中間貯蔵早期実現は、六ヶ所再処理工場が動かないことを前提に
1998年予測と異なる原発サイト使用済燃料貯蔵問題の新たな動向


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◇ このグラフは、原発サイトでの使用済燃料の貯蔵量が、六ヶ所再処理工場プールへの搬入状況との関係で、どのような経過をたどるかを示すものです。原発としては現在運転中の原発から最新の女川3号を除いたものを考慮しています(女川3号や近い将来に運転開始予定の浜岡5号と志賀2号は自前で貯蔵可能と考えられます)。全体での使用済燃料発生量を年1000tU(金属ウランで1000トン)と仮定しています(平均時間稼働率約80%に相当)。また、六ヶ所プールへの搬入は日本原燃が2000年11月に公表した計画どおりだとしています(グラフの実線)。

◇ 原発サイトでの管理容量は、基本的に満杯となる貯蔵容量から1炉心+1取替分を引いた値としています。この管理容量は、2000年前後にリラッキング(ぎゅうぎゅう詰め)や増設などによって大幅に増え、1998年3月時点での12000tUから現在は約17000tUになっています。そのため、グラフから明らかなように、再処理工場が予定どおり動けば、原発サイトでの貯蔵量が管理容量を超えるのは約30年後だということになります(全体で見たとき)。

◇ しかし、再処理工場がまったく運転できなければ、原発サイトでの貯蔵量は2010年ごろに管理容量を超えることが分かります(全体で見たとき)。しかもこの場合、六ヶ所のプールは2005年ごろには満杯になってしまいます。この六ヶ所プールは全国原発サイトでの貯蔵具合のデコボコをならす(平均化する)役割も担っています。すなわち、逼迫しているサイトから優先的に搬入するため、逼迫したサイトが破綻するのを防いできたのです。ところが、2005年からそこに搬入できないとなると、例えば高浜原発では2007年ごろには管理容量に達してしまいます。

◇ これら全体を見ると、青森県むつ市や和歌山県御坊市などで中間貯蔵施設を急ぐのは、再処理工場が動かないことを視野に入れてのことだと考えられます。

◇ このため、電力会社は中間貯蔵施設の建設を強力に押し進めようとしています。また、東電のむつ市での構想は、3000トン施設を2基と言われていす。1回分の取替使用済燃料の発生量は1330トンです。東電関係分がこの半分と仮定すると、665トン。むつの施設も13年程で満杯となり、電力会社は、次々に中間貯蔵の建設を押し進めてくるはずです。むつ市と御坊市での最初の中間貯蔵建設攻撃をくい止め、核のゴミ捨て場建設にストップをかけましょう。