福井県・美浜町議会の「使用済み燃料中間貯蔵施設の誘致推進決議」
について


 福井県の美浜町議会は7月14日、「使用済み燃料中間貯蔵施設の誘致推進に関する決議」を行った。これをもって早くも15日に立地可能性調査入りを要請するために関電本店に出かけると言われている。
 この決議は次の点で矛盾に満ちた奇妙な内容になっている。
1.「2010年頃には発電所内貯蔵が満杯となり」との認識に立っているが、これは六ヶ所再処理工場が運転しない場合を前提にしている。再処理問題は、これから新長計策定会議で議論されるのだが、美浜町議会としては再処理否定路線を選んだのだろうか。それならば、なぜ再処理を前提とする中間貯蔵施設の誘致ができるのだろうか。
2.中間貯蔵施設は「その安全性が認められる」との認識に立っているが、例えば地震に襲われたときの安全性は保証されていない。原発と違って地震で施設は容易に壊れるが、施設内の容器は2〜3日で「救出」され、自然対流の冷却中に置かれるはずだとされている。しかし、大地震のときにそのような素早い救出が可能だろうか、何も保証がない。
3.確認すべき条件的事項の中に「貯蔵期間終了時の確実なる使用済み燃料搬出について、国の関与を明確にすること」が入っている。この点こそはまさにこの問題の焦点である。運び出すべき第二再処理工場など影も形もないという現実のもとで、このような事項が条件ならば、事実上、中間貯蔵施設は誘致できないのではないだろうか。
4.仮に第二再処理工場について抽象的可能性を認めたとしても、そこへ容器を運び出せないという別の障害がある。現行法では、搬出の前に必ず中身を目視検査しなければならないのに、中間貯蔵施設内ではけっして容器の蓋を開けてはいけないという矛盾があるからだ。この矛盾は指針検討の過程で最初から問題になっていたが、未だに解決されていない。

 要するに、美浜町議会は、受け入れるべき中間貯蔵施設の何たるかも見定めないまま、とにかく誘致の意志だけは先に表明しておきたかったというのだろうか。これでは、利権に誘導された行為だと批判されてもやむを得ないのではないだろうか。
 中間貯蔵施設とは、その実、永久貯蔵施設でありながら、永久の安全性など保証されないごまかしの施設である。人々をだましてこのような施設を強引に建設することは許されないことである。

2004年7月14日 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会