10月7日の政府交渉を踏まえた質問・要請書

総理大臣 野田佳彦 様
経済産業大臣 枝野幸男 様
原発事故担当相 細野豪志 様
原子力安全委員会委員長 班目春樹 様


要   請   事   項

1.ストレステストを中止すること。

 10月7日の交渉で、原子力安全・保安院は、福島第一原発の1号機、3号機について、「地震によって配管破損がなかったとは断定していない。今後調査を進める予定」との認識を示した。
 さらに、現在の保安院の事故シナリオでは、17:50に原子炉建屋で確認された放射能漏えいについて説明することができないことも認めた。(1)保安院の事故シナリオの前提となっている、逃がし安全弁が開いたという証拠がない、(2)18:00には格納容器圧力は1気圧であり漏えいが起き得ないこと、(3)これらから、17:50の原子炉建屋への放射能漏えいは、保安院の事故シナリオでは説明することができないことを認めた。
 このように、配管の破損はないとする現在の保安院の事故シナリオは、現実の事故の実態と乖離していることが確認された。地震による配管破損の可能性については「今後調査を進める」とも表明した。
 また、保安院は、ストレステストについて「福島と同様のことが起こらないよう地元に説明する」と述べた。しかし、上記のように、地震によって配管が破損した可能性については、今後の調査によるものとなる。さらに、ストレステスト結果の評価について、保安院も原子力安全委員会も「判断基準はもっていない」と表明した。原子力安全委員会は、「ストレステストは法の外にあるので、ダブルチェックの対象ではない」とも明言した。

 以上のことから、福島原発事故の原因も実態もまだ明らかにならない現状では、ストレステストは何の意味も持たない。ストレステストを中止するよう表明することを求める。


2.やらせ問題に関する調査をやり直し、調査内容の詳細を公開するべき。

 第三者調査委員会の「最終報告書」では、やらせの動機は、空席が目立たないように等の「外観を重視したため」としている。しかし、浜岡のシンポジウムでは募集期間はわずか一週間で、参加者を広く集めるという努力はしていない。この事実からも、「外観重視」などではなく、プルサーマル推進のために世論を誘導するというあってはならない悪質な動機があった。この本当の動機を認めない限り、同様のことは起きる。これでは「膿を出し切る」ことにはならない。
 調査結果については、32件がなぜやらせなしと判断されたのかの理由も明らかになっていない。
 今回の調査対象は、(1)過去5年間、(2)国主催、(3)地元の事前了解などの判断の根拠となるシンポジウム等に限定されている。また、電力会社主催や立地道県主催のシンポジウムでもやらせが明らかになっているものもある。

質   問   事   項

1.上記2点の要請事項についての回答を求める。

2.8月19日に石川県原子力環境安全協議会での保安院の説明について、「地震による配管等の破損は一切ないと説明したのか」との質問には、明確な答がなかった。石川県で説明を実際に行った検査課の担当者に再度確認することになった。担当者に確認のうえ、回答を求める。

3.3号機の高圧注水系問題で東電が7月28日に記者に配布した資料は、国に正式の報告書として提出されているか。

4.耐震安全性問題について
(1)東電の7月28日付耐震報告書では、原子炉停止時冷却系配管の耐震評価は、配管の老朽化を考慮しているのか?
 保安院は、最初の回答では自信をもって「新品同様で評価している」と回答した。しかし、その後、耐震バックチェックは老朽化を考慮しているので、老朽化を考慮しているはずと前言をひるがえす発言をおこなった。事実はどうなのか。

(2)東電が7月28日報告書で配管の老朽化をどのように考慮しているかの資料を提出すること。

(3)10月7日の交渉で保安院は、耐震性バックチェックはまだ一部の原発で終わっただけで現在も進行中であると述べた。各原発で老朽化が進行しつつある状況で、どうして経済産業省は、まだバックチェックの終わっていない原発について再稼働を県に求めることができるのか。
耐震性バックチェックの終わっていない原発は安全性を確認できていない状況なので、そもそも再稼働できないのではないか。

5.野田首相は、9月27日の衆議院予算委員会の答弁で、再稼働について「この報告書(引用注:IAEAへの報告書)を見ると、地震の影響はまだ不明という評価になっておりますけれども、そういうことも踏まえて、早急に事故の究明、徹底調査を行うことがすべてのスタートの大前提になるだろうというふうに思います。
 その上で、そうした究明等を終えた後に、再稼働については、これは何度も申し上げてきているとおり、ストレステストを事業者が行い、それを保安院が評価をし、そして安全委員会が確認をし、最終的に、地元のいわゆる世論の動向とかを踏まえて、総合的な判断を政治が行うというプロセスをたどっていくということでございます。」(下線は引用者)
経産省としては、首相答弁のとおりに、ストレステストの前に、地震の影響も踏まえて福島原発事故の究明がなされなければならないという認識か。
  (9月27日衆議院予算委員会議事録は下記)
   http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001817820110927002.htm


2011年10月11日
[質問・要請書提出:22団体]
Shut泊 /花とハーブの里 /止めようプルサーマル!止めよう核燃料サイクル!女川原発地元連絡会 /東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める実行委員会 /浜岡原発を考える静岡ネットワーク /eシフト /国際環境NGO FoE Japan /国際環境NGOグリーンピース・ジャパン /原子力資料情報室 /福島原発事故緊急会議 /福島老朽原発を考える会(フクロウの会) /原発からいのちとふるさとを守る新潟県民の会 /原発震災を案じる石川県民 /原発設置反対小浜市民の会 /プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会 /グリーン・アクション /美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会) /島根原発増設反対運動 /原発さよならえひめネットワーク /玄海原発プルサーマル裁判の会 /プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/ 反原発・かごしまネット/

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(11/10/11UP)