関西電力は、劣化ウランが兵器転用されていないことを証明できず
アメリカによるイラクへの劣化ウラン弾使用糾弾!


4/28関電交渉−関電は、関電の劣化ウランが兵器に転用されていないことを証明できず
 私たちは4月28日、関西電力との交渉を行った。2年前に行われた交渉(2001年4月25日)で関電は、米USEC社に濃縮委託した過程で出てきた劣化ウランについては全量を無償で譲渡しており、それが劣化ウラン弾に使われたどうかについては「関知しない」と回答した。今回の交渉ではこの点について、再度の確認と追及をおこなった。
 その結果、劣化ウラン譲渡の事実関係について関電は、@濃縮役務の結果生じた劣化ウランについては無償でUSEC社に譲渡しているA経済性および市況等を勘案した結果譲渡していることを再度認めた。
 さらに関電は、劣化ウランの譲渡は「平和目的に限る」ことを原則とする原子力基本法に背馳するとの質問に対し、「平和利用を目的としてUSEC社に濃縮役務を委託しており、その結果生じた劣化ウランを引き取る権利を行使しないとしても、そのことが平和利用に反するとは考えない」と答えた。濃縮の委託そのものは平和利用であり、譲渡自体に何ら問題はないというのが関電の基本姿勢である。たとえ関電の劣化ウランが兵器の原料になっているとしても「平和利用」には反しない。劣化ウラン弾の原料になっていようが知ったことではないという態度である。
 また、劣化ウラン弾の原料として使用されていないという確かな確認・確約があるのかという質問に対しては「USEC社から平和目的以外に利用されないことを確認している」とのことであった。
「劣化ウラン弾製造が禁止されているという確認は取れているのか」と追及すると、「当社としては劣化ウランも含まれていると理解している」と繰り返すのみ。また、「確認」文書が交わされたのはいつか、またどういった文面なのか明らかにせよと追及したが、関電は具体的なことは何一つ明らかにできなかった。このような「確認」が本当にあったのかどうかさえ疑わしい。アメリカは劣化ウランを通常兵器に分類している。彼らの言う「平和目的以外」は熱核兵器のみを対象とし、通常兵器である劣化ウラン弾は「確認」に含まれていない可能性がある。
 関電は、劣化ウラン弾に使われていないという「確認」の内容を明らかにすべきである。さらに、劣化ウラン弾に使われていないことが具体的にどう保証されているのか、USEC社における管理は一体どうなっているのかと追及すると、これに対しても一切答えることができなかった。関電の劣化ウランが兵器に転用されないための保証措置がどう取られているのか、早急に回答するよう要求している。

アメリカによる劣化ウラン弾使用糾弾! アメリカは劣化ウラン使用の戦争責任を取れ!
 米中央軍のブルックス准将は3月26日、イラク戦争で劣化ウラン弾を使用したことを正式に認めた。湾岸戦争に続き、再びイラクの子ども達と人々が劣化ウラン弾の被害にさらされている。
 バグダッドを中心に、イラク全土で地上戦が展開され、アメリカのM1エイブラムス戦車および、イギリスのチャレンジャー2戦車から劣化ウラン製の対戦車砲弾が発射された。また、劣化ウラン製の機関砲弾を発射するA-10対地攻撃機も作戦に参加し、攻撃を繰り返した。現在の所、正確な弾薬使用量は不明であり、使用された劣化ウランの総量は分からない。しかし地上戦は局地的なものではなく、イラク全土にわたって比較的大きな規模で繰り広げられたのであり、相当量の劣化ウランが撒き散らされたのは間違いない。
 また、開戦から3週間で米軍は1万2千発以上の精密誘導爆弾を投下し、740発のトマホーク巡航ミサイルを撃ち込んだ。使用された精密誘導爆弾には、通常爆弾に加えて、地下施設を破壊するための貫通型のものがかなりの割合で含まれていると考えられる。貫通型の爆弾は、地面とコンクリートを突き破りながら進み、地中深くで爆発するように設計されている。そのため、貫通力を増大させることを目的に劣化ウランで弾体が作られているという疑惑が指摘されている。さらに、トマホークにも貫通型があり、これにも劣化ウランが使われている可能性が指摘されている。
 これらの疑惑の通り、貫通型の精密誘導爆弾やトマホークミサイルに劣化ウランが使用されていれば、劣化ウランの使用量は、戦車砲弾や機関砲弾のみの場合と比較してけた違いなものとなるであろう。たとえば、貫通型の精密誘導爆弾(GBU-24)の弾体重量は約1dであり、外形と重量から、最大750kgの劣化ウランが含まれていると推定される。投下された精密誘導爆弾の3分の1が貫通型であったと仮定した場合、3千dの劣化ウランがばら撒かれたことになる。これは、湾岸戦争で使用された劣化ウランの10倍である。
 さらに重要なのは、首都バクダッドを中心に、都市部とその周辺部で劣化ウランが使用されたことである。湾岸戦争の場合、比較的人口の密集していない南部の、しかも砂漠地帯が主戦場であったが今回は違う。人口が密集している都市部が戦場となり、劣化ウランがばら撒かれたのである。同じ量の劣化ウランでも、それが環境と健康に与える被害の大きさは前回の比ではないであろう。 今回の戦争は、過去最大規模の劣化ウラン戦争であっただろう。アメリカは、二度までも劣化ウラン弾=特殊な核兵器を使用し、イラクの人々と国土を放射能で汚染した。無差別に殺傷し、長期にわたって国土を荒廃させる大量破壊・非人道兵器の使用であり、明らかな戦争犯罪である。しかし米軍は劣化ウランの健康影響を全否定し、汚染エリアへの対策は何ら必要ないと公言している。断じて許すことができない。アメリカには、速やかな汚染と被害の実態調査、即時の汚染除去、そして被害に対する補償といった戦争責任を果たす義務がある。アメリカの戦争犯罪を粘り強く批判しよう。

日本政府による劣化ウラン戦争=新しい形の核戦争支持糾弾!
 小泉首相は、米軍の劣化ウラン弾使用に対する態度を記者会見で問われた際、「できるだけ被害は少なくね」「戦争を速やかにして欲しいですね」と答をごまかした(3/27)。同じ質問に対して福田官房長官は「劣化ウランの健康被害については、色んな議論がありますが、確定的な結論は出ていない」と判断を回避し、逃げの姿勢に終始した(3/27)。
 劣化ウラン弾はハーグ条約およびジュネーブ条約に違反している。1996年の国連人権小委員会は、クラスター爆弾や気化爆弾、生物兵器と並んで、劣化ウラン弾を大量破壊兵器・無差別殺傷兵器とする決議を採択している(賛成15、反対1、棄権8で採択。アメリカは反対。日本は棄権した)。
 劣化ウラン弾のもたらす被害は、人体に対しても環境に対しても、放射能汚染・被曝被害という点で核兵器と共通の性格を持つものである。その点で、劣化ウラン弾とは新たな形の核兵器と呼ぶべき存在であり、明らかな大量殺戮兵器・非人道兵器である。このことは国際的な共通認識である。
 しかし日本政府は、一貫して劣化ウラン弾を放射能兵器とはみなさず、その非人道性を認めていない。1996年の国連人権小委員会の採決は棄権し、米の援護射撃をおこなっている。
 そしてその上で、いち早く今回のイラク攻撃を支持し、イラク植民地総督府(ORHA)への要員派遣を決定した。劣化ウラン弾の使用も黙認し続けている。「被爆国」としての責任を放棄し、劣化ウラン戦争を支持したことは、極めて犯罪的である。日本政府による対イラク戦争支持、劣化ウラン戦争支持を断じて許すことはできない。