要   望   書

◆耐震安全性評価、避難ルートの複線化等は、「再稼働の前提ではない」とする国の姿勢に異議を表明してください。

◆原発の停止に伴う雇用や生活の悪化・不安に対して、十分な支援や補償を具体化するよう早急に国に求めてください。

◆再稼働の判断をする前に、
まず、町民説明会で出た、拙速な再稼働に対する不安や批判の声に答えてください。

おおい町長 時岡 忍 様

 私たちは、5月15日に参議院議員会館で、大飯3・4号の再稼働について政府交渉を行いました。交渉には5名の国会議員と市民130名が参加しました。
 政府交渉では、4月26日の町民説明会で出された町の皆さんの不安や批判の声、さらには、私たちが行った戸別訪問アンケート結果や戸別訪問で聞いた町の皆さんの声に基づいて質問をし、回答を求めました。以下が交渉のポイントでした(交渉での確認点は別紙を参照してください)。

●安全性の問題では、安全審査指針に合致しなければ原発を運転することはできず、その指針類は福島原発事故によって見直しが必要となっており、新たな規制庁によって具体化が行われることを政府側は認めました。しかし、新たな安全審査指針もない中で、何を根拠に安全性を確認するのかという問いには答えることができませんでした。

 さらに、耐震安全性評価については、事故時に原子炉を安全に止めるために作られている基準である、制御棒挿入時間の評価基準値2.2秒を超える場合は、なんらかの手当(補強工事など)をしなければ運転することはできないと認めました。しかし、活断層の3連動の場合に、制御棒が評価基準値である2.2秒以内に挿入されるのかという評価については、再稼働前には行わないという回答でした。果たしてこれで、本当に安全性が確認されたといえるのでしょうか。

 また、大飯原発1・2号の斜面崩落の危険性について、原子力安全・保安院は報告書を出す予定としながら、その時期は未定だと答えました。関西電力は2014年度から工事を行う計画です。同じ敷地にある3・4号の斜面の安全性評価についても十分に検討されるべきであり、少なくとも、保安院の報告や工事の完成を待つべきですが、これも再稼働とは別だと答えました。

●避難道路の複線化については、「必要だと思っている、不断の改善をしていく」と述べながらも、「再稼働の前提ではない」と明言しました。このような国の姿勢で、町の皆さんの不安に答えることになるのでしょうか。

●原発の停止に伴う雇用や生活の悪化・不安について、私たちは、国策として「安全神話」のもとに原発を推進し、福島原発事故を引き起こした政府に責任があると考えています。資源エネ庁は、「不安を受け止める責任はある」としながらも、支援や補償について何も具体化していないことが明らかになりました。4月26日の町民説明会やその前に行われた町議会議員との意見交換でも、経産副大臣や資源エネルギー庁の糟谷電力・ガス事業部長は「雇用調整助成金のような制度をフル活用して省庁の枠を超えてできるだけの努力をさせていただきたい」と述べていました。しかし、3週間たった現在も、雇用や生活への緊急支援や補償について何も具体化していないと答えました。雇用や生活の悪化などに関する実態調査もやっていません。私たちは、支援・補償について、いつ何をやるのかについて早急に文書回答するよう求め、政府側はこれを了承しました。

 以上のように、耐震安全性評価も、避難ルートの複線化も、斜面崩落の安全性評価も、新規制庁の発足も、「再稼働の前提ではない」として、大飯3・4号の再稼働に突き進んでいます。他方、文科省は防災計画やSPEEDIによる事故のシミュレーションについて、新規制庁ができて、新たな防災指針が完成するまでは、滋賀県などの30q圏内の自治体には公表しないと述べました。さらに、原子力安全委員会は「もはや語ることはない」として、交渉に出席することさえありませんでした。

 このような国の姿勢は、町民説明会で出された町の皆さんの不安や批判の声を軽視しているとしか言いようがありません。
 とりわけ、町が主催した町民説明会の結果について、町長として、町の皆さんの声に答える義務と責任があります。

 私たちは昨日17日におおい町で「福島の人たちとの交流・座談会」を行いました。福島原発事故の経験を語られた福島の人たちの声を聞くにつけ、なんとしても原発事故を繰り返してはならないと痛感しました。
このような状況から、以下を強く要求します。


要  望  事  項

1.耐震安全性評価も、避難ルートの複線化も、斜面崩落の安全性評価も、新規制庁の発足も、「再稼働の前提ではない」とする国の姿勢に異議を表明してください。

2.原発の停止に伴う雇用や生活の悪化・不安に対して、十分な支援や補償を具体化するよう早急に国に求めてください。

3.再稼働の判断をする前に、
まず、町民説明会で出た、拙速な再稼働に対する不安や批判の声に答えてください。

2012年5月18日
  プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
  原発設置反対小浜市民の会  〒917-8691 小浜郵便局私書箱第3号
  グリーン・アクション
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(12/05/18UP)