2011年5月2日 プレスリリース
グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan

◆厚生労働省:「放射性管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)で子どもを遊ばせてはならない」しかし、放射性管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非は答えず。(実態:福島県の学校の75%以上が管理区域と同程度の汚染)
◆文部科学省:自治体の除染作業に「ブレーキはかけないが、やる必要はない」
◆原子力安全委員会;「20ミリシーベルトは基準としない。20ミリシーベルトを安全とする専門家はいない」

誰がどう決めたか?
迷走し始めた「子どもに年20ミリシーベルト」に必要とされる政治決断

 福島の原発事故を受け、文部科学省が19日に発表した学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の暫定的目安「20ミリシーベルト」は混迷を深めている。本日、この問題を憂慮するグリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japanの呼びかけにより、政府交渉が開かれた。
 交渉は、まず厚生労働省、次いで、文部科学省、原子力安全委員会と行われたが、下記のように「20ミリシーベルト」の認識や決定プロセスに関して、省庁側は明確な回答を行うことができなかったばかりでなく、原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」を基準としては認めていないと発言。この基準を、どの省庁がどのように決めたか、謎は深まるばかりだ。

厚生労働省は、放射性管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)で子どもを遊ばせてはならないと発言したものの、放射性管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非については回答しなかった。
原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言。また、安全委員会の委員全員および決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったと述べた。
原子力安全委員会は、19日14時頃に助言要請を受け、16時に「20ミリシーベルト」を了解すると回答しているが、この間、正式な委員会は開催されなかったものの、4名の委員が参加する会議が開かれた。これをなぜ正式な委員会としなかったかについては、明確な回答はなかった。
原子力安全委員会は、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーが、「100ミリシーベルト以下であれば、安全」と繰り返していることに関して、「調査し、それが事実ならば対応する」と発言した。
文部科学省は、屋外活動を許容する「毎時3.8マイクロシーベルト」という基準に関して内部被ばくを考慮していないことを認めた。理由として、ほこりなどの吸引は、全体の被ばく量の2%程度であり、軽微と判断したと説明。しかし、内部被ばくの評価の前提としたデータを示さなかった。

本交渉において明らかになった事実関係およびそれに基づく、市民グループ側の要請は別紙のとおり。
市民グループ側は、「20ミリシーベルトという基準が、だれがどう決めたのか。原子力安全委員会の議論の過程で、20ミリシーベルトを安全だとした専門家、委員は一人もいない。すなわち、20ミリシーベルトを了解した決定そのものの根拠が崩れたということ。20ミリシーベルトによって、福島県の子どもたちがさらされているリスクをこれ以上放置するべきではない。政治的な決断が必要だ」として、20ミリシーベルト撤回をあくまで求めていく姿勢だ。

2011年5月2日   美浜の会

(11/05/02UP)