みなさまへ

本日(7月8日)、原発の再稼働を許さない!7・8全国集会〜福島原発事故の深刻さを踏まえ、みんなで原発再稼働をとめよう〜が開催されました。北海道、佐賀、鹿児島、福井、新潟、福島(静岡へ避難)、静岡、富山、関西、首都圏の各地から100名以上が集まり、原発の再稼働は絶対許さないぞという意気で、熱気あふれる、元気の出る集会となりました。

集会では、京都のアイリーンさん、福井の中島哲演さんのあいさつのあと、福島県郡山市から静岡県に避難されている長谷川克己さんから、原発事故があっても国がなんとかしてくれると思っていたがそうではなかったこと、正しい情報が知らされず、いわきから、線量の高い福島方向へ避難し、職場の仲間たちに余分な被ばくをさせてしまったこと、そして今、福島事故も収束できずにいるのに、原発再稼働に向けて動いている「ねじれ」状況に対し、改めて不信と憤りを感じているとの訴えがありました。

その後、各地からの報告がありました。本日審査の申請を行った川内原発の地元から来られた反原発・かごしまネットの向原祥隆さんからは、国の研究機関(地震調査研究推進本部)が最近、川内原発周辺の活断層について、九州電力の調査結果よりも断層がつながっており、原発方向に伸びている調査結果を明らかにしたこと、また火山の影響について、原発周辺で火砕流の痕跡が見つかったことが紹介されました。九州電力は、従来の評価を変える必要はないと強がっていますが、この二つの問題で、再稼働のための安全審査を通させないようにしていきたいとの話がありました。

柏崎刈羽原発のある新潟県からは、原発からいのちとふるさとを守る県民の会の矢部忠夫さんと金子貞夫さんが参加されました。泉田新潟県知事が、東電の再稼働申請の動きを批判し待ったをかけたことについて、知事がフィルタ付きベントの設置に際して、安全協定に基づく事前了解を求めていること、フィルタ付きベントは、放射能の大量放出を前提としており、これを重大事故対策の目玉とすることについて、反対運動側は批判していたこと、今回、東電を申請断念に追い込んだのは、第一段階の勝利であり、第二段階で、知事が圧力に屈しないよう、首都圏をはじめ、各地でしっかりと支えていかなければならない、との訴えがありました。

防災のセッションでは、原子力防災が成り立たないことが、各地の実状に即して具体的に明らかにされました。

新潟から、避難訓練の様子が紹介されました。新潟県が、SPEEDIの予測に基づき、抜き打ちで避難先を変更するということを行いましたが、これは、新しい防災指針で、国が、SPEEDIの予測ではなく、線量が上がってから避難させるとしていることへの批判だという。

東京の原子力規制を監視する市民の会からは、UPZの30キロは福島事故に照らしても狭すぎること、地震防災と原子力防災の複合災害について考えられていないこと、例えば地震災害では車をおいて逃げろというが、原子力災害では自家用車での避難が前提になっていること、雪深い日はどうするのかといった問題が多々あることが報告されました。

玄海原発のある佐賀県から参加した石丸初美さんから、周辺の島々で避難できずに取り残される人が出ること、伊方原発のある愛媛県から参加された大野恭子さんからは、伊方原発は佐多岬の根元にあり、その先の地域で、完全に孤立してしまうこと、訓練ではヘリコプターや船で避難する事になっていたが、天候が悪く、ヘリコプターは飛ばせず、船も岸に近づくことができなかったといいます。

福井の石地優さんからは、原発事故の際に、原発銀座を結ぶ国道だけが避難路となるが、わざわざ原発のある方向に逃げなければならないことになる、との指摘がありました。

関西のおおい原発止めよう裁判の会からは、福井の東西への避難路は海沿いに走る国道27号線だが、事故時には津波によって水没、寸断される可能性がきわめて高い。また、南側の京都府綾部市に通じる府道1号線について、綾部市は、綾部市上林地区の住民にとって唯一の避難路であるが、家屋倒壊によって通れなくなる可能性があると文書で回答していると紹介がありました。また、兵庫県や大阪府など、受け入れとなっている府県に対しても、申し入れを行っていることが紹介されました。北海道からは、障がい者が切り捨てられるおそれがあるとの訴えがありました。

その後政府交渉が2時間近く行われました。規制庁からは、PWR担当の布田氏、地震津波担当の牧野氏、防災担当の新保氏が参加しました。いずれも課長補佐でした。新規制基準施行によりはじまる本審査について質疑がありました。

活断層の評価については、川内原発において、九州電力の調査結果だけではなく、地震調査研究推進本部の調査結果に基づいた検討を行うかと質しました。規制庁は、個別の事例には答えられないとしながら、最新の知見に基づく検討を行うと回答しました。

検討に際しては、調査にかかわった外部有識者を検討に加える用求めましたが、これについては、検討中を繰り返すだけでした。

免震事務棟についても議論になりました。今建設中のものについては、完成までは再稼働はないことを確認しようとしましたが、規制庁は、それは緊急時対策所のことだ、免震等により必要な機能が維持されればよいという規定であり、必ずしも免震である必要はないとの回答でした。緊急時対策所という別の言葉を宛てることにより、結局免震はどこかにいってしまうという構図です。市民側は、福島原発でも免震事務棟はあり、不幸中の幸いであった。福島原発事故を踏まえるのであれば、免震を要求して当然だと訴えました。

防潮堤についても聞きました。必要だと認めた場合は、完成までは再稼働はないとの回答でした。一方で、基準津波が低く設定されれば、防潮堤は必要なくなります。大飯原発の評価会合では、基準津波を低くすることにより、防潮堤の話が消えてしまいました。安全性の大幅な後退です。

防災について、規制庁は、防災計画の問題と再稼働の問題は、法的にはリンクしていないと繰り返し述べました。まともな防災計画など立てられず、現に立てられずにいる自治体が半数を超えていないとのことです。市民側は、避難が困難な事例をいくつも挙げながら、防災計画なしの再稼働などありえないと訴え、少なくとも、新しい防災計画が必要であることと、これがないには、住民の安全は保証されないことを明記すべきだと訴えました。

交渉終了後、各地で連携しながら再稼働させないようがんばろうと誓い合って終わりました。セッティングや受付、カンパ集めなどは原子力規制を監視する市民の会のみなさんで行いました。みなさんお疲れさまでした。

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武


(13/07/09UP)