乳幼児や妊婦を救うため−政府への緊急要求書
100q離れた地点でも野菜などが放射能汚染
20〜30q圏の乳幼児や妊婦は屋内退避のまま

内閣総理大臣 菅 直人様

1.早急に、放射線に弱い乳幼児と妊婦を福島原発30q圏から遠方に避難させること(政府の現在の指示は、20〜30q圏内は屋内退避です)
2.20q圏内に限定された避難区域を抜本的に拡大すること


 福島第一原発の事故に関する、総理の避難・退避指示は、現在は下記のままです。
(1)第一原発から半径20q圏内住民の避難(3月12日18:25)
(2)第二原発から半径10q圏内住民の避難(12日17:39)
(3)同原発から半径20〜30q圏内住民の屋内退避(15日11:06)
 
 このように、避難区域は、3月12日の20q圏内から拡大されていません。とりわけ最も心配なのは、放射線に弱い乳幼児や妊婦達が、いまも20〜30q圏内で屋内退避という状況にあることです。一刻も早く、この圏内の乳幼児や妊婦の避難が優先されるべきです。実際、30qを大きく超える100q地点でも、水道水や牛乳、野菜などから放射能が検出され、汚染が深刻になってきています。

 政府は「直ちに人体に影響の出るレベルではない」を繰り返しています。「直ちに」とは、一体何を指しているのでしょうか。脱毛などの目に見える急性症状のことでしょうか。そうなっては手遅れです。ガンなど数年後からでる内部被曝の危険について触れないのはなぜでしょうか。「十分低い」と政府がいう20マイクロSv/hは、通常レベルの400倍です。10日間で4.8ミリSvの被曝になります。わずか10日間で年間許容線量の4.8倍にも達します。

 避難区域の拡大指示がない中で、福島第一原発では深刻な事態が継続しています。2号機の格納容器破損、3号機・4号機の使用済燃料プールでの火災発生、20日には3号機の格納容器圧力が上昇し、高濃度の放射能を放出する措置(ドライベント)が取られる寸前にまでなりました。今後も、危険が継続することを前提に、住民の安全が守られなければなりません。11日の事故発生以来、破壊された建屋から、また排気筒等から放射能は放出され続けています。

 野菜等の汚染は、30qをはるかに超えた地点に実際に放射能が到達していることを示しています。15〜16日には、約50q離れた福島市内でも通常の400倍の線量が確認されています。しかし政府からの避難指示がないため、学校や職場から離れることはできず、10日間もこのような状況に人々はおかれています。避難区域を過小に限定することが、避難をしたくてもできない「しばり」のような役割さえ果たしています。他方、諸外国は、日本に在住している自国民に対し80q、または120q圏内からの避難を指示しています。

 放射線の恐ろしさは、細胞の中にある遺伝子を直接傷つけ、正常な細胞分裂を阻害することにあります。そのため、成長途上にあって、細胞分裂が活発な子ども達や乳幼児に甚大な影響を与えます。とりわけ、妊婦に対する影響には特別な配慮を払う必要があります。放射線影響の度合いは少なくとも成人の10倍以上あると考えるのが普通です。

 早急に、放射線に弱い乳幼児や妊婦を30q圏から遠方に避難させるべきです。
 さらに、避難区域を拡大すること。避難ルートの確保、受入体制等を抜本的に政策的に改善することを強く求めます。


2011年3月21日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
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(11/03/21UP)