● 文科省は表土入れ替え措置を止め、表土の除染を行うべき 緊急要請と声明

 文科省は福島県内の学校校庭の放射線量低減策として5月11日、表土と下層の土を入れ替える措置を有効だとして、福島県に通知しました。

 この措置に対して、5月2日に子どもへの被ばく基準20ミリシーベルト問題で文科省・原子力安全委員会と交渉を行った4市民団体と福島の2市民団体・個人が緊急要請と声明を発表しました。私たちフクロウの会もこの声明の賛同団体となっています。

 表土入替え措置は子どもたちを放射能汚染から守るための根本対策からはほど遠いものであり、その根本対策を要求するとともに、20ミリシーべルトの基準の撤回を改めて要請しています。

 本緊急要請と声明を出した団体・個人は5月23日(月)に文科省への申し入れ行動を計画しています(詳細未定)。詳細が決まり次第、告知しますので皆様の応援参加をお願いします。

●緊急要請と声明

文科省は表土入れ替え措置をやめ、表土の除染を行うべき
汚染土は東電と国の責任で管理すべき
子どもへの20ミリシーベルト基準を撤回し、安全が確認できるまで学校を閉鎖すべき

 文科省は年20ミリシーベルトの学校使用基準について、国内外からの強い批判にさらされ、5月11日、校庭の表土と下層土を入れ替える方法を福島県に通知しました。しかし、これは根本的な問題の解決とはほど遠いものです。速やかに校庭等の表面汚染土を除去し、取り除いた汚染土は東電や国の責任で管理すべきです。

 文科省が福島県内で行った校庭の除染実験は表土50センチを下層の土と入れ替えるものです。これは汚染土を取り除く根本的な除染措置とは違い、汚染土が地中に残るため、埋められているとはいえ一時しのぎの措置に過ぎません。福島原発事故が未だ収束せず放射能が漏れ続けている状況では上下を入れ替えたとしても、再び表土が汚染されることは十分考えられます。表土が再び汚染された時にはどうするのでしょうか。また学校校庭の地下50センチに存在する汚染土の放射能は雨水や地下水と共に再び環境中に流れ出す可能性も高くまた、将来的に工事などで掘り返される可能性も十分考えられます。

 文科省は、5月2日の政府交渉で「除去した表土の持って行き場等問題が多い」として、表土除染について「ブレーキはかけないが、やる必要はない」と述べました。大事故が起きる前は「原発は安全」だとして推進し、大事故が起きれば今度は汚染土の持って行き場がないからまともな除染さえも行おうとしない。こういった子どもの健康や生命の危険を顧みない姿勢は、国際的な専門家からも強く批判されています。

 このような実験をしている間にも、「20ミリシーベルト」基準は一人歩きし、福島県内では体育授業や部活でグランドを使用し始めています。夏のスポーツ大会を控え、部活を開始した子どもたちは毎日土ほこりにまみれて練習を行っているのです。子どもたちの内部被ばくはどんどん進むでしょう。学校では保護者に同意書を取り付けて屋外練習を行っているといいます。責任を保護者に押しつける県や教育委員会、学校当局の事なかれ主義は批判されるべきですが、その原因を作っているのは、文部科学省の「20ミリシーベルト」に関する通知です。

 もはや一刻の猶予もありません。時間が経てばそれだけ子どもたちの被ばくは増え続けます。子どもたちの被ばくをこれ以上増やさないために、文科省は「20ミリシーベルト」基準をただちに撤回すべきです。全ての保育園、幼稚園、学校などの徹底的な除染を行って下さい。除染が完了し安全が確認できるまで学校を閉鎖して下さい。たとえ子どもたちの一時的な教育の機会が制限され不十分な状況になろうとも生命と健康があれば後で取り返すことは十分可能です。生命と健康を害してまで当面の教育の機会を確保することなど本末転倒です。

2011年5月12日

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表 中手聖一、原発震災復興・福島会議
グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan

(11/05/12UP)