【翻訳抜粋】


Bid to Bury Plutonium Factor Dismays NATO

プルトニウム要因を覆い隠す企てはNATOを狼狽させる

ロイター 2001年1月20日(土)



  劣化ウランのパニックを押さえ込んだと思ったちょうどその時、いくつかの劣化ウラン兵器が、微量のプルトニウムを含んでいると、アメリカが遅ればせながら認めたことによって、NATOは新たな懸念の猛攻撃に直面するかもしれない。
 プルトニウムの含有という事実は、ウランだけの場合とは、まったく異なった次元の問題である。トラブルの蔓延している米国の核兵器工場での欠陥から、プルトニウムが発生しているというのなら、なおさらである。...マスコミの報告によれば、1オンスの100万分の1ほどの小さな粒子が、もし吸入されれば、致命的なガンを引き起こすことができるのだ。
 ドイツのテレビ・ネットワークがプルトニウム要因についてリポートした後、ドイツの国防大臣ルドルフ・シャーピングは、先の水曜日、もっと多くの情報を求めるため、ベルリンの米国代理大使を呼びつける、極めて非常的な手続きを取った。
 ワシントンは、プルトニウム問題は秘密ではなかったと正当に主張することができるのだが、ワシントンのスポークスマンは、プルトニウムに言及することを避けていた。コソボ、ボスニアおよび湾岸で使用された劣化ウラン弾からの癌リスクの恐怖を沈静化するため、過去10日間、NATOによってもちだされたアメリカの専門家達は、劣化ウランは、人々が食べ、飲み、そして呼吸する天然ウランよりも40%放射能が少ないと強調していた。専門家達が言わなかったことは、いくつかの劣化ウランが鉱石からではなく、再処理された核燃料からきており、そして高い放射性を持った微量のウラン236のみではなく、微量のプルトニウムを同様に含んでいるということである。文書記録と録音を調べると、ワシントンから海を越えてやってきた米軍の医学の専門家達が、プルトニウムという言葉に一度も言及しなかったことがわかる。劣化ウランがウラン236を含むかどうかを尋ねられた一人の専門家は「私は答えることができない。私はまったく知らない」と言った。....
 2日後、NATOは、劣化ウラン中のウラン236とプルトニウムの微量な存在は、「すでに長い間、立証されて」はいたが、それは、公に認められている非常に限定された劣化ウランのリスクを増加させるものではないため、「重要ではない」という声明を発表せざるをえなかった。

 1月上旬、劣化ウラン兵器に関する怒りが爆発した、しかし、NATOの公式記録の中には、劣化ウランを製造したケンタッキー工場での、深刻な安全上の欠陥についての言及はなかった。
 先週の木曜日、クリントン政権の終わりとともに退任する、国防総省のスポークスマンはウラン236の痕跡について質問を受けた。ケネス・ベーコンは「御存知の通り、一年程前、われわれは、エネルギー省が、劣化ウランの中から、いくつかの元素、回収された超ウラン元素を見つけた」「それらはプルトニウム、ネプツニウム、アメリシウムから構成されていた。これは本当に微量であり、そして、生産工程中の製造の欠陥を恐らく示すものであることが分かるやいなや、原子力規制委員会(NRC)はケンタッキーのパデューカにある、この工場での操業を中断した」と述べ、90日間の検査の後に、操業は再開されたと言った。「ヨーロッパの研究所は、劣化ウランの中には通常存在しない微量のウラン236の元素を見つけた」と彼は付け加えた。これら(ウラン236)は非常に微量であった、国連の科学者によれば、それらは劣化ウランの非常に低い放射性毒性を変えなかったと言う。「われわれは、どのようにしてこれが起こり得たのかを調査している」と述べた。

 1999年のNATOの軍事行動で、米国の航空機によって、対戦車劣化ウラン弾が発射された場所で、さらに多くのサンプルを採取するため、今週、世界保健機構のチームは、コソボへ行く。プルトニウムがある一定量で見つかる場合、アメリカとNATOが主張する、深刻な健康リスクを引き起こすにはレベルが小さすぎるというような主張は、問題にならないかも知れない。プルトニウムの発見によって、大衆的な疑念は大きくなるであろうし、劣化ウラン弾に対する反対は盛り上がるであろう。微量レベルのプルトニウムの含有でさえ、パデューカからの劣化ウランの「不良バッチ」が、予想されたよりもさらに多くのプルトニウムを含み、そして、後になって舞い上がった塵に吸い込まれたのかも知れないという推測を燃え立たせることが可能だった。政府の請負の下、50年間核兵器の材料を作っているパデューカ工場は、労働者と周辺住民から健康への危険を隠したことに対して100億ドルを求める訴訟を起こされている。

 先週、NATOの19の軍隊の医療のチーフ達全員は、記録の照合を行った翌日、NATO兵士の間での謎の病気の証拠が存在しないこと、説明されるような「バルカン症候群」が存在しないということに合意した。....

 今月の初め、ウィリアム・コーエン国防長官は、劣化ウランは、「有鉛のペンキ」より危険ではないと言った。そして、米軍の報告書は食べても十分安全であると請けあった。



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