抗 議 文
六ヶ所再処理工場のガラス固化試験の準備開始に強く抗議する。
直ちに準備作業を停止せよ
2012年1月○日

原子力安全・保安院長  深野 弘行 様
日本原燃(株)社長    川井 吉彦 様

 今年1月4日夕刻に日本原燃は、六ヶ所再処理工場のガラス固化設備に係るアクティブ試験の準備を開始した。1月末までにはガラス固化体の製造に入るという。原子力安全・保安院はこの開始について何ら報告等を受けることさえなく、ただ黙認しているだけである。福島事故を受け、原発が次々と停止している中、特段に危険性の高い再処理工場の試験が事実上無条件で再開されようとしている。
 このような開始に強く抗議し、直ちに作業を停止するよう要求する。

 日本原燃の川井社長は昨年12月27日の定例記者会見で、「ここ青森で福島のような事故を絶対に起こしてはならない」と述べているが、肝心な「福島のような事故」の実態も原因も未だ解明されていない。このことは保安院自身が認めていることである。
 その保安院は、11月25日に日本原燃に対し、アクティブ試験に係るストレステストの実施を求めたが、日本原燃の報告書提出は4月以降になるという。それなのに保安院はどうしてアクティブ試験の再開を黙って見過ごすのか。福島事故の教訓を把握しそれを生かすより前に再処理工場を動かすことが、いまどうして許されるのだろうか。
 そればかりか、日本原燃は昨年7月22日に安全蒸気ボイラの2台同時故障を起こしている。保安院は12月22日にその原因判断と対策を妥当としたが、1月5日の原子力安全委員会では、設備全体における多重性が成り立っているか、日本原燃の体質に問題があるのではないかという強い疑問が出され、この問題はけっして解決していない。
 また、試験準備作業には、高レベル廃液濃縮缶によって高レベル廃液を濃縮し、濃縮廃液をつくる工程が含まれており、その過程は一段と危険性を高める。濃縮缶はすでに廃液漏えい事故を起こしており、その過程で濃縮缶には根本的な欠陥のあることが明らかになっている。
 
 アクティブ試験の再開は、基本的に再処理工場の本格操業を目指し準備するものである。他方、福島事故を受けて、六ヶ所再処理工場をどう位置づけるのかが大きな問題として浮上している。このようなときに、まるで福島事故などなかったかのようにして六ヶ所再処理工場を動かすのは、福島事故で多大な被害を受け、いまもなお被害に苦しむ多くの人たちを冒涜する行為である。
 直ちにアクティブ試験の準備作業を停止するよう、日本原燃と原子力安全・保安院に対し強く要求する。

2012年1月○日
提出団体

連絡先 美浜の会
FAX:06−6367−6581
メールアドレス:mihama@jca.apc.org
★提出団体募集の締め切り:1月14日(土)

(12/01/10 UP)