北は北海道から、南は東京湾の入り口まで
六ヶ所再処理止めよう!ナガスクジラ・プロジェクトの回収はがき結果


 六ヶ所再処理工場からの放射能を含んだ廃液はどこへ流れていくのか。それを調査するナガスクジラ・プロジェクトの結果が明らかになり始めている。再処理工場の排水口予定地点から流された1万枚の調査票(ハガキ)は各地で拾われて送り返され、11月1日現在で100枚を超えた。遠くは東京湾の入り口である房総半島先端の千葉県千倉町、北は北海道の苫小牧まで到達したことがわかった。
 当初、我々は放射能が下北の海岸だけでなく三陸海岸に流れ、その付近を汚染するのではと予想していた。ところが実際の結果が示したのは三陸海岸どころか、ほとんど東京湾付近まで放射能が流れるということであった。特に宮城県、茨城県、千葉県に多くが到着している。漁船の網にかかって拾われたハガキも少なくなかった。日常的な再処理工場の運転で、これだけ広範な海とそこで取れる海産物が汚染されることが事実でもって示された。これらの広範な地域の人々がこのことを知れば、大きな不安の声が挙がるだろう。

            (11月1日現在 回収ハガキ103枚。 放流は8/26 午後4時頃)  

 さて、放射能はどのように流れることになるのだろうか。観測に基づいて作られた海上保安庁の海流図(9/3〜9/17)を見ると六ヶ所沖3kmの放出口から北北西に向かう流れがあり、津軽海峡から太平洋に吹き出す津軽暖流に合流し、その後南下する。季節によってこの津軽暖流の流れは強さが変わるが、基本的には六ヶ所沖で時計回りの流れを作り出している。ハガキはこの流れに乗って放出口から北に向かったことになる。ハガキの回収日付を見ると放出口地点から出戸、石川を通り、泊に多くが流れ着いている。このことは非常に重要な意味を持っている。
 日本原燃は設置許可申請書でこの海域の海流をすべて平均してしまって、泊方面に余り放射能が流れないようにしている。そして申請書の被ばく線量の計算で、海藻類は泊漁港で採れたものを食べることになっているために、申請書の被ばく線量は不当に低く抑えられていた。ところが、我々の海流を平均化しない計算では、泊の放射能濃度は申請書の濃度の6倍近くになり、それに応じて被ばく線量も高まる。今回の実験は、申請書の恣意的な操作に対する反論を、まさに目に見える形で示したのである。
 さらに申請書では放射能はすべて海岸線で完全反射され、海岸に蓄積しないことになっている。「周辺には海水浴場がなく、漁業活動に伴う海浜利用もない」と書いて、海岸の汚染をいっさい問題にしていない。ところが、多くのハガキは海岸に打ち寄せられ拾われていた。ラアーグで小児白血病が多発しているという悲劇が、やはり下北などでも起こりうることを、今回の実験は如実に示している。



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