2012年9月11日
緊急声明:
福島原発事故をなかったものとし、法と民主主義の精神、福島の心を踏みにじり、
「利用と規制の一体化」「原子力ムラの支配」「国民の信頼の失墜」を招く
原子力ムラ人事強行


原子力規制委員会委員の総理任命の閣議決定に抗議します

本日、政府は閣議で、原子力規制委員会を19日付で発足させ、同日付で田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問(元日本原子力研究所副理事長)を委員長に、更田豊志日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長ら4人を委員にそれぞれ任命する人事を決定しました。国会の同意は先送りにして、野田総理が任命すると報じられています。
私たちは、この決定は、国民の声を無視し、法の精神を踏みにじり、福島原発事故の教訓から何も学ばないものとして、強く抗議します。

この「総理任命」は、「法律に基づく」とされていますが、法の濫用にほかなりません。
事案は1か月も国会の議運にかけられていました。国会議員の批判・質問に政府が十分こたえることができず本会議にかけることができなかった状況です。
原子力規制委員会設置法附則第2条第5項に基づく総理による委員の任命は、あくまで、「国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないとき」です。今回のような状況下で、この規定を適用すべきではありません。いったん国会にかけられたのにもかかわらず、原子力非常事態宣言に関する原子力規制委員会設置法附則第2条第6項をもって国会の同意を先送りにすることは、さらに許されません。

私たちは、多くの市民や弁護士、国会議員のみなさまとともに、今回の人事案について下記の問題点を訴えてきました。また、のべ5万筆を超える一般市民の署名を政府に5回にわたり届けました。政府からは何ら納得のいくお答えを頂いていません。

@ 「利用と規制の分離」「国民の信頼の回復」「原子力ムラの影響力の排除」の原子力規制委員会設置法の趣旨を踏みにじるもの。それどころか、原子力事業者の委員への任命は、設置法法第7条第7項、7月3日付政府ガイドライン違反
A 無責任な原子力推進行政に加担してきた田中俊一氏などを抜擢
B 田中俊一氏は、自主的避難への賠償に反対し、低線量被ばくのリスクを過小評価してきた。

私たちはあらためてこれらの問題を提起するとともに、とりわけ国会議員に対して、国会軽視のこの暴挙に反対し、この人事案の事後承認を与えないことを求めます。
以上

国際環境NGO FoE Japan
福島老朽原発を考える会
原発を考える品川の女たち
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)


(12/09/11UP)