セラフィールド閉鎖を求めアイルランド市民がハガキ行動
〜英ブレア首相、皇太子宛のカードは150万通にも〜


 チェルノブイリ事故からちょうど16年目にあたる4月26日、セラフィールドの閉鎖を求めるアイルランド市民からのポストカードが、イギリスのトニー・ブレア首相やチャールズ皇太子に届けられた。その数およそ150万通といわれている。BNFLのアスキュー会長のもとへも、同趣旨のカードが配達された。
 これらのハガキ行動は、セラフィールド閉鎖キャンペーンによって提起され、プリペイド式のポストカードが、アイルランドの各世帯に配布された。これらのカードは宛先によって絵柄もメッセージも違う。皇太子に送られたカードには、セラフィールドの事故のフォールアウトに苦しむアイルランドのイメージが描かれている。
 長年に渡ってアイリッシュ海に放射能を垂れ流し続けているセラフィールドの施設に対し、アイルランドはまさに国を挙げて閉鎖を要求してきた。そして、昨年末のSMP工場の運転開始が、アイルランドの人々を一層激怒させた。今回のポストカードに対する反応は非常によく、法律上テレビ・ラジオ等での宣伝が不可能だったにもかかわらず、国際的なサッカー選手やミュージシャンによるキャンペーンのあと、人々は続々とカードを投函した。
 アイルランドの人々の、セラフィールド閉鎖を求める声は、このキャンペーンのホームページ(www.shutsellafield.com)にも多数寄せられている。「セラフィールドを閉鎖せよ、そしておまえ達のゴミをアイルランドに捨てるな!!!」「彼らは工場からの漏洩を止めることさえ出来ない。大事故が待ち受けている。今こそ閉鎖を!」「子ども達に希望の持てる未来を与えて」等々。
 しかし、イギリス政府もBNFLも、これらの訴えを全く真剣に受け止めていない。ブレアの基本的な態度は、「セラフィールドが危険を引き起こしているという主張の公式な証拠がない限り、閉鎖は妥当ではない。セラフィールドは厳しい規制下にあり、問題は存在しない」というものである。またエネルギー大臣ブライアン・ウィルソンも、今回のキャンペーンが「感情的」で「無責任」だとこき下ろした。1990年のガードナー博士の調査研究等で、再処理工場と小児白血病の因果関係が認められている。再処理工場の危険性はこれだけでも明らかだ。今回のイギリス政府の反応は、再処理工場の自国内の被害をも全く切り捨てたものである。そしてあろうことかBNFLは、2008年までのいくつかの放射性物質の放出量を、現放出量よりさらに20%増加させようと画策している。まさしくアイルランドの人々の声を踏みにじる行為である。
 これまで大量の再処理をBNFLに委託してきた日本は、アイリッシュ海の汚染や小児白血病等の被害への最大の加担者にほかならない。日本のプルサーマル計画を完全に中止に追い込み、セラフィールドの目的や経済性を失わせることにより、アイルランドの人々と連帯していこう。



トップ