高レベル放射性廃棄物処分場を誘致するな
余呉町長の「文献調査」への応募に反対しよう
余呉町は淀川水系の最上流 / 淀川水系・琵琶湖は関西住民1720万人の水源
マグニチュード8.2の地震動が起きる可能性のある活断層帯が縦断



水資源協会発行広報誌
「たかとき川」創刊号1996より引用
 余呉町長は、極めて危険な高レベル放射性廃棄物最終処分場建設のための「文献調査」に自ら手を挙げ、応募すると表明し、12月13〜14日の町議会で決定しようとしている。
 余呉町に高レベル放射性廃棄物最終処分場(以下、最終処分場)を誘致することは、余呉町民にとって大問題であるだけでなく、琵琶湖を含む淀川水系の上水に依存している私たち関西の住民にも大きく影響する問題である。最終処分場は、数万年という途方もない超長期にわたって環境、特に水資源を放射能汚染の危険にさらす。地下深く、300m以深に強烈な放射線を出す放射性廃棄物(ガラス固化体)=「核のゴミ」を埋め捨てにするので、ひとたび地下水などが汚染されると取り返しがつかない。誘致の入り口である「文献調査」への応募に関西からも反対の声を上げよう。

淀川水系・琵琶湖を放射能汚染の危険にさらしてはならない
淀川水系 流域図
独立行政法人水資源機構のホームページより引用加筆
 「大阪湾に流れ込むあの淀川を遡ると、宇治川、瀬田川を経て琵琶湖に達します。更に、その最北の源流を求めて姉川を上ると、高時川を経て栃木峠のせせらぎにたどり着きます。ふと見ると峠には『淀川源流の碑』が建てられています。」 
 この一文は、町の郷土史家白崎さんの著述「余呉の歴史散歩23」(町の広報誌よごVol155)からの抜粋である。
 「淀川の源」がある余呉町は淀川水系の最上流である。
 この淀川水系・琵琶湖は、大阪府・大阪市水道をはじめ関西の水源であり、滋賀、京都、大阪、兵庫など、1720万人相当の利水に貢献していると水資源機構は述べている。この大切な水源を放射能汚染の危険にさらしてはならない。

余呉町には想定マグニチュード8.2の地震動を起こす活断層が縦断している
 琵琶湖の東岸から余呉町を抜けて福井県今庄へと続く道は、北国街道(国道365号線)である。この街道は、町北部の椿坂峠のあたりに端を発し琵琶湖に注いでいる余呉川に沿って通っている。昔からある多くの街道がそうであるように、この北国街道も断層活動によって比較的平坦となった地形の上を通っている。この地形を生み出した断層は、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯と名づけられている。
地震調査研究推進本部の「柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価について」によれば、この柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部は、約100kmの長さであり、北部、中部、南部に区分されている。長期評価では、主部全体が動けば、マグニチュード8.2の地震が起きると想定されている。これは、阪神淡路大震災M7.3の約30倍にも相当する大地震動である。
 余呉町を縦断しているのは、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の中部と南部であり、中部と南部が同時に活動したときの想定地震動は、M7.8、断層長さ約57kmである。南部は断層長さ約45kmで、南部だけが活動してもM7.6と阪神淡路大地震の9倍もの地震動となる。
 柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部南部のみの地震動予想図では、余呉町の大部分で震度6弱と予想されている。
 こんな場所に、最終処分場を造らせてはならない。
柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部南部の地震動予測図

地震ハザードステーションのホームページより
柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の活断層位置

柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の長期評価について
図2柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の活断層位置と主な調査地点より引用加筆
(地震調査研究推進本部地震調査委員会 H16.1.14)

1000年後でも一般人の年線量限度の17万倍・・・放射性廃棄物の放射線量
「数万年以上にわたって有効な対策が必要」(NUMO)

 放射性廃棄物・ガラス固化体表面での放射線レベルは極めて高い。製造直後に側に立てば、約15秒で100%死亡する。1000年後でも、169,000mSv/年と一般人の年線量限度1mSvの17万倍ものレベルである(NUMOの「処分場の概要」の説明資料・付録−2より算出)。
 こんな厄介な「核のゴミ」・ガラス固化体は、何十万年、何百万年という長寿命の放射性物質を内包しているため、最終処分場の公募を募っているNUMO(原子力発電環境整備機構)も、「数万年以上の対策が必要」(小冊子:地層処分−その安全性)としている。にもかかわらず、「溶けにくい」ガラス固化体を地下水と遮断するための鉄製の容器(オーバーパック)は、耐用年数を1000年とした解析であり、地下水に放射性物質が溶け出すことが前提となっている。数万年もの間の変化を、解析の条件にして安全性をうんぬんすることは自然の力に対する驕りではないか。地層処分は、もってのほかである。
 このような高レベル放射性廃棄物の最終処分場を造らせてはならない。建設に向けての第1歩である余呉町長の「文献調査」への応募に反対しよう。