おおい町長への要請書
大飯1号の営業運転入りをけっして了承しないでください

おおい町長 時岡 忍 様

 関西電力の大飯1号は定期検査中ながら、調整運転という名の全出力発電運転を、福島原発事故直後から約4ヶ月も続けてきました。事故直後から、国も関電もだんまりを決め込み、定期検査中でありながら、なし崩し的に長期間の運転を放置してきました。私たちは、関西電力に対し、6月8日付の質問・要望書でも、大飯1号の運転停止を求めてきました。また、福井県議会でも批判や疑問視する声があがっていました。

 ところが、その批判に対し開き直るように、大飯1号を営業運転させようとする策動が急浮上しています。7月8日に経産省から「総合負荷性能検査」を受けるよう関電に指導があり、12日には保安院の森山・原子力災害対策監から、調整運転が続いている状態について「法令上問題がある」との批判が関電に対してなされたということです。これら経産省の動きは、大飯1号の営業運転再開を無条件に認めようとするものです。

 しかし、定検中の大飯1号の運転再開を、他の定検中の原発と区別して容認できるような根拠はどこにもありません。たとえば、玄海2号や3号は未だ安全とは言えないが、大飯1号はすでに安全になっているとどうして言えるのでしょうか。まるで保安院は、玄海2・3号の運転再開にしくじったのと引き換えに、強引に調整運転中の大飯1号と泊3号を動かそうとしているかのようです。しかし、従来の基準や「緊急安全対策」だけでは安全性の保証が十分ではないというのが、政府の統一見解です。それにもかかわらず、経産省主導で、これまで通り検査を行い営業運転に入るなど、許されることではありません。

 政府は新たに全原発を対象にストレステストを実施するとしています。ストレステストについての7月11日付枝野・海江田・細野氏の見解では、一次評価として「定期検査で停止中の原子力発電所について運転の再開の可否について判断」することになっています。大飯1号は、定期検査中のため当然この範疇に入るべきです。そうでなければ、福島第一原発が提起した安全上の問題が何ら考慮されないまま安全上合格という措置になってしまいます。

 そもそも、福島第一原発3号機では地震動によって高圧注入系配管が破損したことが東電自体の解析によって強く示唆され、IAEAにも報告されています。しかし、緊急安全対策ではこのような地震動による危険はいっさい検討されていません。それゆえ、大飯1号が同様の地震動に襲われたときの安全性は何ら保証されていません。
 少なくとも、このような具体例を含めて、福島第一原発事故の実態に基づいた安全評価がなされるべきです。それなしに、大飯1号の営業運転再開はけっして許されないと考えます。

 福島事故が示した人々の生命、健康、そして環境への深刻な破壊状況にかんがみて、おおい町の住民や広範な人々の生命と健康を守ることをこそ絶対的に優先してください。町長は町民に対して、大飯1号の営業運転再開をどのように説明するのですか。根拠のある理由を説明しなければ納得は得られないのではないでしょうか。全国民の目が町長の姿勢に注目しています。
 隣接の小浜市議会では、6月9日に全会一致で意見書が採択され、原発からの脱却、ならびに大飯1号を含む30年を越える原発の運転延長を求めないよう求めています。
 大飯1号で福島第一原発と同様の事故が起これば、福井県をはじめ、関西にも放射能は飛来して直接被害を与え、環境を汚染します。関西の水がめである琵琶湖が汚染され、実に深刻な影響が及びます。
 大飯1号の営業運転再開をけっして了承されないよう、強く申し入れします。

 

2011年7月14日

   プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
   グリーン・アクション
   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)

(11/07/14UP)