政府は「安全宣言」を撤回せよ! 政府の責任逃れを許すな!
当面の最大の集中点は事故の幕引きとの闘い

一切の責任をJCOに押しつけ、無責任極まりない政府


 既に政府は、事故の幕引きに奔走している。デタラメな「安全宣言」と同時に、先手を打って、小手先のことはなんでもやっている。JCOの免許取消を早々と発表し、一切の責任をJCOに押しつけている。茨城県警は初の強制捜査を行い、まかしておけと言わんばかりである。しかしこれら全ては、トカゲの尻尾切り、「もんじゅ」事故の時と何も変わっていない。あるのは、自らの責任を棚上げにした自己保身と、推進体制全体の温存だけである。政府の責任逃れを許してはならない。

事故と被曝の過小評価と闘おう

 政府は事故後わずか2日にして「安全宣言」を出し、事故と被曝を過小評価することに専念している。マスコミと御用学者を総動員して「住民の被曝なし」「微量だから大丈夫」等々の大合唱である。
 「安全宣言」とは一体何を意味するのか。今回の事故に即せば、被曝したのは49人だけ。外部への放射能放出は極めて微量で周辺住民への影響はないということ。数年後、10年後に現れるであろう、住民のガン等の晩発性障害に対して、事故による被曝の因果関係を一切認めず切り捨てる。これが「安全宣言」である。住民・国民を愚弄するのもいい加減にせよ。まず、デタラメな「安全宣言」を撤回させよう。事故と被曝の過小評価に抗議の声をあげよう。

反原発・嫌原発の民意が多数に

 臨界事故によって民意は確実に変化した。世論調査でも明らかである。7割以上が原発推進政策の変更を求めている。事故に対する怒りと恐怖・不安の感情は、簡単にうち消すことはできない。民意は私達の側にある。国は最大級の危機感を抱いている。「原子力政策が失速するかどうかの瀬戸際」と、そこまで追いつめられている。
 関西では、10月4日、プルサーマル中止を合い言葉に、関電への緊急抗議行動に取り組んだ。これを契機に、反原発団体が力を結集して、第2波の対関電行動・街頭ビラまき・集会の準備を急ピッチで進めている。その準備の過程の中で、新しい人々が参加し、すそ野が広がりはじめている。新しい運動のエネルギーが生み出されようとしている。全国各地で、新しい運動に着手しよう。まずは、政府の事故の幕引きと闘おう。

今回の事故は、チェルノブイリ以降、最大の事故。
 事故の連鎖を断ち切るには原発依存のエネルギー政策を転換するしかない

あらゆる面から国内最大の重大事故


 今回の事故は、あらゆる面から、我が国史上初、我が国史上最大の原子力事故である。@20時間にも及ぶ臨界の継続という事故の基本的な性格から言っても。A労働者被曝の深刻さから言っても。強烈な中性子線による最高17シーベルトという致死量の高線量被曝。原爆の爆心地300mの被曝に匹敵。わかっているだけでも100名を越す高線量の労働者被曝。B施設内の汚染の深刻さの点でも。施設内は近寄ることすらでない「自然に放射能汚染レベルが下がるのを待っていたのでは、数年から数十年かかる」(科技庁)。C大量の中性子線による高線量の広範な住民被曝という点でも。D施設外、環境一般への大量の放射能の放出という点からも。E周辺住民と「自宅待避」住民の本当の被害はまだ全く分からない。外部被曝と内部被曝。晩発性障害と免疫不全等々の危険性という面からも。
 政府は事故レベルを5に引き上げざるをえなかった。スリーマイル島事故と同規模の大事故だったのである。

チェルノブイリ事故以降、重大事故はほとんど日本で起こっている

 86年のチェルノブイリ事故以降、重大事故は日本で連鎖的に起こっている。福島U−3号再循環ポンプ破損事故(89年1月)、美浜2号蒸気発生器細管破断事故(91年2月)、「もんじゅ」ナトリウム流出火災事故(95年12月)、東海再処理工場火災爆発事故(97年3月)、敦賀2号一次冷却水大量流出事故(99月7月)、そして今回の臨界事故。重大事故は日本に集中し、その危険性はエスカレートするばかりである。

世界中から危険視されている日本の原発・核燃サイクル強行

 海外のマスコミは、今回の臨界事故をトップニュースで大々的に伝えている。「世界を震撼させた重大事故」(ニューズウィーク・米)「チェルノブイリ以来最悪の放射能」「核の暴風が危機を引き起こした」(ザ・ガーディアン・英)。「安全宣言は信用できない」「被爆国日本が、ここまでいい加減な事故を起こすのか」等々、事故の重大さと原発強行を厳しく批判している。世界中が日本の原発・核燃料サイクルの強行を危険視していることの現れである。 それは、日本のMOX輸送に対する、世界各地の怒りと抗議の声にも現れている。超猛毒のプルトニウムを積んで、世界を半周するなど、こんな危険なことを行っているのは日本だけである。欧米がプルトニウム利用から撤退し、脱原発の流れに向かう中で、日本だけが異常なまでに強硬策をとり続ている。その最中に今回の重大事故が起こった。このまま強行推進を許せば、本当に取り返しのつかないことになる。

重大事故の連鎖を断ち切るには、原発依存のエネルギー政策を転換するしかない

 重大事故の連鎖をなんとしても断ち切らなければならない。事故の連鎖は偶然ではない。その根本には共通の根っこがある。それは、原子力行政・推進体制全体の構造的腐敗、原発推進の行き詰まりの中でのがむしゃらな巻き返し・強行推進、さらに「効率化」追求の強行運転がある。
 だからこそ多くの人が、「東海村は対岸の火事ではない」「東海村の二の舞はごめんだ」「次は若狭だ」と本能的に恐怖をいだいている。
 政府の政策では、2010年までに原発20基大増設で、なんと原発依存42%(97年で35%)。臨界事故後も、「あくまでも原発は推進していく」と強硬姿勢を崩していない。次の重大事故を防ぐためには、政府の原発依存のエネルギー政策を根本的に転換させるしか道はない。プルサーマル実施阻止。六ヶ所再処理工場建設中止。「もんじゅ」廃炉。住宅近隣の核関連施設の閉鎖。原発の20基大増設計画撤回。新規立地・増設阻止。老朽炉の閉鎖。「中間貯蔵施設」阻止。東濃・幌延での高レベル廃棄物処分場化策動中止。原子力予算の大幅削減。ウラン残土の完全撤去等々。原発・プルトニウム政策を根本的に転換させる以外にない。

労働者と住民の大量被曝

深刻な労働者被曝。致死量の高線量被曝は我が国初めて

 最大17シーベルトという致死量の被曝で重体の3人の労働者。彼らこそ今回の事故の最大の犠牲者である。安全を無視したリストラ、コスト削減の犠牲である。
 水抜き作業、土のう積み作業にあたった合計33人の労働者は、早期の「安全宣言」のために、「特攻隊」となって深刻な被曝を強要された。
 これら、JCO労働者の被曝を、周辺住民の被曝と切り離してはならない。彼らの被曝と同様の被曝を住民に強いる、より深刻な放射能放出の可能性が現にあった。また、今回の労働者の被曝量は、原発で重大事故が起きたときの住民の被曝の度合いを示している。

周辺住民の中性子線被曝は過小評価

 事故から避難要請までの4時間半の間に、350m内の住民150人は、一般人の年間許容線量を越える中性子線を浴びた。500m内に住む、さらにはるかに多くの住民も、20時間に及ぶ被曝で、年間許容線量を越える被曝をした。このような大量の被曝は、初めてのことである。
 政府、県は、中性子線被曝の危険を知らせず、特に放射線への感受性の高い妊婦、乳幼児すら安全な場所に避難させることもしなかった。遠くに避難させず、「屋内待避」で被曝を強要した。政府、県の責任は重大である。

放射性物質(死の灰)・希ガスの放出は純然たる事実

 核分裂によって生成された放射性希ガスが、ほぼ全量放出されたことは間違いない。無視することのできない濃度の放射性ヨウ素が小出氏等の調査によって現に確認されている。
 それが、周辺住民の健康を脅かし、土壌と農産物を汚染している危険性がある以上、徹底した放射能汚染と被曝の調査をまず行わなければならない。 核分裂によって生成された放射性希ガスが、ほぼ全量放出されたことは間違いない。無視することのできない濃度の放射性ヨウ素が小出氏等の調査によって現に確認されている。
 それが、周辺住民の健康を脅かし、土壌と農産物を汚染している危険性がある以上、徹底した放射能汚染と被曝の調査をまず行わなければならない。

それでも残る不安。低線量被曝・内部被曝の危険と晩発性障害

 これが、他の事故と異なる原発事故の危険である。スリーマイル島事故から20年。2000件の損害賠償を求める住民訴訟にもかかわらず、電力会社は未だ因果関係を認めず、多くの人々をガン等で苦しめ続けている。

最大の責任は政府・科技庁・安全委員会にある

住民の命より党内抗争


 我が国の原発・核燃料サイクルは、その当初から一貫して政府・自民党と電力独占・原子力独占が一体となって、「官民」あげて推進してきたものである。強行推進をやっておきながら、その結果起こった重大事故には知らん顔・他人事。断じて許せない。無責任の極みである。
 小渕は少なくとも10時間も事態を放置した。関心は、住民の命よりも党内抗争と内閣改造人事であった。「想定したことのない事故」などと他人事のように振る舞った。「従業員のモラル」(小渕)「近代国家にあるまじき行為」(野中)など、責任を一作業員、一企業、一管理者に解消し逃げ切ろうとする腹。こんな責任逃れを断じて許してはならない。

パニックになることを防ぐため、避難ではなく、住民を封じ込めた

 政府は、パニックになることを防ぐことだけに専念した。避難を呼びかけなければならないのに、鉄道・道路を遮断し、住民を室内に封じ込め、被曝の危険にさらした。これが政府の原発政策であり「防災対策」なのだ。
 電事連会長は「下請けまで面倒見切れない」。通産省は「原発では起こりえない」「人為ミスという特殊事情」等々。責任の押し付け合いと、防波堤を築くことだけに腐心している。

通産省・科技庁・安全委員会の責任は重大

 推進派が口を酸っぱくして言ってきたフェールセーフは一体何処に行ったのか。「安全神話」はここでも見事に崩れた。JCOの「原子炉等規制法」違反は歴然としている。しかし、なぜこんなずさんな企業が、正々堂々と核施設を運用していたのか、安全審査を通ったのか。なぜ臨界事故が起こり得ないとされたのか。そもそもなぜあんな臨界事故を起こす超危険な工場が住宅密集地に立地することが認可されたのか等々。政府・通産省・科技庁・安全委員会の監督責任、管理責任、許認可責任は重大である。

政府の危機管理強化に反対する

 政府与党はどさくさに紛れて「危機管理」体制の強化を目論んでいる。政府は、来月の臨時国会に「原子力防災法」の提出を狙っている。その内容は、災害時の対応を国が一元的管理するというもの。今回の事態に照らせば、情報の統制、住民の封じ込め等々の強化でしかない。何と防衛庁は、どさくさに紛れて、自衛隊の放射能対策、ゲリラ対策の強化まで言い出している。しかし、強烈な中性子線を防ぐ防護服・放射能対策など、そもそもありようもない。マスコミもこぞって「危機管理体制の強化」を主張している。
 私達は、政府の「危機管理」強化に反対である。政府の「危機管理」の大前提は「原発強硬推進」である。強硬推進すればするほど事故が頻発するのは目に見えている。事故をどんどん起こしておいて、「危機管理」など許せない。政府がやるべき事は事故後の「危機管理」ではなく、欧米の基本的な流れに沿って、政府の原発・核燃サイクル強行を断念することである。これなしには「マッチポンプ」にしかならない。

政府は、被害調査を全面的、徹底的にやれ。事故に関する一切の補償を行え

 政府が早急にやるべき事は、事故に関するデータの全面公開と、被害調査を徹底して行うことである。被曝者全員に対する治療等の一切の保障。地域住民全体の継続的な健康管理。土壌と農作物・河川と魚介類等の管理。政府の補償で土壌と農産物を集約し廃棄処分にする事等々である。

関電のプルサーマル計画を阻止しよう

関電は、臨界事故によって、さらにプルサーマル強硬姿勢を強めている


 臨界事故によって、国中が怒りと恐怖と不安のただ中にあったにもかかわらず、関電は、事故翌日の10月1日、MOX燃料の搬入を強行した。
 高浜原発所長は、記者会見で「年内には実施したい」と11月実施を明言することはできなった。ところが、10月4日、関電会長秋山が乗り込んで、わざわざ記者会見し、「なにがなんでも11月実施」と強烈なたがしめを行っている。
 九州電力がプルサーマルを一時凍結というニュースを受けて、京都・大阪の反原発団体は共同して緊急関電抗議行動を行った。何も知らない広報相手ではなく、正式な交渉を要求した。しかし関電は、交渉を一切拒否してきた。データ偽造問題では、「中間報告」を出し、高浜4号用MOX燃料にはデータ偽造はなかったと強弁している。「最終報告」の仕上げを急ぎ、データ偽造問題にふたをしようとしている。まさに強硬姿勢のエスカレーションである。

高浜プルサーマルを阻止して、原発依存を転換させよう

 東海事故によって、関電のプルサーマルを阻止する意義は、これまで以上に重大なものとなった。高浜プルサーマルは、事故後の原子力政策全体の強行推進を許すのか、その根本的転換を押しつけていくのか、まさにその試金石となった。国・関電は、なんとしてもプルサーマルを強行することで、今後も原発・プルトニウム政策全体を強力に押し進める突破口にしようとしている。
 関電高浜プルサーマルは、国のプルサーマル計画の先陣である。これを阻止することができれば、その後にひかえている全電力によるプルサーマル実施という国の計画そのものをとん挫させることができる。
 なにがなんでも11月実施という関電の強行姿勢は、強さの現れではない。会長が乗り込んでたがしめをしなければならない程度に動揺している。すでに九州電力はプルサーマルの一時凍結を発表した。柏崎市長は、来年の実施予定を1年間延期すると表明した。
 事故後の大きな運動の力で、高浜プルサーマルを阻止しよう。

「効率化」追求の下でのプルサーマルは危険性を倍加

 今回の大事故の背景には、「効率化」=利潤追求がある。JCOは海外の安価なウラン燃料加工会社とのコスト競争の中で、大幅な人員削減を行ってきた。さらに、その上、加工時間の短縮等で「効率化」を追求。作業員達は、まさに限界ぎりぎりの状態で危険な作業を強いられていた。
 関電のプルサーマルも、全く同じ構造。関電プルサーマルは、フランスでさえ使ったことのないような高燃焼度のMOX燃料を使用する。それは、現在のウラン燃料での13ヶ月連続運転を維持するためである。さらに関電は、定検短縮のトップランナーであり、最近では定検をわずか1ヶ月できりあげ、稼働率を85%にも引き上げている。ずばり、「効率化」のためである。部分的とはいえ電力の自由化と欧米からの市場開放圧力によって、電力は「効率化」追求の危険な運転に拍車をかけている。労働者・周辺住民・国民の命と健康より、利潤を追求を優先している。これが、関電・政府のいう「MOX燃料の使用は世界で実績があるから大丈夫」の実態である。

更にその上、MOX燃料データに重大な疑惑があるのだから、
     ぞっとするほど恐ろしい


 高浜3号用のMOX寸法データに偽造があることが発覚した。関電は、3号用は偽造を認めたが、4号燃料には偽造はないと強弁している。しかし、4号用の燃料データにも偽造があることが濃厚である。私達は現在、膨大なデータの整理を行っている最中である。疑惑は一層濃くなっている。これをテコに、関電を一層窮地に追い込もう。
 MOX燃料では、正規の燃料を使っても、燃料が破損することがフランスのカブリの実験で実証されている。データが偽造された燃料が使用されれば、重大事故が起きるのは火を見るよりも明らかである。こんな燃料を装荷させるわけにはいかない。そうでなければ、必ず、次は若狭。東海村の比ではない。関西一円が深刻な放射能被害にさらされる。

このままでは次は若狭。プルサーマルを阻止し、政府・関電に痛打を
関西では、事故を契機に反原発団体が力を結集している

 関西では、反原発団体が力を結集して、「東海村は対岸の火事やない!原発アカン!11・3市民のつどい」を開催する。それを通じて、広範な市民に、隠されている事故と被曝の実態を明らかにし、高浜プルサーマルに反対する声を強めていこうと、準備を進めている。今が最大のチャンス。この期を逃してはならないと、共同の取り組みを強めている。その準備の過程で、新しい人々が参加し、すそ野が広がりはじめている。新しい運動のエネルギーが生み出されようとしている。

今回の事故は、新しい運動をせまっている

 東海事故によって、重大事故の連鎖を断ち切るために、どうやって原発依存のエネルギー政策を転換させていくのか。反対運動の真価が問われている。これまでの運動を再点検して、原点に立ち返って、運動を強めよう。

高浜町民の雰囲気も変化している

 東海事故によって、地元高浜町民の雰囲気も変化し始めている。私達は、事故翌日の10月1日、高浜町で行われたMOX搬入抗議行動に参加し、町内デモ行進を行った。そこで私達が目にしたのは、歩道のあちこちで、家の軒先で、スーパーの店先で、多くの町民がデモに真剣な眼差しを向け、無言で一緒に握り拳をあげたり、拍手をしたり、手を振ったりする町民の姿だった。「ありがとう」の言葉まで耳に飛び込んできた。高浜町民は、当然のこととして、東海村の住民の姿を自らに映しかえて事故を見つめたに違いない。
 越前町の漁民達は、「プルサーマル導入絶対反対」の横断幕を掲げた80隻の漁船をくり出した。「原発反対がわしらの本音や」と、MOX搬入に抗議した。

今こそ、高浜プルサーマルを阻止しよう

 今こそ、広範な人々の声を結集して、高浜プルサーマルを阻止しよう。関西で力強い反対の声を組織しよう。その声を地元・福井に伝えよう。関電にプルサーマル実施を断念させよう。


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