要   望   書
福島原発事故では、津波の前に地震で配管が破損した可能性が高まっています
国会では事故原因についてこれから調査・検討が始まります
大飯原発3・4号の拙速な運転再開に反対を表明してください

小浜市議会議長 池尾 正彦 様

 避難を余儀なくされている福島の人々への深い思いと、二度とこのような事故を起こしてはならないという強い意思に満ちた貴議会の「原子力発電所からの脱却を求める意見書」を読むにつれ、心底から感謝の気持ちでいっぱいです。

 福島原発事故からまもなく9ヶ月になろうとしていますが、事故収束の目処はたたず、深刻な状況が後出しで伝えられています。福島の子どもたちは被ばくを強要され、避難もままならない状況が続いています。大地と海は汚染され、豊かな自然と共に生きてきた人々は生活の糧を奪われています。食品の汚染、大量の放射性ガレキの発生等々、汚染と被ばくは全国に広がろうとしています。原発事故の犠牲は人々に重くのしかかり、現在と将来にわたる、背負いきれないほどの苦痛と苦悩を人々に与え続けています。

 他方で、はやばやと原発を運転再開させようとする動きがでています。関西電力の大飯原発3・4号がその先頭にあります。福島事故の実態をなんら反映しないストレステストと津波対策によって、福島と同様の事故は起きないかのように言われています。細野原発事故担当相は、来年1月下旬以降にIAEA(国際原子力機関)によるストレステスト結果の評価を受け、その後、首相、経産大臣など4大臣が運転再開の政治判断を下すと発言しています。

 しかし、福島原発事故の原因は未だ解明されていません。津波の前に地震で配管が破損した可能性が高まっています。津波が到達する以前に、原子炉建屋から放射能が放出されているという紛れもない事実がそのことを示しています。また、地震から3時間後に早くも、1号機の原子炉建屋に放射能が充満していましたが、この原因は何も解明されていません。それにもかかわらず、政府も関西電力もこのことに目をつむっています。また、津波対策は「浸水」を考慮しているのみで、津波の破壊的な力については一切考慮されていません。PWRの最後の命綱であるタービン動補助給水ポンプについても、扉にシール加工をしているから全電源が喪失しても安全に働くと関西電力は述べています。しかし、福島第二原発では、破壊的な津波の力によって扉は大きく変形し、シール加工など何の役にもたたなかったことが明らかになっています。
 原子力安全・保安院はストレステスト結果の判断基準さえもっていません。また福井県知事が再三要請している福島原発事故の知見を反映した暫定的な基準策定についても、なんら回答がありません。

 また、国会では「東京電力福島原子力事故調査委員会」が設置されました。政府から独立した立場で事故原因の究明を行うため、今月から議論が開始され、来年6月を目処に報告書がまとめられるとのことです。法律に基づいて国会に設置された委員会の調査・検討はまだこれからです。立地県をはじめ全国の住民が、国会での審議を注視し、その議論にも加わりながら、福島原発事故の実態と原因の解明が進められるべきです。

 若狭と関西の私達は10月に、大飯原発が目の前に見える小浜市泊地区などに戸別訪問に伺いました。住民の方々は、突然の訪問にもかかわらず、長い時間をかけて、原発と隣り合わせの生活に対する不安やしっかりとした安全協定を結んでほしいという気持ちを語られました。
 また、若狭の原発で事故が起これば、琵琶湖はすぐに汚染されてしまいます。関西の水瓶である琵琶湖の汚染は、関西全域に甚大な影響を与えます。原発事故以降、関西でも原発の運転再開に対する不安と懸念の声が強まっています。

 このような状況に鑑みて、政府が進めている年明け2月頃の大飯原発3・4号の運転再開に反対していただくよう、強く要望いたします。

要  望  事  項

1.大飯原発3・4号の拙速な運転再開に反対を表明してください。


2011年12月5日

原発設置反対小浜市民の会
プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
琵琶湖の水がみんなのいのち・さよなら原発ネットワーク(関西13団体)
    (NPO地球とともに/(株)よつ葉ホームデリバリー京滋/京都・水俣病を告発する会/グリーン・アクション/コープ自然派京都/コープ自然派奈良/コープ自然派ピュア大阪/脱原発へ!関電株主行動の会/脱原発わかやま/日本熊森協会滋賀県支部/毎月26日のランチタイムに関電前に集まる女たち/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/若狭の原発を案じる京都府民)

(11/12/05UP)