ユタ州は核廃棄物闘争の小さな局面で勝利
キャスク数を減らす提案は手続き上の問題で拒否された

Utah wins minor round in N-waste battle
Motion for fewer casks denied on procedural grounds


2003年5月30日 デザレット・ニュース(ユタ州の地方紙)
リー・デビッドソン デザレット・ニュースのワシントン特派員


 メリーランド州ロックビル−ユタ州は木曜日、スカル・バレーのゴーシュート族特別保留地での核廃棄物貯蔵施設建設計画の反対闘争で、少なくとも一時的な勝利を収めた。
 しかし. 原子炉安全許認可会議(Atomic Safety and Licensing Board、ASLB)はある特定の闘争における第一局面にすぎないであろうことを明言しており、ユタ州の唯一の勝因は、貯蔵施設を建設しようとしている、電力会社の合弁企業であるPrivate Fuel Storage(以下PFS)社の手続き上のミスである。
 木曜日、ASLBは、貯蔵するキャスク数を4000から336に減らして認可を受けようとする合弁企業の企てを許可しなかった。
 今年3月に認可会議が改正し用いた数式によれば、(最初の計画どおりの)フルサイズの施設は、大きすぎて戦闘機の墜落先となり余りに危険すぎたため、PFS社は、キャスク数の減少により、戦闘機の墜落の脅威が許容可能なレベルまで引き下げられると主張した。
 スカル・バレーのサイトは、国内で最大の爆撃訓練領域であるユタ実験訓練区域から離れていない。またヒル空軍基地の戦闘機が訓練している場所にも近い。
 PFS社は、ASLBが下した初期の決定事項について再考した申請を提出し、高さ20フィート(約6メートル)直径11フィート(約3メートル30センチ)の巨大なキャスクの数を減らそうとした。その申請で、同社は、委員会が安全であろうと判断すると思われるだけキャスクの数を減らした施設計画を自動的に認可しなければ、委員会の過ちになるであろうと主張した。
 しかしながら、ASLBは、PFSがこれまでに施設の規模縮小について審議するよう依頼したことは一度もなくこの再申請は会社のミスであり、認可は不適正であるとの判断を下した。
 「航空機の問題に関する全ての審議において、我々の誰も規模を縮小した施設の認可というばかげた考えについて考慮しなかった。我々がかつて一度も縮小した施設について考えたことがないという事実から、われわれはこの再申請は公正なものではないと判断した」。PFSの変更案について、ASLBの委員長マイケル・C・ファラーは述べた。
 そして彼は、「我々はこの申請について、本質的な点ではなく手続き上の観点で却下するだろう」と語った。
 ファラーは、当初の認可申請の正式な修正案を提出する等、(今回の申請とは)異なった形式で同様の要求を行うことはPFS社の自由であると述べた。事実、彼はPFS社がそうすると予測していると述べ、それについての裁定を早く下すため、専門家に評価の準備をさせているとユタ州に語りさえしたのである。
 3時間にわたる口頭での議論の間、ユタ州政府の司法次官デニス・チャンセラーは、キャスク数の削減の試みは、委員会が以前下した裁定の「違法な回避策」だと主張しつづけた。彼女はこの削減の試みは全く新たな請求に等しいと述べ、この変更について経済性、環境への影響、安全性について新たな調査を要求した。
 しかし、PFS社の代理人Paul Gaulknerは、それらの必要不可欠な調査は当初の規模の大きな施設に関する調査の中に基本的に内包されており、新しい包括的研究及び調査を要求すべきでないと主張した。
 一方、ユタ州司法次官ジム・ソーパーは、キャスク数を336にするという変更(の認可)は、その認可がキャスク数4000の(当初の計画の)フルサイズの施設の開設につながるものであると期待しているPFS社に対し、フルサイズの施設を建設する認可を本質的に与えてしまう「謀略に他ならない」と述べた。「PFS社はキャスク数がたった336の施設を建設して所有し、開設しようとする意思など持ってはいないのだ」と彼は述べた。
 PFS社の代理人であるジェイ・シルバーグは、同社が諸申請やその他の問題が審理された後で「キャスク数4000の施設を建てることをひそかに」を考えており、キャスク数336の縮小した施設の認可が後々フルサイズの施設を建設する幸先良いスタートになると考えていることを明らかにした。
 シルバーグはASLBに対し、PFS社がもともとの認可申請を修正して提出するか否かについては、法的な闘争でさらに何年も費やすことになるため確信は持てないと述べた。彼はまた、キャスク数がたった336しかない施設が認可されたとしても、PFS社は建設しないだろうと語った。
 木曜日になされた決定は、この一週間の間におこった他の出来事に続くものである。
 水曜日には、原子力規制委員会がASLBに対し、フルサイズの施設に飛行機が墜落した場合の結果、及びその場合深刻な放射能の拡散が起こるかどうかについて精査を迅速に行うよう命令を下した。この命令は、年末までに決定がなされることを要求しており、認可に関する6年間の闘争を早期に終結させるよう求めていることを意味している。
 一方で、ASLBは今週、PFSが廃棄物貯蔵施設に資金を調達できるだけの資金力があると認める裁定を下し、資金不十分とのユタ州の訴えを退けた。先週にもASLBは、地震により貯蔵キャスクが損傷を受けたり破壊される可能性があるとのユタ州の主張を却下した。
 今後決定されるであろう主要な問題としては、貯蔵施設まで敷設される鉄道が、シダー・マウンテン自然保護区域の自然保護区域としての価値を損なう否かである。
 また注目すべきは、先週ミネソタ州議会が、PFS社の構成メンバーであるエクセル社が運転する3つの原発での現地貯蔵量の上限を取り除いたことである。エクセル社はもしPFS社がユタ州の処分施設を開設できない場合、現地貯蔵量の上限のためいくつかの原発を停止せざるをえなくなるだろうと主張してきた。
 チャンセラーは木曜日のASLB裁定の前に、ミネソタでの新展開は、PFS社が主張しているほどにはゴーシュートの処分施設が必要ではないことを示しており、経済面及び環境面での分析結果が変わるであろうと主張した。