陥があることを意味しています。それをタービン動補助給水ポンプでカバーするというのが「緊急安全対策」の主旨ですが、この1台の給水ポンプが故障すれば炉心溶融は免れません。実際、このポンプはしばしば故障しているのです。このような夢物語に頼って、玄海原発の運転再開を認めることは絶対にしないでください。
 佐賀県議会は5月に全会一致で「原子力発電に係る安全対策強化などを求める意見書」を可決しています。そこでは、これから議論が始まる国の「事故調査・検証委員会」の分析・検証なども踏まえるように述べています。知事として、県議会の意思を尊重するべきなのは言うまでもありません。
 私たちは関西に住むものですが、玄海原発で過酷事故が起これば、放射能は西風に乗って容易に関西にも到達し、空気や土地を汚染します。このような危険を避けるために、産業界を含め節電をするのは当然のことで、それによって生活上の著しい困難が生じるわけではありません。
 福島の悲惨な状況に鑑みて、電気の浪費を改め、危険のない再生可能エネルギーへの転換を目指すべきです。
 そのためにも、現在定期検査で停止中の玄海原発2・3号機の運転再開を認めず、運転中の1・4号機も停止するよう導いてください。以上、要請します。

2011年6月10日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581

(11/06/10UP)