茨城沖地震で老朽細管が破断−老朽原発の危険が露呈


 7月21日、茨城県沖で起こった地震により、福島第一原発6号炉のタービン建屋内の細管が破断、手動停止した。折れた細管は震度6の揺れにも耐えるとされてきたが、実際は、現地の地表面で震度4、推進側がいうところの、原発が立つ「強固な岩盤」ではそれをさらに下回るはずの揺れで破断を起こした。国の安全審査では常に新品の状態を保っていることが前提であり、老朽化の影響は全く考慮されていない。ところが今回東電は「新品の細管なら破断しなかった」と述べ、事実として老朽化で弱っていることを認めた。運転20年を超す老朽炉が増えてきた中で、今回の事故は、老朽化した機器が地震により破損し大事故につながる危険性を示している。だが、通産省は今回の事故をうけても、何ら抜本的対策を講じようとはしていない。
 これに対し、阪神・淡路大震災の被害を重く見たといわれるフランスでは、原子力安全検査局が原子力施設の耐震性を厳しく問題にし、施設の閉鎖を要求している。閉鎖要求の対象は、フランス南部にある、主にドイツ用MOX燃料を製造しているコジェマのカダラッシュ工場。地震に関する公式調査報告によれば、この工場周辺の地震活動度が1993年12月以降、歴史的に見ても著しい活性化を示している。工場の側面に沿って3本の断層が走っており、それらは100年に一度大地震を起こす可能性があるという。最後に大地震が起こったのは1913年である。
 1995年、原子力安全検査局はコジェマに対し、施設の補修ではなく、2000年以後早急に閉鎖するよう要求した。コジェマは地震調査報告に反論せずに回答を拒否し続け、1997年末になって、施設をコンクリートの隔壁で覆うだけでよいと回答。閉鎖要求に応じるどころか、1995年の年31.5トンから1999年の年40.2トンへと、同工場のMOX燃料生産量を引き上げ続けた。1998年に再度検査局から、早急に閉鎖プランを示さなければ、必要な措置を実施すると警告が発せられたが、コジェマは、国内向けと日本向けのMOX燃料を生産しているメロックス工場にカダラッシュ分のMOX生産を移転すると脅しをかけ、安全検査局を激怒させている。
 阪神・淡路大震災の教訓をくみ取っているのはどちらなのか。規制当局の態度が日本とフランスでは全く違っている。



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