厚労省の食品の放射性物質新基準案に反対する

食品による内部被ばくだけで1ミリシーベル基準は高すぎる
外部被ばくを含めた1ミリシーベルトの遵守を
子どもの基準をより厳格に設定すべき

 食品に含まれる放射性物質の基準値について、厚労省は、放射性セシウムの基準値を、「一般食品」は1キログラム当たり100ベクレル、「乳児用食品」と「牛乳」は同50ベクレル、「飲料水」は同10ベクレルとする新基準値案をまとめ、22日の薬事・食品衛生審議会の部会で提示すると報道されている。
政府が、現在のあまりに甘い暫定基準値をここまで長期に適用したことは、大きな問題である。
また、新基準値設定にあたり、放射性セシウムによる年間被ばくの許容上限を暫定基準値の「5ミリシーベルト」から「1ミリシーベルト」へ引き下げるということだが、この基準案には以下の問題がありとても認められるものではない。

・食品の放射性セシウムによる年間被ばくを1ミリシーベルト以下に抑えるだけでは、トータルな被ばくを1ミリシーベルト以下に抑えることはできない。放射性セシウム以外にも、放射性ストロンチウム、放射性ヨウ素やウラン、プルトニウム等による内部被ばくがあり、それに加えて外部被ばくがある。これらを合せて年間1ミリシーベルト以下に抑えなければならない。ストロンチウムやプルトニウムは「測定が困難」として、セシウムに換算していると報道されているが、これら健康影響の大きい核種について、独自の基準を設けるべきである。

・食品安全委員会の食品による健康影響評価は「追加的な被ばくを食品のみから受けたことを前提に」したものであり、現状ではこの前提は崩れている。
外部被ばくだけをとっても、既に1ミリシーベルトを超えている地域が多く存在すること、福島周辺では、放射能雲(プルーム)やホコリの吸い込み、食品を通じた内部被ばくが明らかになっており、子どもたちにこれ以上の余分な被ばくをさせてはならないことから、食品による内部被ばくは極力ゼロに抑えなければならない。

・給食では40ベクレルを事実上の基準値として運用する動きがあるが、それに比べても緩い基準である。

・チェルノブイリ周辺国であるウクライナでは、主食のじゃがいも60ベクレル、野菜40ベクレルなど、日常的に食するものについてより厳しい基準を設けているが、そのような措置をとろうとしていない。

・一般食品の基準値は、全ての年代で同等に設定されている。また、乳児食品の基準値は一般食品の2分の1にしかすぎない。子どもが大人よりも放射線に対する感受性が高く影響が大きいことは常識といってもよく、原子力安全委員会も考慮するよう求めているが、厚労省案はこれを十分反映したものにはなっていない。

・食品の基準値は、子どもをもつ母親をはじめ、多くの人の関心事であるが、公開の場での検討が十分なされているとはいえない。

以上の点を踏まえ、現在の暫定基準値の一刻も早い抜本的な見直しを行うべきである。


2011年12月22日
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(11/12/22 UP)