ウラン残土撤去訴訟第1回公判に参加して
原告に「権利濫用」と開き直る核燃に怒り
裁判の早期結審を!


 1月23日、道端に雪が残り雨も降るなか、鳥取地裁で鳥取県東郷町方面地区の榎本益美さんを原告とするウラン残土撤去訴訟の第1回公判が行なわれた。フレコンバックで袋詰めにされたウラン鉱石残土の放置された土地を所有する榎本さんが、土地上の鉱石残土290m3と土地周辺の残土3000m3の早期撤去を求めて訴訟に踏み切ったのである。核燃は答弁書でまともな反論をすることができなかった。残土問題が発覚してから10年以上、闘争の場を法廷に移し、とうとう核燃を追いつめたという印象である。
核燃の答弁のポイントはニ点。第一に、榎本さんが所有するフレコンバッグ詰めウラン鉱石残土の置いてある土地の隣地境を明確にすること、そして第2に、方面自治会と核燃との協定に「周辺自治体との協力に基づいて」撤去するという協定があることを根拠に、「周辺自治体の協力が得られない現状では、自治会の構成員である榎本さんが撤去を請求することは権利の濫用だ」、という主張である。
苦しい主張である。土地の所有権については、方面の山を熟知した榎本さんが最も詳しい当事者であり、旧動燃がウラン残土の撤去準備と袋詰めにする作業の前にも、東郷町の担当職員と共に残土堆積場の土地の所有者を確定するための立会人となっているほどである。法廷では逆に、核燃がウラン残土を放置している土地が誰のものであるかもわかっていないという無責任さが露呈された。核燃もまた、榎本さんのものであることを承知しているはずなのに、苦しい答弁をしたために逆に追いつめられる結果になったのである。
また榎本さんが自身の土地の所有権に基づいて起こした訴訟に、自治会との協定が適用されるようなことはありえない。これは法律的には当然の事で、“権利の濫用”という主張は、「他に何も言うことがないときに持ち出す主張」(原告側弁護士)であるそうだ。
公判の後に行なわれたウラン残土訴訟を支える会の立ち上げ集会では、核燃側の態度について批判が続いた。榎本さんからは「裁判を引き延ばして、意欲を無くすためだけに持ち出した主張だ」「残土を撤去するつもりなど全く無いことがはっきりした」と。また、弁護士からは「この期に及んでまだ逃げようというのか」「放射能の危険性を全く認識していない」等々。全くそのとおりである。ただ開き直り、引き延ばしを狙うだけの核燃に対して、怒りの声が強まった。最後に、榎本さんから、方面の長老である清水さんから土地とともに残土を撤去するという意志を引き継いで、今回の訴訟に至ったという思いが語られた。榎本さんの目には、この日の裁判での核燃はどれだけ不誠実な態度に映っただろうか。
 次回の公判は3月27日。ウラン残土の撤去が決まるまで、連帯していきたい。
                                            (学生K)



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